2025年03月15日(土) |
サンライズリーグ 宇治−神戸 京都−RIP ACE |
先週に引き続き中学生の関西リーグ、サンライズリーグである。関西レベルのユース年代のリーグとしては高校生のプリンスリーグ、U−13のヤマトタケルリーグ、女子のU−18、U−15リーグがあるが、内容的には最も面白いゲームを期待できる。なぜならフットボールの本質を追求した専任の指導者が、勝利だけではなくクオリティーを求めたゲームがそこにはあるからである。このカテゴリーは上の年代に選手を送り込まなければ意味はない。高校サッカーだとその年代での勝利を求められるから、必ずしも技術は期待できないし、何なら戦術も大雑把で、中学生年代よりも落ちる部分が少なくない。これはJのジュニアユースに限った話ではない。
この日の会場は宇治の太陽が丘。そして第1試合には宇治FCが登場する。自宅から約1時間でたどり着けた。以前は土だった太陽が丘球技場Aは人工芝になっている。
サンライズリーグ 宇治FC−ヴィッセル神戸 3月15日 太陽が丘球技場A 10時 雨 人工芝
宇治FC 十一九番 七番十八十番十六 五番三番四番二番 一番
神戸 九番 十七十番六番七番 八番 十四三番二十五番 誰々
体格や身体能力では宇治FCは劣勢。センターフォワード9番は必死に身体を張り、ポストをこなす。キャプテン4番はいいキックがある。5番はいい左足がある。10番は身体を張ってチャージも強烈で運べてスルーパスもある。大黒柱。18番は下がり目のボランチとしてやはり身体を張る。10番と18番はフィジカル負けしてなくて守備が効いていて、神戸相手に戦えている。このコンビが肝だった。非常に能力が高い。11番はスピードがあるエース。 神戸はやはり全員逸材といっていいい。誰か突出した印象ではないが、現時点ではスタメン全員に可能性を感じた。プロのアカデミーといっても可能性があるのは一握りだろう、と思うかもしれないが、中学生の段階では身体が成長しきっていないこともあって、技術戦術に注目すれば、ホントに全員に可能性を感じるのだ。番号不明だがキーパーはしっかりつなげて指示を出せる。右サイドバック5番はスピードがあり宇治の7番にまるで突破させなかった。20番はどんどん動かせてクレバー。3番は低く鋭い左足パスが出せる。致命的なミスもしてしまったが。14番はいい左足クロスがある。8番は下がってビルドアップ。身体も強い。6番は中で受けられて上がるインテリオール。10番も受け方が上手い。密集でもちょっと動いて外して受けられる。ボールを受けるために大きく下がらなくてもいい。7番はカットイン専門のレフティ。17番はかわしてシュートコース作る動きが素晴らしい。9番は圧倒的なポストが光るし、後ろ向きのプレーだけでなく、第一の選択肢は裏で受けることで、動き出しが素晴らしいからポストも大きく下がる必要がない。全員に触れたが、要するに神戸は一騎当千の強者揃いということだ。
9分、宇治FCはカウンターからたぶん10番のスルーパスが右寄り11番に通り決めて1−0。22分、神戸、左サイドバック14番のアーリークロスにファーで7番がノートラップランニングボレー左足シュートが決まり1−1。前半は1−1。
ハーフタイム、宇治FCは6番がボランチに入り18番が右ハーフに。自信はないがたぶんあっていると思う。
後半13分、自陣深くで神戸の左センターバック3番は手拍子で右センターバック20番へ横パスしてしまうが、狙っていた宇治FC11番がカット、キーパーとの1対1を難なく決めて2−1。これであからさまに神戸は動揺してしまう。中学生の精神力のもろさが出てしまった。プロのアカデミーといえどもまだ未熟な中学生なのだ。押し込まれて17分、たぶん3番の自陣深くからのパスを宇治FC10番が30メートル地点でカット、素早い判断でスルーパスを出しフリーで受けた9番が右角度のないところから決めて3−1。22分、神戸は左からの浮き球パスを交代出場の11番が右反転ボレーを決める。以降も神戸が押すがちぐはぐで押し切れない。結局3−2で宇治FCが勝利した。
