昨晩、何気なくテレビをつけてみたら、柳 美里の「命」が放送されていた。 残念ながら、途中からだったけれど、ビデオに録画して観てみた。
豊川悦司さんの役者魂に、鳥肌が立った。 彼は、この撮影の為に13キロも体重を落としたそうだ。
私は、”豊川悦司”っていう役者さんの事は、もの凄く尊敬はしているものの・・・ 好きなのか嫌いなのかは、分からないのです。 ”豊川悦司”って言う人物像がはっきりと浮かばない。 彼が演じた役柄でしか彼を認識する事が出来ない。 役柄によって、もの凄く大好きになるのですが、 役柄によっては、もの凄く気持ち悪くて大嫌いになる。 それだけ、役柄になりきっている。 個人個人の魂を持った、別人になりきっている。 その演技に、その人物に、私はすっかり騙される。
「あなたは、僕を殺してくれる?
治る見込みの無い病気にかかって、痛みや苦しみに耐え切れなくなった時 アルツハイマーや、精神病になって自分を失くした時。 自分から生きる事も死ぬ時も出来なくなった時は・・・
あなたは、僕を殺してくれる?」
健康で希望に溢れた若かりし頃の東の言葉。
周りに迷惑をかける事が耐えられない・・・ 哀れな目で見られる事に耐え難い・・・
それならば、潔く命を落とす方が美しい。 美しく散りたい。
正直、何が正しいのか分からない。 諦めず、どこまでもどこまでも戦い続ける事。 死を受け入れて、静かに命を絶つ事。
この映画の中で、最後の最後まで諦めず、”生きる事”へ執着している東の姿は 見ていて、決して美しいものでは無い。 壮絶で苦しくて、目を覆いたくなる。
かつて、「殺してくれ」と言っていた男が、ここまで、”生きる”事へ執念を燃やす。 ”生きる”と言う事は、いったい何なんだろう。
「生きたい」 「生きていたい」 「何が何でも生きていたい」 「一分一秒でも長く生きていたい」 どんなに恥ずかしくても、どんなに醜くても、どんなに哀れでも・・・
生きるという事は死ぬよりも何百倍も辛くて、しんどくて多くの勇気が必要?
それでも「生き抜きたい」と思う。 その理由は何?その目的は何?
私には、まだ見つける事が出来ない。
でも、知りたい。
みつけたい…
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