凄いとしか形容のできないものだった。 小高い丘(崖、といったほうが正しいかも)から湖畔を覗き、目に映ったそれは今まで生きてきた中一番といえるものであって 目の前に広がる湖と空の碧が、混ざり合い一つになっているような 太陽の光を水面が反射して、光っている。
わたしは、その情景を一瞬で終わらせたくないという思いに駆られ、 焦ってカメラをとりだし構えた。
そのときだった。
崖から足をすべらし、下へ滑り落ちた。 その瞬間カメラのシャッターをきったのだから、さぞ写真はできあがってもぶれていることだろう。
もう一度、落ちたそこから目を前に向けると
あんなにも美しい空を、すっかり灰色の雲が一瞬の間に覆い尽くしていた。
そこで、目が覚めた。
まぁ、考えたら絶景なんてものは、この目に焼きつかせておくもので どんなに何万画素、何百万とする一眼レフで映しても、 きっとこの目に映る風景に勝るものなどないよな、と。
デジカメってものは、いつも持ち運べるし、自分でパソコンに取り込めばすぐ見ることができるから、現像代もかからないという利点をもっているわけだけど、 そのときの感情とやら何やらを一番自分の瞳に映した感覚に近く再現できる写真を撮るならば、やはり普通のカメラでとったものがいちばんなのではないかと思う。
高校生のころ、お父さんに一個、すこし大きくて重いカメラをもらった。 イギリスに行ったときも、どこにいくにせよそんなリスクを負いながらも持っていった。 でも何だかんだいって、現像してみると自分が想像していたものよりもはるかに美しい写真が出来上がっていることに驚いたものだ。
受験が終わってデジカメを買った。 200万画素のもの。 いつでも持ち運べるよう小さく軽いことはもちろん、 レンズを後ろ前に移動することができる優れもの。
でも、なんだか撮ったものをパソコンでみてみると、なんだか薄っぺらい気がしてならない。 そのときの楽しい雰囲気を映すならいいのだけど、 なんとも言いがたい風景を残すためにはあまり使えるものではないかもなぁ、と。 写真の鮮明さや解像度は、あとでパソコン内のツールを使えばどうにでもできる、とは思うものの。
感情がこもっていない写真は、それまでだと思ってしまう。
まぁ、そんな夢を見たおかげで、そんなことを考えてしまったわたしでした。 なんだかんだいって、写真は大好きです。 最近とってないなー。
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