女房様とお呼びっ!
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2002年02月21日(木) オコゼがキレた日 #2

「3時間待たせたんだから、倍にして返してあげるワ」私はオコゼにそう宣告した。
私の声を背に聞いて、車を操る奴の肩が、ビクッと震えた瞬間をよく憶えている。
それを見て、私は声をたてて笑った。とても愉快な気持ち。わくわくと胸が鳴る。
・・・そう、この言葉を告げた時点で、お仕置きネタへの怒りはとうに消えてたの。

あくまでも私見なのだが、お仕置きは怒りや失望の頂点で行われるもんじゃない。
尤もらしく言えば「やるべきじゃない」のだが、実際の所、やる気にならないのだ。
負のエネルギーを相手にぶつけるのが、苦手なんだね。いくら相手がM魚でもさ。
怒りに任せて暴力を振るうことに、嫌悪感がある。とうか、ツマンナイんだな(笑

だから、「お仕置き」という行為は、それを口実に、相手をねじ伏せる展望に立つ。
心身共に苦しい状況に追い込み、無力感や絶望感、諦観が生じるのを期待する。
そこから、更に、私に傾倒する動機や心情が増すところまで期待して、企まれる。
・・・ナンカ、大層な御託を並べたけど、私が「お仕置き」に託す意味ってとこで。

・・・・・。

さて、「お仕置き」宣告する醍醐味を味わったものの、執行の日までは忙しかった。
奴の承知している「お仕置き」を超えて、私の思惑は走る。先の嘘をどうするか。
やはり、奴の前の主さまにお出まし願わねば。対面させて、度肝を抜いてやろう。
どういう対面のさせ方をしよう?もう偏執狂的に、次々プランが湧く。熱中する。

まず、待ちぼうけの倍返しをしなきゃ。当然、拘束して放置だな。倍で6時間ダ。
けど、そんなに長時間の放置をしたことがない。バイブルを漁り、構想を練る。
バスタブに浸かって、体を折りつつ考える。血流、呼吸、気温と湿度。などなど。
視覚と聴覚はどうする?あぁそうだ。視覚は閉ざしておこう。次の展開を呼ぶわ。

視力を取り戻した奴の目に、バックレた前の主の姿が飛び込む仕掛け。YES!
普段のSMプレイでもそうなんだけど、こうして頭の中で組み立ててる時が最高だ。
もしかしたら、現場で行為するより熱中してるかもしれない。本末転倒だけど(笑
あとは、彼女との日程の調整。幸い、近日にパーティーで会える。準備は調った。

・・・・・。

パーティーが催されるホテルに部屋を取る。午後10時。パーティーまで間がある。
しばらく普段通りに話をする。いつも通りに、奴は奴隷を務める。大したもんだ。
しかし。「さてと…脱ぎなさい」私が発した言葉を聞くなり、奴は身を固くした。
そして、儀式のように神妙に服を取り始める。それを眺めながら、心が浮き立つ。

裸になった奴の体を、結束していく。何度もイメージした縛り方なので、簡単だ。
縄をかけながら奴の股間を見れば、しっかり勃っている。あぁ、マゾは哀しいね。
からかうように言葉を投げたが、奴の表情は強張ったままだ。いいね、その調子。
よちよちと歩ける程度まで縛り上げ、その瞳を覗き込みながら、猿轡をかませた。

次に、首に直接鎖を巻いて、浴室へと引く。転倒しないよう、細心の注意を払う。
乾いたタイルの上へ尻をつかせ、最小限の言葉で様子を訊く。首が縦に振られる。
「じゃ、私が帰るまで待っててね」目隠しを施しながら、告げる。奴がうなづく。
バスタブの栓をせずに、湯を捻る。派手な水音は、去りゆく私の足音を消したか。

・・・・・。

今にして思えば、おっかない行為をしたものだ。不測の事態を想像すると震える。
しかし、当夜のパーティーの間中、私の気分は高揚していた。破廉恥なくらいに。
これ程大がかりな「お仕置き」を決行した自分に酔ってたんだろう。恥ずかしいね。
更には、例の嘘を暴く企みに向かって、気が逸る。朝が来るのが待ち遠しかった。


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