女房様とお呼びっ!
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2001年11月17日(土) 淫猥な実

もう旬は終わったかしらと残念に思っていたのですが、
今だからこその、よく熟れたラ・フランスを頂きました。
ああ、嬉しい。


あなたは、この破廉恥なほどに官能的な果物をご存じですか?

なだらかな肩のラインとか、
ぽってりと膨らんだお尻の辺りとか、
持ったときに掌に張り付いてくるような弾力とか、
何より、鼻をくすぐる濃厚な香り、

全てにおいて、女性的な果物です。


その薄い皮にそっとナイフを当てながら、慎重に剥いていくと、
あくまでも白く、肌理細やかな果肉が姿を現します。
皮と肉の間から滴る、とろみを帯びた甘い汁に指先を汚しながら、
すっかりと着物を剥いでしまったら、どうぞそっと扱って。

ほんの僅か力が入っただけで、
指先が肉の中にめり込んでしまうほどの柔らかさ。


 『 アタシを食べて 』


甘い香りに誘われるまま、その肉を一片削り取って口に入れると、
むせるほどの香りが、口の中から鼻へ抜けて、
と同時に、舌と上顎の間で潰れるように溶けて、
惜しむ間もなく唾液にまみれて、喉の奥へ滑り込んでいくんです。

肉を呑み込んでしまったのに、その残り香は強烈に残って、
また、一ひらの肉を求めてしまいます。


私は、この果物が大好きです。

まるで甘い酒を飲んでいるみたく、
酔っぱらってしまうような錯覚さえ、感じます。
そして、その香りのせいなのか、
見た目や舌触りや濃厚な甘さのせいなのか、
酷く淫らな気持ちになってしまったりもします。

だから、もしも、私を口説きたいと思ったら、
一年のうちの、まさにこの時期に限るのだけど、
この素敵で淫猥な果物と、かりっとしたドライなお酒と、
よく発酵した青かびのチーズの、柔らかいのを用意してね。



そうそう、不思議なことに、よく熟れた洋梨は、
臭くてしょっぱくて、舌にぴりっと刺激のあるブルーチーズと
相性がいいんです・・・何だか、とても象徴的でしょ?

女のあそこに口を付けたことのあるあなたなら、
きっと分かっていただけると思うんだけど・・・。


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