サッカー観戦日記

2024年02月03日(土) 奈良県高校新人戦決勝 奈良育英−生駒

奈良県高校新人戦決勝
奈良育英−生駒
2月3日 10時 奈良県フットボールセンターA 人工芝 晴


奈良育英
十番九番
十七二二六番八番
五番四番二番十三
一番

生駒
八四
七八
七七十番十五二二
四番八九十七六番
六六

双方とも奈良県の中では体格がよく、身体の使い方もしっかり指導されていて、激しいデュエル合戦になる。まあそのデュエルでも全国レベルでは標準的かな?という程度だが。奈良育英はセンターフォワード9番がさして長身ではないが、身体を入れたらキープでき、パワーはなかなか。トップ脇10番は両足蹴れてピタッと止めるのだが、変化をつけることもなく、体格を生かして競ってボール回収が主任務かな?17番は快速左ウイング。技術は荒いがスピードでちぎる。6番はチーム1のタレントで視野が広くクレバーでいてほしいところにいて攻守でボールに絡む。展開力がある一方で細かいプレーもでき、機を見て前線に上がっていく。フィニッシャー適性もある。22番は技術的にイマイチだが、自らのパスミスで失ったボールにさっと寄せて自ら奪うシーンが何度か。サイドバックは攻撃のフォロー役で必ず大外を上がる。左センターバック4番はよく声を出しバックラインを統率するが、闘争心を出す一方で具体的なコーチングにはやや欠けたように感じた。

生駒はやはりセンターフォワード84番が長身で競り勝てるが孤立気味。前線に張っておく指示を受けていると思われるが、チームとして活かせなかった。78番は前線のフリーマン。ボランチの位置まで下がり組み立て、トップまで駆け上がる。22番と77番はサイドに張るが、他の選手との距離感があり過ぎる。さらにサイドバックがインナーラップするわけでもない。そもそもほとんど上がらない。15番は下がり目で組み立てる。10番が上がり目だが、インサイドの連携もイマイチで、つまり古田先生はかつてのビルドアップの理想を捨てたように見える。中盤から前の攻撃時の距離や連携がバラバラで、生駒としてはカウンターでまずサイドに出したいが、リンクマンがいないので、パスの起点がない、という状態である。ただ守備時の身体の使い方は流石で、他の高校なら奈良育英9番に歯が立たないのだろうが、生駒89番と17番は抵抗できる。もっともセンターバックコンビはキックや判断に難があり、特に17番はトラップが決まらずパス出すときには詰められてカットされるシーンが何度かあった。

双方の力比べでは中盤インサイドの力の差があり、奈良育英が支配し、生駒はカウンターを狙おうとしてもカウンターにならない展開が続いた。そして前半半ば、奈良育英6番が中盤で持ち、左に展開のパス、生駒右サイドバック6番も分かっていたが、カットできそうでできない。17番に渡り、生駒6番をスピードでちぎり、左グラウンダーマイナスクロス、9番が決めて奈良育英先制。1−0。前半は1−0だった。

ハーフタイムで生駒は前線を14番と70番、右ハーフを79番に代え、エース78番を左ハーフに回した。そして攻撃時に2トップとサイドハーフを前線に張らせて4トップ気味にする。これに対し奈良育英は手を打たず、数的同数になってしまう。生駒はビルドアップできないのだから早めに前線に入れて押し込むプランに変更。奈良育英が無策なのは解せないが、とにかく生駒の流れになる。そして右クロスからダイビングヘッドで生駒同点。1−1に。奈良育英も22番を19番に代えて、19番は体格があるのでバックラインのヘルプを意識するが、打つ手が遅いように感じる。まあベンチの采配で勝つよりピッチ内で解決してほしかったのか?いずれにせよ新人戦特有の采配で、総体予選ではありえないと思う。

80分が終わり延長に入ると奈良育英の流れが来て2点追加。3−1で奈良育英が勝利した。

勝負としては互角になったが、クオリティでは奈良育英がはっきり上だった。互角の勝負になったには、生駒の策に奈良育英が付き合った、いわば奈良育英の承認のもとで勝負になった。生駒はいつもチーム作りをあまり進めない印象があるが、連携をしっかりすれば強いチームになるのに惜しい、という感がある。ここの体格や技術は奈良県内としてはしっかりしているし、肉弾戦については間違いなく奈良県トップクラスのゲームだっただろう。ともに総体で全国を狙う両校だが、チーム作りでは奈良育英が上を行った。


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T.K. [MAIL]