女房様とお呼びっ!
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2003年04月08日(火) かわいそうなキミが好き

時々思い出したようにイリコに訊くことがある。
「奴隷やるのって辛いでしょ?」
応えて奴が「辛いです」と言う。

もちろん、その前後には何かしらエクスキューズが入るのだが、
私としてはその一言だけにしみじみと心が深くなる。
我ながらその情動が面映くて、
大抵その後に「辛いのになんで奴隷やるの?」なんて茶化してしまう。

すると、奴は「お慕いしてるからです」なんて嬉しい回答を恵んでくれるのだけど、
そう答える奴の困ったような面持ちこそが愛おしい。
それは、辛くても服してくれる健気さにほだされるというよりも、
望んだとはいえ辛い境涯に落ちた奴の身の上に、”哀れ”を感じるからだ。
可哀想に…と慰めながら、ぎゅぅと抱きしめたくなるよ。

とは言え、実際に抱きしめはしない。
身の内に胸苦しさを留めることで、一層奴への愛おしさが募るのだ。
それに、敢えて構わずにいて、もっともっと可哀想な奴が見たいとも思う。

辛そうなキミが好きだ。
可哀想なキミが好きだ。
だから、こんな辛い仕打ちばかりしちゃうのかな。
奴隷だから辛くて当然と突き放してしまうのかな。

ふと我に返って、そうしてしまう自分に疑問を投げてみる。
奴は決して辛いことが好きじゃないはずだ。
普通相手の嫌がることはしないものだし、私だって、相手が奴じゃなきゃしない。
奴だから、辛いとわかっていても辛さを課してしまうのだ。
やっぱりイビツだ。だから性癖か。
じゃあ、辛くとも従う奴の場合、どうなんだ?(笑

・・・・・。

SMも含む性行為に限れば、私は奴を辛がらせるのに躊躇しない。
が、それも奴がそう望むからじゃない。
いや寧ろ、巷にありがちな”痛苦に貪欲で恥辱に欲情する”式のマゾだったら、食指は動かない。
かといって、痛苦に耐えてこそMの本懐なんて構えられても困る。
辛ければ辛いと泣き喚き、止めてと懇願して欲しいのだ。

このとき私は、S側にあってはありきたり(笑)に、奴が辛がり苦しむさまにソソられる。
それで更に行為しては、もっと嫌がらせようとする。
奴が嫌がれば嫌がるほど、その可哀想な様子に狂おしいような感情が湧く。
そんな奴が可愛くてならない。心から愛しいと思う。
自ら酷いことしといて、可哀想がって・・・そんな愛し方をする。

勿論というか、しかしというか。
時に愛しさが溢れて、ただただ愛撫することもある。
手の中の小さな動物を目一杯撫で回してる感じ。ワタシの大切なモノ。
けど、そうやって直接的に大切にされ慣れない奴としては、
少々戸惑いを覚えるらしく、怯えながら抱かれている。
ま、そんな風情も可愛い。いや、そんなだからますます可愛い(笑。

・・・・・。

このところ私は、行為以外の部分で奴を辛がらせてばかりだ。
ここで過ぎたことを暴き立てるも然り、現在奴に課している作業も然り。
いや、最近に限らず、振り返れば、奴には辛いことの連続だったろう。
だから、時々「辛いか?」と訊き、
時に言葉で時に語らず、辛くてもついてきて頂戴と口説いた。
それに奴は応えてくれた。

如何にもあざとい言い分だけど、行為だけの関係じゃないから、こうなってしまうんだろうと思う。
可哀想にと思いながら、いや、可哀想にと思いたいからやめられないのか(笑。
だから、これからも辛さに甘んじて欲しいと切に願う。

あぁこれって、殆ど自分への言い訳だとわかってるんだけど。
ごめんね、でもね、可哀想なキミが好き。


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