女房様とお呼びっ!
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2003年02月05日(水) ワタシのすっぽかされ事情 #1

先の彼を諦めて後、伺ったバーはいわゆるSMバーで。
その手の店にとって、電車のある時刻なんてのはまだまだ宵の口で。
中に入ると、見知った女たちがくつろいだ風に客待ちをしているのでした。
唯一の客は、デイトの後に合流しようねと約束していた常連のM魚。

その光景に、私は、まるで我が家に帰り着いたかのような安堵を得て、
コートも脱がずにソファに沈み込んでは、先程までの事情を嘆いてみせました。
心優しいママは、そんな私を見逃して、オーダーとるのも先送りに頷いてくれます。
そして「それはヒトとしてどうかと思うよ」と私の思い通りの言葉をくれるのです。

道理のわかった信頼できるS女の彼女に味方してもらえると、本当に嬉しくて、
嬉しさあまり、「そうよね?そうよね?」と周りにも強引に同意を求めたりして。
調子に乗って、「あれって人のことナメてんのかしらねッ?」とぶちまけたりして。
まぁそんな感じで一頻り愚痴を吐き散らかして、落ち着いた頃合に気づいたこと。

「わたし、この手の事があると、ここへ伺ってるわよね?」
「あぁそうそう!前もあったあった!」 応えて、ママが楽しそうに笑い、
「ヤな事あると、ママを思い出すとか?」 同席していた女の子が合いの手を入れ、
「ここ来ると安心するのよねー」 私はお世辞ではなく、心からそう応えました。



けれど思うに、私にとっては安心できる場所ですが、そこはやはりSMバーで、
いくらSMを嗜好してても、知らない方にとっては恐ろしげな場所だと思います。
私もまた、初めてそういう場を訪れたときは、不安と緊張に震えましたもの(笑)
恐らくは、それが「まともな感覚」だと思いますし、誰彼にお勧めはいたしません。

ところが、時に「まともな感覚」を忘れてしまうことがあるんですね。
たぶんそのせいで、数年前、とあるM魚にすっぽかされた経験があります。
すっぽかした自体は、当然彼の側に非があると思いますけれど、
その結果を招いたのは、「まともでない」私だったのだろうと反省しています。



その彼と知り合ったのは、まだテレコミを使っている時分で、
「ボクは女王様を求めているが、本当に女王様なんているんだろうか?」
と切々と訴える彼の伝言に感応して、私のほうからコンタクトをとりました。
そして、電話から届く彼の声音や雰囲気に納得して、近日のアポをとったのです。

が、当日。私はどうしても仕事を抜けられず、彼を一時間も待たせてしまい、
しかも地下に潜っていたせいで、電話を受けるも掛けるもままならなくて、
漸く連絡できたときには、既に彼は帰宅の途につこうと駅構内にいるありさまで、
携帯で聞く彼の声からは、待ちくたびれた失意と怒りが伝わってきます。

慌てた私は平謝りに謝って、とにかく戻ってきて欲しいと頼み込みました。
この勝手な私の言い草に、ほぼ失望していただろう彼は半ば憮然と返事をして、
それでも、所定の場所に姿を見せてくれたのです。やはり怒ってる様子でしたが。
とにかくお詫びを言うも、そこは往来、時刻は21時過ぎ。さあどうしよう・・・。



そこで「どうします?」と彼に問えば、M魚の常で「お任せします」と仰るので、
お任せされちゃった私が採った選択が、今思えば過ちの始まりとなりました。
ええ、前述した「まともでない感覚」で、件のSMバーにお連れしたのですね。
しかも、その時の私は、それが彼にとっての最良の接遇だと考えていたのです(痛。


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