2023年04月22日(土) |
奈良県1部リーグ 奈良育英−法隆寺国際 畝傍−天理 香芝−五條 生駒−山辺 |
奈良育英−法隆寺国際
奈良育英 七番誰々 十一十番二十六番 十六二番三番十三 誰々
法隆寺国際 七七八番 十六三十四番四九 誰々二九三三十三 一番
奈良育英が一方的に支配。30分近く遅れたが、以降6点取る。記録では7−0で奈良育英の勝ち。ボランチが強力で、とくに10番は圧倒的な技術で、たぶんナショトレの磯貝だと思うが、正確なミドルを2発決めた。20番も守備力は素晴らしい。両サイドハーフも能力は高いと思うが、一方的に支配する状況では力量は分からない。法隆寺国際もアイディアを出そうとはしていたが、味方に意図が伝わらず、ロストするばかりだった。声が全く出てなくて、闘争心もどんどん萎えていくのが伝わった。
畝傍−天理
畝傍 一八番 七番六番 十番十三 五番三番四番二番 一番
天理 二九十番 二六二四五番三三 二三四番予四一二八 三十
畝傍は4−2−2−2のブラジル式。一人のストライカー(11番)、一人の右ウイング(8番)二人の中に絞る攻撃的MF、二人のボランチでサイドバックは大きく開きタッチライン際をアップダウンする。戦術に合わせて選手を当てはめる、というより選手の個性が先にある感じ。基本的に8番がエースで天理のバックラインとキーパーの間にクロスを入れていく。左を破れば、8番は中にいる、そういう動きだ。ヨーロッパ式だと中盤は明確なサイド担当がいるが、畝傍の場合、サイドの主役はサイドバック。ただ8番が大きく開いていても2番は絶対にその外を上がる。戦術眼不足というより技術的に大外しか行けない感じ。畝傍の谷口先生は元Jリーガーだが、今までは現実主義者で、勝つために最短距離を行くタイプだと思っていた。昨年選手権予選準決勝は技術・高さ・パワー・スタミナと何もかも落ちる なか、うまく戦った印象があるが、このチームはロマンチストだ。支配して攻め勝つ意思がある。 いっぽう天理はタテに速い。しかし必ずしもコンパクトではない畝傍の「深さ」の前に絡めとられて、ロングカウンターは発動しなかった。あとピッチ内では監督の声は響いたが、4選手たちの声は私の場所が遠かったのもあって、あまり聞こえなかった。最終スコアは3−1で畝傍の勝ち。
香芝−五條
香芝 九番七番 二十二二六番八番 四番三番二番十五 十二
五條 七五二七 二四十九七七六六 四番十五七六七四 誰々
香芝は能力の高い9番、7番の2トップが目立つ。スピードがあり、しかも9番は当たりにも強い。大げさに言えばロナウド・タイプ。守備もさぼらず、前から追う。問題はビルドアップ。つまり香芝の持ち味はショートパスをつなぐリズミカルなビルドアップにある。バックラインから出すとき、その次のレシーバーが3人目の動きをきっちりしていて、教えられていることがよく分かる。こういうビルドアップは素晴らしい。問題は2トップがビルドアップに加わらず、受け手にもならないし、3人目の動きでさらに次の受け手にもならない。つまりボールを運ぶのは中盤以降の選手に任せて自らはフィニッシャーとしていいパスが来るのを待っている。確かに能力の高さから言ってある意味合理的な判断かもしれないが、11人中2人を欠いたビルドアップには限界があるし、いくらきっちり教えられていても厳しい。一方で二人が裏を取る動きを見せた時には脅威だ。香芝のボランチはタテに入れられず、サイドかボランチ同士のパスしかできない印象だった。 いっぽう五條は相変わらずドリブル。自陣でも構わずドリブル。昨年の選手権予選ではアタッキングサードでしかドリブルをしないチームになった印象だったが、この日は以前と同じ「どこでもドリブル」のチームだ。以前高田FCジュニアユース(のちにディアブロッサ高田に改名)はゴールキーパーが持つと必ずすぐ近くの味方に出し、ドリブルか隣にショートパスという選択肢だけでそうやって小さく繋いで敵陣に運ぶチームだった。戦術云々ではなく、育成のためにあえて歪なフットボールをしていた。中学生としても個の育成に特化したチームだった。それを五條は高校生でやっている。ビルドアップの原則など気にしていない。たぶんこれは高校3年間で教えられることは限られている。だから選手には楽しんでほしい、というメッセージだろう。 双方ベーシックな能力は高いから当たりやボディバランスがしっかりしていて簡単にはやられず、膠着状態になる。こういう時の格言は「チーム力が互角の場合は両方合わせて一番能力の高い選手がいるほうが勝つ」、つまり香芝の9番だが、結局ゴールは生まれず、0−0の引き分けだった。間違いなくトーナメントにおいて奈良県の頂点を狙う両校だが、リーグ戦優勝を狙う意味ではパンチが足りない、と感じた。
生駒−山辺
生駒 四四四三 七八四一四五三六 七十三十十九三三 誰々
山辺 九番十一 五番八番七番十番 六番三番二番四番 誰々
生駒は11人が連動して丁寧にビルドアップする。香芝が2トップ以外で3人目の動きを意識してショートパスでビルドアップ、としたら生駒は全員でしかも4人目の動き出しも加えてミドルパスを交えてビルドアップする。長身FW43番のポストも入り、奈良県では間違いなくクオリティが高い。監督は元Jリーガーの古田先生。急には強くなれないタイプだが、着実に力をつけている。左フリーキックから先制すると、中身のある繋ぐかウンダーから2トップが1点ずつ取り、体格と技術の高さもあって確実にゲームを運ぶ。一方で昔のJユースのように「走る」ことには若干不安を感じる。 いっぽうの山辺はベンチはたぶん元Jリーガーの興津さんだと思うし、怒鳴りっぱなしなのでこれも興津さんらしいが、前の試合では興津さんはいなかった、という情報もあり、私のいた場所は山辺ベンチを確認できないところだから、何とも言えない。個々の能力は間違いなく高いが、どちらかというと一芸選手で、特に10番は爆発的なスピードとスタミナを兼ね備える。右を疾走しコーナーキックを取る一方で左にも現れ、パスに長けた8番と連動して崩す。5番はバランサー。山辺も中盤まではパスを運べるチームだが、FWとは連動していない。このあたり、昨年までのロースコア勝ちのチームらしい。こういうチームは先制されたら苦しく、実際前半のうちに3点ビハインドになった。こうなると前半から飛ばしていた10番のスタミナがカギになるが、後半に入り、右センターバック2番の正確なロングパスがDFをぶっちぎった10番に通り、出たキーパーの前で浮かせて1点追撃。これは生駒としては個人能力の高さが想定外、と言ったところで、仕方ない。が、生駒はスピードもスタミナも足りない印象を受けた。というか古田先生はあえて走りの練習は控えめなのか?以降山辺の10番は走りまくり、プロ前提で話すならばやや技術不足だが、スピードとスタミナは一級であり、これはプロもあり得ると思った。大学サッカーに進むのならばサイドバックで才能を開花させてほしい。結局3−1で生駒が勝利した。
第5試合は18時半キックオフだが、この日は寒くて風も吹いていたし、体力が奪われて限界だったので撤退した。近鉄では京都駅まで手がかじかんでいた。
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