彼と出会うずっとずっと前から、夫に愛情はなかった。 一緒に暮らしてきた「家族」としての 情 はあったけれど。
夫に対しての不確かだった愛情は、一夜にして『無』になった。 それから私の夜更かしが始まった。 夫が熟睡してから、そーっと寝室に入る。 そんな生活が6年以上続いていた。
「パパもママも大好き!」 と子供が言う。 離婚を真剣に考えたこともあったけれど、子供のために いい夫婦 を 演じていかなければいけないと思っていた。 精一杯演じていた。 傍目には、かなり幸せそうな家族に見えていたらしい。
本当は、それが良いことなのかどうなのかとても迷っていた。
「離婚はダメだよ。子供のために絶対ダメだよ。ガマンしなくちゃ。 離婚したら今の生活レベル保てないよ。そしたら子供が可哀相だよ。 それにガマンしてれば働かなくていいんだよ。ずるい考えだけど 働くのは大変だよ。私だってずっとそう思ってガマンしてきてるんだよ。」
年上のママ友が、そう穏やかに話す。 それこそ、とても幸せそうな家族に見えていたので意外な発言に驚いた。 と同時に、何故か安心した。 ウチだけじゃないのね、、と。
それからの私には迷いがなくなった。 離婚はしちゃいけない。 虚しさはあったけれど、、、ずるく生きようと思った。
病院で「あとはストレスしか考えられない」と言われていた原因不明の ひどい蕁麻疹が、それから不思議とパタッと出なくなった。
でもそんなずるい生活は、ほんの数年間だった。
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