女房様とお呼びっ!
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2002年02月18日(月) オコゼが笑った日

SM(DS)にのめり込んでいる連中ってのは、色々と決まり事を作るのが好きだ(笑
大きくは、SM観に絡むようなもの。斯界の論議のネタにもなって厄介なんだけど。
曰く、本当のSMはセックスをしないもんだとか、S側は服を脱がないもんだとか。
ま、情報が広く流布する今じゃ、人それぞれのSMってトコで落ち着いてるけどね。

対して、小さくは、SMのお作法的な部分。SMオタクなら、やっぱ拘りたいよね(笑
首輪をかけるのはS側のやることだから、M側は勝手につけちゃイケナイよとか。
S側の前では、M側は正座だよとか・・・ま、ままごとじみた決め事なんだけどサ。
けど、パートナー間の決まりって、甘い絆っぽくて悪くないナと思ったりもする。

更には、相手も得ないうちに、まだ見ぬ女王様との決め事を夢想するM魚は多い。
彼らの夢想の糧は、そこらに転がっている。SMクラブの経験や、M専誌の記事等。
ご調教前の挨拶に始まり、隷属の宣誓、奴隷の礼儀、色々細かく決めてみてる。
いや、それが悪いってんじゃない。恋に憧れる少年みたいで、可愛いいじゃんネ。

・・・・・。

オコゼと初めてプレイらしきものをした時。奴に、何か質問があるか?と訊いた。
すると「ご挨拶はどうすれば?」と言う。奴の言葉の意味が解るだけに、可笑しい。
「コンニチハでいんじゃない?」そう返すと、奴は拍子抜けした顔をしたものだ。
きっと、仰々しいご挨拶をさせられる「奴隷な自分」を夢想してたんだろうねぇ(笑

そう言えば、「犬」にも、この手のがっかりを喰らわせたっけ。やはり初めての時。
正対しても、一向に目を合わせようとしないのを不審に思って、訊いてみたんだ。
曰く「奴隷は、主様の胸より上を見てはいけないので…」正直、面食らったわヨ。
「それが正道としても、私はお前の目が見たいわね」笑いながら、それを退けた。

今でも、当時から一貫してそうなのだが、私は殊更に仰々しい言葉遣いはしない。
いや寧ろ、しない人の方が多いんじゃないかな?少なくとも、私の知る限りでは。
巷で噂される「如何にも女王様な振る舞い」は、世間が創った神話みたいなもん。
神話を体感したい客の要望を、辛うじて、クラブ嬢が叶えてる程度かもしれない。

・・・・・。

というワケで、特に大層な決まり事を課することなく、オコゼとの逢瀬は続いた。
それでも、私達がうち解けた雰囲気になることはなかった。ま、仕方ないわよね。
だって、互いに緊張感ある関係を望んだし、馴れ合う程の時間も経なかったし。
訊かれた事に答える以外は、しかつめらしい顔で寡黙に奴隷を務めていたっけね。

傍目には、何とも味気ない、何が楽しいんだかってな間柄に見えただろうと思う。
でも、当人達が納得してそうしているなら、それでいいのだ。言うまでもなく(笑
奴は窮屈な緊張の中に身を置いては、憧れの「奴隷な自分」を満喫してた筈だし、
私もまた、奴が笑む余裕もなく、緊張しきっている姿に満足していたのだから。

これは、オコゼに限らず、「犬」も、それ以外の者と関係したときもそうだった。
どうにか微笑むくらいは出来るのだが、声をたてて笑うには、なかなか至らない。
「犬」の笑い声を初めて聞いたのは、付き合い始めて、数ヶ月経った頃だと思う。
私をマッサージしてる最中、テレビの内容につられて笑ったらしい。吃驚した(!

・・・・・。

さて、オコゼが初めて笑った日。これは、鮮明に記憶しているヨ。印象的だった。
ふとした時に、「たまごっち」が私を呼んだ。まだ、ソレが流行始める前のことだ。
神妙な顔で「たまごっち」を捧げ持ってきた奴に、アレコレと操作して見せてやる。
不思議そうに見つめてた奴が、遂に一瞬、笑い声を漏らした。何だか嬉しかった。


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