| 2005年01月08日(土) |
くまさんの旅行日記。(まだ書きかけ) |
僕の名前はくまだ。 …くまっていうのは、種の名前であって僕個人の名前ではないのだけど、でも僕は錦市場のちりめん工芸店に並んでいる携帯ストラップで、周りには色違いの仲間がたくさんいて、誰かが買ってくれるのを待っている身なので、僕にはまだ名前がないのだ。
12月のある日、「きゃーvv」という声と一緒に僕のことを取り上げた人がいた。 「かーわいいvv連れて帰ろうvv」 それがこのえちゃんだった。 僕以外にもこのえちゃんは何体かくまを連れていて、家に帰ってから僕たちに名前をつけてくれた。 僕の名前は『くまごろう』になった。…何故って、僕と色違いの仲間を一人、このえちゃんは妹へのお土産にって買っていて、妹さんがそいつにつけた名前が『くますけ』だったからだ。それで、そいつと似た感じで、僕は『くまごろう』になった。 …にしきちゃんとか京くんとかうきちゃんとか、他の子たちの名前と比べると何だか系統が違う気がするけれど、でも『くま』じゃない、自分だけの名前があるのは良いことだ。 こうして僕は、このえちゃんの携帯電話に吊るされて、このえちゃんが携帯を持って出かけるところにはお供することになった。
さて、これで僕の自己紹介はおしまい。今回書かなくちゃいけないのは、1月の8日、9日でこのえちゃんが出かけた京都旅行のことだからね。 ええと、もともと1月8日っていうのは、このえちゃんのお父さんお母さんの結婚記念日なんだって。それで、毎年どこかしらへ二人で旅行へ行っているらしいんだけど、今回はその行き先が京都になって、連休でお休みのこのえちゃんと、妹のあーちゃんも一緒に行くことになったんだ。 このえちゃんは12月に(僕と会った時だね)京都へ行ったばかりなんだけど、京都は好きだからまた行くんだって。
8日の朝は5時起きだった。地元駅の電車の時間が7時11分だから仕方ないね。 このえちゃんの他のぬいぐるみたちもついていきたそうだったけど、皆はお留守番だ。僕は携帯ストラップだから一緒に行けるんだ、えへん。 電車に乗って、新幹線に乗って、京都へ向かった。 12月のときは『おふかい』だったから、このえちゃんはぽよよんとしていれば良かったけど(本当は良くないんだろうけど)今度は家族旅行で、このえちゃんのお母さんとあーちゃんは方向音痴なんだ。だからこのえちゃんが『つあこん』をしなくちゃいけないんだって。 京都の駅に着いたら、このえちゃんはまずはこの間の『おふかい』で覚えてきた、ホテルまで荷物を運んでくれるサービスを利用するつもりだったらしいけど、一個750円の料金にお母さんたちが難色を示したよ。 だけど重い旅行バッグを1日持ち歩くのも嫌だもんね。 とりあえずは、東本願寺に行くことにした。そこは駅から近いから、バッグを持ったまま移動してもそんなに負担じゃないからね。 だけどお寺は修復工事中だったよ。残念だったね、このえちゃん。 「あー!!豆売りがいないー!!」 え?…どうやらこのえちゃんのここでの目的は、お寺を見ることじゃないみたい。 「東本願寺に来たら鳩に豆をやるのが楽しみなのに!!」 …確かに境内には鳩がたくさんいる。このえちゃんが言うにはいつもは門のところに一袋100円で鳩にやる豆を売っている人がいるらしいんだけど、今日はいない。それを残念がっているらしい。 「ちぇー」と言いながら、このえちゃんはひとまずお堂の中を見に行った。鳩のことは差し引いても、東本願寺に来ること自体もこのえちゃんは好きらしい。展示されているものを見たり、お参りしたり。 そうして外に出てきたこのえちゃんの目があるものを見つけて輝いた。 門のところに豆売りのおじさんが来てたんだ。 「私!鳩に豆やってくるから!!」 お父さんに荷物を渡してそう宣言すると、一直線に豆売りのところへ向かうこのえちゃん。 豆を買うと、鳩がこのえちゃんに群がってきた。うう、怖いよう。 だけどこのえちゃんは嬉々として手の上から鳩に豆をやっている。肩とか腕とかに鳩が鈴生りになってすごい光景なんだけど、このえちゃんにはこれこそ東本願寺に来たときの楽しみで、これをやらなきゃ来た気にならないらしい。…その後しばらく、鳩の群れはこのえちゃんを追い回していたよ。
それからタクシーに乗って、まずは今夜のお宿に行くことになった。 結局、ホテルで荷物を預かってもらうことにしたらしい。それならタダだからね。 お宿の名前は『松井本館』。僕がいた錦市場の近くにあるよ。 ちゃんとお宿のパンフレットを見せて「ここへ行ってください」って行ったのに、タクシーの運転手さんは道に迷ったんだよ。 でもその分料金を安くしてくれたから、まあ、いいんじゃないのかな?
