〜 女房の呟き 〜
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 凡庸

 
 夏の午後
 母から荷物が届く
 
 その前日に電話があった
 「着いたらすぐに開けるのよ?」
 
 
 トマトにメロン、枝豆、みかん。
 街場に住む母のこと、全て値札つき
 田舎の都会は、意外と物価が高い
 こっちで買うほうがもっとずっと安いのに
 
 木箱に入ったお素麺。
 だから、おかあさん
 親が娘に中元贈ったりしないんだってば
 
 
 ビニール袋にくるまれて
 小さな短歌集と一筆箋が一冊。
 
 父が逝って三年余った
 遺された犬と広い家
 北向きの台所は夏でもしんと冷えている
 六人掛けの食卓で、母は絵を描き歌を詠む
 
 便箋の絵柄は、
 一羽の雀とカラスエンドウ
 


2004年07月27日(火)
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