宇治FCはアタッカーの育成が得意という印象で、それは当たっていたのだが、チーム全体のレベルが高く、守備で奮闘したのが勝因。パーソン・オブ・ザ・マッチには中盤を締めた10番を推したい。素晴らしいハードワークだった。 ヴィッセル神戸は間違いなく強いし、特段問題ないので、このままでいい。正統派Jアカデミーとしての魅力は出せた。
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第2試合も地元の京都サンガが登場。相手は大阪の育成の強豪RIP ACE(以下リップエース)だ。リップエースはドリブラー育成が得意で興国高校へ大量に人材を送り出している街クラブだ。
サンライズリーグ 京都サンガ−RIP ACE 3月15日 太陽が丘球技場A 12時15分 人工芝 雨
京都 十一三十 六番十五十番十七 五番三三三番四番 一番
リップエース 九九 八八 誰々十番二二七七 三三五五四四七九 誰々
一応断っておくとリップエースの番号はぞろ目が基本。大きくてもレギュラーなのだ。
京都はキーパー1番はきっちり声を出せる。右サイドバック4番は攻守にミスがない。スピードも十分。3番は完璧にリップエースのセンターフォワード99番を封じる。33番は番号からして下級生?とてもそうは見えなかったが。シンプルにタテパスを出すがきっちりつながる。5番はレフティ。あまり上がらないがフィードは正確。6番は判断が早くワンタッチプレーが多い。この日の京都の象徴。15番はレフティで柔らかいパスを前線に当てる。インサイドでは攻撃的だが追い越さない。10番は地道にプレーしつつ飛び出す。守備力を高めてボランチなのか、飛び出しを生かしてシャドーなのか?京都の中でも特にポテンシャルを感じた。17番は速い。圧倒的なスピードでタテを狙う。カットインが多い最近としては珍しいタテに抜けるウイング。11番はポストが得意だがターンも速い。圧倒的な足もとの技術があるが、シンプルにプレーする。30番はスペースを突く。 チームとしてはあまりポゼッションせず素早し判断でシンプルに前に叩く。クオリティが高い京都だから出来るのは確かだが、育成年代で、特にまだ中学生で徹底的にクレバーにプレーするのは素人目としては大きな疑問を感じる……。中学生なのに完成度ばかり重視しているように思える。勝利には近いのだろうが。
リップエースはキーパーが素晴らしい反応を再三見せる。ピッチ内で最も大柄なボランチ22番が下がって後ろ三枚でゆっくりビルドアップするが、京都とのタレント差からミスが出てビルドアップにならない。奪われて再三カウンターを食らう。キャプテン55番は上半身が強く、センターバックながらロングスローを投げに来る。44番も京都の11番に抵抗できるだけの強さはある。リップエースで足元を仕込まれているのだろうが、中学生時点ではぎこちない。返して言えば、しっかり伸ばしてもらっている、といえる。77番はセットプレー担当。正確なキックがある。22番は守備時はボランチなのだが、身体を持て余しているというか、身体操作は苦手?成長期?10番は攻撃の中心。急がずスローテンポでコントロールする。仕掛けられる選手に見えるが京都相手ではキツイ。88番はシャドーの位置から飛び出したいが、潰される。99番は残念ながらポストにならない。
20分、京都ショートカウンター、11番に素早く預けて反転して左隅に決める。1−0。前半1−0。
京都は後半開始即右を17番が豪快に突破して叩き込む。タレント性が前面に出たゴールで2−0。しかし以降はリップエースが歩いて攻める。フットボールでは歩くチームは必ずしも悪くない。技術に支えられたゆっくりした攻撃というのは全然ありである。そして京都の2点リードしているのだからカウンター狙いというのももちろんありだが、育成年代としては私としては疑問に感じる。しかもその状況でリップエースは2点返し追いついた。雨のため後半35分で撤退するが、京都のフットボールには正直疑問ばかり残った。
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