女房様とお呼びっ!
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もう旬は終わったかしらと残念に思っていたのですが、 今だからこその、よく熟れたラ・フランスを頂きました。 ああ、嬉しい。
あなたは、この破廉恥なほどに官能的な果物をご存じですか?
なだらかな肩のラインとか、 ぽってりと膨らんだお尻の辺りとか、 持ったときに掌に張り付いてくるような弾力とか、 何より、鼻をくすぐる濃厚な香り、
全てにおいて、女性的な果物です。
その薄い皮にそっとナイフを当てながら、慎重に剥いていくと、 あくまでも白く、肌理細やかな果肉が姿を現します。 皮と肉の間から滴る、とろみを帯びた甘い汁に指先を汚しながら、 すっかりと着物を剥いでしまったら、どうぞそっと扱って。
ほんの僅か力が入っただけで、 指先が肉の中にめり込んでしまうほどの柔らかさ。
『 アタシを食べて 』
甘い香りに誘われるまま、その肉を一片削り取って口に入れると、 むせるほどの香りが、口の中から鼻へ抜けて、 と同時に、舌と上顎の間で潰れるように溶けて、 惜しむ間もなく唾液にまみれて、喉の奥へ滑り込んでいくんです。
肉を呑み込んでしまったのに、その残り香は強烈に残って、 また、一ひらの肉を求めてしまいます。
私は、この果物が大好きです。
まるで甘い酒を飲んでいるみたく、 酔っぱらってしまうような錯覚さえ、感じます。 そして、その香りのせいなのか、 見た目や舌触りや濃厚な甘さのせいなのか、 酷く淫らな気持ちになってしまったりもします。
だから、もしも、私を口説きたいと思ったら、 一年のうちの、まさにこの時期に限るのだけど、 この素敵で淫猥な果物と、かりっとしたドライなお酒と、 よく発酵した青かびのチーズの、柔らかいのを用意してね。
そうそう、不思議なことに、よく熟れた洋梨は、 臭くてしょっぱくて、舌にぴりっと刺激のあるブルーチーズと 相性がいいんです・・・何だか、とても象徴的でしょ?
女のあそこに口を付けたことのあるあなたなら、 きっと分かっていただけると思うんだけど・・・。
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