次の行き先は東大谷の納骨堂。このえちゃんのおうちの御先祖様のお骨が分骨されてるんだって。 「私もここに納骨してくれないかなあ」ってこのえちゃんは言ってたけど、「結婚しないつもりか」ってお父さんに突っ込まれてた。 そうだよね、結婚したらそのお家のお墓に入るんだもんね。 「…東大谷に納骨してくれる家の息子と結婚…」 このえちゃん、それはちょっとどうかと思うよ…お気に入りなのは分かるけど…本末転倒じゃないのかな…?
東本願寺→東大谷→清水寺、って言うのが、このえちゃんの京都定番コースなんだって。幼稚園の頃からおじいちゃんとおばあちゃんに連れられて京都に来てて、まずは何をおいてもそのルートを辿らないと何か京都に行った気がしないらしいよ。 「あ、でもこの間のオフ会は別ね!あれはもう別格!!」 ふうん。…で、まあ、この日もその定番ルートをまずはたどるはずだったんだけど、八坂神社で蛭子さんのお祭り?をやってたんだよね。 それで、東大谷→清水寺の間にちょっと八坂神社が急遽飛び入り。だけど露店とかも出てて面白かったよ。 お昼は東大谷の門前のお店で湯豆腐を食べてこのえちゃんはご満悦。
それから、東大谷から清水寺までをてくてくと。 途中で『鍵善良房』の『おひもさん』と『菊寿糖』を買ったりしてね。本当はこのえちゃんは奥の喫茶スペースで葛きりが食べたかったみたいだけど、この時はまださすがにお昼に食べた湯豆腐がお腹に残ってて断念してた。 途中にあるお店や神社仏閣を覗いたりしながら、弐寧坂へ。 このえちゃんが前にこの辺りに来たのは高校の頃だから、その時の記憶にあるお店の並びとは結構違っているみたい。 でも、楽しそうにお店を出たり入ったりしている。ねえ、何を買うの? 「くまごろうや家でお留守番してるみんなの新しいお友達」 またくまさんが増えるの?お友達が増えるのは嬉しいけど、後ろでお母さんが「…何でそんなくまばっかり集めて…」ってため息ついてるよ、このえちゃん。 でも、くまなら何でもいいってわけじゃないんだよ。このえちゃんにはこのえちゃんなりのこだわりがあるみたい。僕みたいな縮緬とか、その他にも和布で作ったぬいぐるみを売っているお店は弐寧坂にも、それから進んで三年坂にもちょこちょことあって、その度にこのえちゃんは足を止めてそのぬいぐるみたちをじっと見てるんだけど、「違うなあ」って呟いて離れちゃう。 あ、でも、くまだけじゃなくて他のものも買ってたよ。淡いピンクの地に蝶々の絵の扇子とか、うさぎさんの絵のカードとか。金平糖とかも。 そうしてやっと清水寺について、中を拝観。 地主神社でとっても熱心にお参りしてたよ。 「あ、バラしたなくまごろう!」 え、ダメだった?おみくじで大吉が出たこととか、良縁祈願のお守り買ったこととかも話しちゃダメ? 「…もう言ってるじゃん…」 でも、一生懸命お願いしてたから、きっと地主神社の神様もこのえちゃんのお願い聞いてくれるよ。 「そうねー、早いうちに良いご縁が欲しいものねー、ウフフフ…」 …なんか、このえちゃん、怖い…。 音羽の滝で水を飲んだりして、三年坂でお茶をしたりまたもう一回お店を覗いたりしつつ来た道を戻って。
高台寺の前のお店で、このえちゃんはやっとお眼鏡にかなう子を見つけた。 薄い緑色の、携帯と同じくらいのサイズのくま。 同じような色違い、種類違いのぬいぐるみがたくさんあったけど、このえちゃんはその子がよかったんだって。何でって言われると答えられないらしいけど。 「だって、くまごろうを選んだのも直感よ?同じ生地の仲間がいっぱいいたでしょ、あのお店で」 そういえばそうだ。要するに、まあ、僕にしろこいつにしろ家でお留守番の皆にしろ、このえちゃんに会う運命だったんだ、と言っておこう。
本当は清水寺の後は南禅寺に行くはずだったんだよ。 それなのに時計を見てびっくり。弐寧坂三年坂清水寺で、何と3時間以上も経ってたんだ。 「…次元のよじれが…」 違うよ、このえちゃんたちがずっとあの周辺でいろんなお店を見たりお茶したり1回来た道をまた戻ったりしてたからだよ。 何にしても、もう4時近いから、南禅寺まで行くのは諦めて、お宿へ戻った方がいいよ。 「そうだね」とこのえちゃんも頷いた。『つあこん』は臨機応変でなくちゃいけないらしい。 お宿は柳馬場通りにある。このえちゃんたちは八坂神社の前まで戻ってきてるから、四条通をずーっとまっすぐ行けばいいんだよね。 それにしてもすごい人。おまけに八坂神社前の商店街のスピーカーからはエンドレスで「商売繁盛で笹持って来い」の歌が…。 「ああっ!あの歌が頭から離れない!!」 リズミカルで歌詞は簡単だから1回頭につくと離れないんだね。
ふう、まだもうちょっとあるけど、疲れちゃった。 続きはまた書くね。
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