女房様とお呼びっ!
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2003年02月06日(木) |
ワタシのすっぽかされ事情 #2 |
初対面の、しかもSMは初心者と伺ってた彼をSMバーに連れて行くなんて。 随分と乱暴な話ですが、とはいえ、その時咄嗟に思いついた事ではなかったのです。 首尾よくお目にかかれても、最終ご一緒することを提案しようと思ってました。 だって、そこには、彼がその存在を疑う「女王様」が実在してるのですから。
失礼な話ですが、私が彼に会おうと思った動機もそこにあります。 夢を諦めなければ、そして機会さえあれば、求めるものは見つかるのですよと、 しかも、彼の生きるほんの近くに、当たり前の人の形をして存在するんですよと、 お節介にも知らしめようとしたワケです。私との対面やそのSMバーで。
もちろん、彼が本当に女王様の存在を疑ってたかどうかは、わかりません。 或いはそれは、女王様探しに疲れて吐いただけの嘆息めいたものかもしれない。 それでも、自称S女の私や他の女王様たちとお話が出来れば希望が繋がるかしらと、 ただただ自分勝手な想像を巡らせて、独り善がりに予定を進めてしまったのです。
◇
さて、会ったばかりの女に「SMバーに行こう」と言われてしまった彼ですが、 やはりM魚らしくS女の私に礼を払って、粛々と後をついてきてくれました。 道すがら、少しは会話を交わしましたが、きっと酷く緊張していたことでしょう。 自分の前を歩くのは初対面の女。しかもS女。行く先は聞くも恐ろしげなSMバー。
地下への暗い階段を延々降りて、ほの暗いライティングのエントランスを潜り、 中へ入ると、意に反してそこそこの客入り、その目が一斉にこちらに向けられて、 ママが「あらぁ」と親しげな声をあげ、男の客の何人かが恐縮したように挨拶し、 女の子が「新しい奴隷さん?」とお決まりの台詞を投げて、お約束で私も笑って。
◇
あぁ、こうして順を追って言葉にしていくと、自分の軽はずみに眩暈がします。 賑やかしく振舞う私の傍らで、彼がどんな思いでいたのかは想像に難くありません。 しかし、その時の私は浅薄にもそこまで頭が回らず、いつもの調子でくつろいで、 彼の緊張に気も払わずに、あからさまなSMネタで盛り上がってしまいました。
今更の言い訳ですが、しかし、それすらも私の思惑には適ったことでした。 そのバーはSMバーといえど、女王様がホステスを勤め、専ら会話を楽しむ場で、 しかも彼女らは変に女王様を気取らず、人として正に等身大で話をしてくれます。 だから、彼が、私も含めた女王様たちと「人として」談笑できればと願ったのですね。
かくして、彼女らの気遣いのお陰もあって、彼も次第に打ち解けた風になり、 彼自身の願望について明かしたり、それについて他の者があれこれと質問したり、 私としては所期通りの”彼にとって有意義な時間”が展開されたと感じてました。 そして時刻も頃合に、「電車で帰りなさいね」と機嫌よく見送ったものです。
◇
さて、ここまで。 遅れて来といて独りで帰すとは、なんとも失礼な話ですが、事情から致し方なく、 翌日には、せめてこちらから早々に、お詫びとお礼の電話を入れました。 すると彼も極々普通に礼を述べ、「ご馳走様でした」と仰るので、それを受けて、 「じゃ、今度お茶でもおごってね」と、その週末の約束を交わしたのですが・・・。
結局、これまたすっぽかされて、以後連絡が途絶えてしまったのです。
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