2004年09月09日(木) 旅『愛を探しに行こう』vol.1 ジュリー&カナタとの出会い


〜旅〜『愛を探しに行こう』

プロローグ

僕は9日から旅に出ました。
目標は三重から仙台です。
約800km
それを下道だけで行こう(つまり高速を使わないってこと)
というものでした。

旅に出る理由?

んなことは行く時は決めてなかった。
って言うか、そんなこと考えなきゃとも思わなかった。

ただ、愛馬キャサリンで、
自分の力で遠くに行きたかった。

それだけ。
進む中で、段々と何故「旅」に出たかの理由が分かってくる。

人との出会いを通して、自分の現在地が分かってきた。


9日からのこの一週間の旅は、
僕のこれからの人生でもきっと勲章として残るもので、。
忘れることのできないものになった。

旅は旅行とは違うもので、
ただ、目的はあるものの、
何処かで僕は線分けをしていた。
そして、僕の人生の中でこれから幾度、旅をするのだろう
と考えたとき、そういくつもあるものではないと。
そして、こちらから能動的に求めてできるものではないと
そう思った。

書く形式としては、誰かに読んで欲しいと思って書く。
誰かって言うか、アイツだよ。そしてあの人たちだ。
アイツってのは、アイツで、
あの人たちってのはお世話になった、
そして、出会った全ての人たちだ。

「愛を探しに行こう」

という、旅の名前は、
家に着く3時間ほど前に決まった。
それまでそんなことを意識していなかった。
しかし、結果的にはそうだったのだ。
無意識に僕は愛を探していたんだ。

愛はただ、恋愛だけではないということは分かってもらえるだろうか。
そんなものは旅をして見つけるものではないし、
見つけることはあったとしても、
いや、俺はとりあえず見つけられなかったし。

まぁ前置きであるプロローグが長くなった。
頭の中で溢れかえりそうなこの言葉と思いを、
日記という形で記録しようと思う。


旅『愛を探しに行こう』vol.1 ジュリー&カナタとの出会い


僕は三重県に住んでる。
仙台まで何キロかなんてわからないし、
だいたい1000kmかななんて思ってた。
バイクで行くにしろ、メンテナンスや技術もない僕は、
まず、朝にバイク屋で整備してもらった。
愛馬キャサリンはタイヤを変え、ライトを新しくし、
エンジンオイルをキレイにして、
油をチェーンや各所に吹きかけられ、
キレイになった。

もう17800キロも走った。
バイク屋としても、一年で17800乗る人なんて
なかなかいないといっていた。
それだけバイクというものは、
一般的な人にとって「主」な乗り物ではないのだろう。

出費はかさんだが、生きて帰ってこなきゃいけない。

うちに帰り、家で道を考えた。
試行錯誤し、少しずつ現実感を帯びてくる。
本当にいけるのか?
って言うか何処に泊まるのか。

寝袋用意したものの、
本当に生きて帰ってこれるのか。
って言うか雨降ったらどうすればいいのだ。
なんでオレ行くんだろ?

色んな考えが頭をかけめぐった。

だけど、

まぁいいや

と思い、気軽に家を出た。

とりあえず、一日目の目標は東京。

三重からは、

三重→愛知→静岡→神奈川→東京(もしくわ埼玉)

となる。

約東京までが300キロ前後。
バイクの平均時速は60km
まぁ7時間で着けるだろうと思っていたのに、
7時間で静岡県の富士までしかいけてない。
地図が全国の地図だから、
道が分かりずらい。

色んな人に道を尋ねながら、
とりあえず東京に向かった。

その時に、色々泊まれそうなアテはあったが、
ジュリー(仮称)が思い浮かんだ。
アイツなら泊めてくれるかも。
そうやって連絡したのが富士で、午後9時くらい。

12時には着くだろうと予想していたものの、
箱根付近の山の霧で怖い。
ライトを消したら何も映らない。

後ろからはトラックがガンガン「早くいけ」
とパッシング。
オレも60km出してるのに、怖い。

雨も降ってきそうな天候の中、
空を見上げても、星が見えない。
北がどっちかもわからない。
携帯の電池も切れるかもしれない。

金はあっても、使えない。使えないというか、
使い道がない。
店がない。
道を聞こうにも人がいない。

そんな中、不安と希望との葛藤の中を
走らせて、松阪を出て13時間後に目的地に着く。

ジュリーが言うには、今日は同じ学校の友達がいるとのこと。
ジュリーは20歳でソイツが21歳。
オレよりカナタは一つした。
なるほど。

どんなヤツなんだ?
オレをどんな風に言うたんや?

など、色んな話をしながら部屋に入る。
なんかロックな野郎が中にいる。

ブアイソウではないが、感じがいいわけでもない。

って言うか部屋が汚い。

でも、あたしはすぐに打ち解けて、
気付いたら酒を買いに行き、

語りに語った。

ジュリーは元々松阪の人間だが、
映画監督になるという夢を持ち、
神奈川の映画専門学校まできた。

しかし、ジュリーは夢ばかりを語って、
現実に動いていない。
そこが気に食わない。
他人だったら別にどうでもいいわけだが、
他人じゃないし、愛すべき後輩だから、
余計に腹が立つ。

カナタはとても熱いヤツで、色々な経験をしていた。
彼は「美術」がやりたいと思っている人間で、

最近のアルバイトでは、ヤンキーロックバンドの
気〇団の「族」というシングルのPVに携わったといっていた。
そのPVにバイクを解体して作ったピッチングマシーンが出てくるのだが、
それを作るのを彼も手伝ったと言っていた。

映画の美術(つまりは背景や小道具などに携わるわけ)には、
周りの人間がおかしいということをしまくってる。
ジュリーがアイツ何してんだろ?
って教室から出たら、ロッカーをのこぎり?で切り倒していたとか、
人肉を表現する為に、豚肉屋に依頼する時に
普通に
「人肉に近い肉あります?」
と聞いたらしい。
アホだ。

しかし、彼の思いは熱かった。
そして彼なりの不安、ジュリーにはジュリーなりの
不安を抱えながら生きていた。

映画会に、「道」などない。
「道」は完璧に自分で作っていかねばならない。

映画学校に通ったからといって、
映画に携われるわけじゃない。

どれだけのことをしても、
それが認められないこともある。

給料もアシスタントでは食べていけないほどのもの。

しかし、彼らは夢を持ってそれを糧として生きている。

しかし、その中でも悩みが彼らなりにあって、

僕も映像という分野で働く身だから、
語り倒した。
2時から朝の6時まで語り倒した。

映像って何だろう?
夢って何だろう?
どうすればいいんだろう?
失敗したら・・・。


しかし、彼らは輝いていた。
無茶苦茶なでかい夢をかなえる根拠もなしに、
キラキラと輝いた目で話している。

自分はこう思うと、自分の考えがあるのだ。
その中でも悩み、苦しみ、

なんとか生きている。

オレはそういうヤツが好きだ。
オレとカナタはすぐに気が合った。

もう、お前バカ。愛してるよ。


バカらしくも、一般ではなくても、
夢をかなえる為に頑張っている若僧が、
オレの目の前にいる。

オレのようにバカな夢を純に描き、
それをかなえようともがいているヤツが。

くそったれな世界を知ってしまいながらも、
必ず、必ずと、自己をでっかく表現してるんだ。


嬉しかった。
ただ、嬉しかった。

オレと同じだからじゃない。
オレと同じ人間なんていないんだから。

ただ、ソイツラのあまりにもバカらしい笑顔は、
オレの目にはとても輝いて見えて、
応援したくて仕方ないんだ。

初めて会ったカナタなのに、
遠い昔から知ってるような感覚で、
もうお前も仲間だよな。

何の為に頑張ってるかと、
そんなの知るかと。

辛いよと。
確かにしんどいと。

自分にこんなことができるのかと何べんも思うと。


だけど、したいんだと。
オレはここにいたいんだと。

そう心が叫んでた。


世の中、
どれだけの悲しいことがあるかなんて、
オレに全て把握できない。
日本を廻って俺はそう思った。

だからこそ、オレはオレの見守れる範囲を
大切に生きていこうと。
オレの誇りにかけて、命をかけたモノを作れるように、
皆に見てもらう為に、オレもプロになりたいと。

俺が旅に出たのは、こういうヤツらと出会いたかったからだと
思った。

旅の一日目は、何の疲れもなく、
ただ酒に溺れ、

恥かしい言葉を連呼し、叫び、

ただ、ただ、語りつづけた。


明日は何処へ行こう?

誰と出会うんだろう。


そんな気持ちが、僕を眠りに誘い、

僕はAM6時半、寝た。


 past    will


sk6 [手紙] [Ai to U]

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