2023年02月23日(木) |
大学女子地域対抗戦最終日 3決・決勝 |
私はJFAの主催・後援の全国大会ならば現行の大学以下の男女の大会はすべて足を運んだことがある。で、これに該当しないが、大学女子地域対抗戦には足を運んだことがなかった。少し前まで関西の丹波篠山開催だったが、必ず平日開催なので近くても行けなかった。でコロナ禍で久しぶりの開催で、時の栖スポーツセンター裾野グラウンドで最終日は天皇誕生日開催、つまり祝日なので行ける。女子インカレは長年足を運んでいるが、性質の違う大会なので興味津々である。
ところで。大会前ネット配信のクラウドファンディングを募っていたが、お金がまるで集まらず、失敗に終わった。が、なんとかスポンサーが付き、大会史上初のネット配信があった。で、観たのが学連選抜対関西選抜だ。が一目で酷いと思った。大学男子にはデンソーチャレンジという地域対抗戦が長年続いている。で、男子と戦術理解度がまるで違うのだ。準備期間の違いはあるだろうけど、即席チームを機能させるためには個人戦術がしっかりしていなければならない。普段は所属チームで役割をしっかり与えられてチームとして機能するのだが、即席チームで必ずしも慣れていない役割でプレーするとなると、もっと普遍的な戦術理解が必要だ。で、関西選抜はこの部分が壊滅的に落ちると思った。学連選抜、要するに全日本選抜はまだましだが、あくまで関西選抜と比べてのことで、男子とは比較すべくもない。この時点では解像度が低いが、とにかく現状を感じて、問題がある、ならば生観戦する価値があると思い、迷っていた静岡行きを決めた次第である。
静岡行きの夜行バスは取れなかった。ならば始発に近い新幹線ひかりで静岡に行き、そこから在来線で沼津へ、そこから御殿場線で岩波駅に行く。駅にはタクシーもあるが、裾野グラウンドまで徒歩を決断する。約50分。高校選手権の裏で予選敗退校の新チームによる大会、いわゆる裏選手権というレベルの高い大会があり、時の栖カップという。その主要会場の一つが裾野グラウンド。時の栖自体は御殿場近くのリゾート施設で旅館や温泉があるが、サッカーグラウンドも運営している。堺のような多面のピッチのあるフットボールセンターは関東にはないので、時の栖スポーツセンターはその代替施設のようなものである。
最終日、裾野グラウンドのE1ピッチは7決、3決、決勝開催。7決には到底間に合わない。3決は10分弱遅刻。タクシーならば間に合ったが。学連選抜対関東A選抜。30分ハーフ。 関東A選抜とは関東1部リーグの選抜チーム。ちなみに関東B選抜は関東2部・3部リーグの選抜チームではっきり落ちる。このあたりデンチャレの関東A/関東Bとは事情が違う。
学連選抜 十三九番七番
八番六番 四番二七三番二番 一番
1 石田心菜 2年 02.04.23 171 大阪学芸→セレッソ大阪→早稲田大 2 落合依和 2年 03.01.11 160 十文字→東洋大 3 後藤若葉 3年 01.06.04 163 日テレ・東京ヴェルディ・メニーナ→早稲田大 27 宮嵜彩菜 2年 02.11.21 170 帝京長岡→帝京平成大 4 藤生菜摘 3年 01.08.18 162 姫路女学院→東洋大 6 北村美羽 3年 01.10.21 161 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU−18→東洋大 8 渡部麗 2年 02.04.08 160 JFAアカデミー福島→日本体育大 7 三谷和華奈 3年 01.10.02 160 十文字→早稲田大 9 古賀花野 3年 01.11.14 166 日ノ本学園→帝京平成大 13 桂亜依 3年 01.10.01 150 神村学園→大阪体育大
所属について。大学女子はここ数年帝京平成大の天下だ。その割に女子インカレはなかなか優勝できないが。そして昨秋は東洋大が関東初優勝。で、いい選手は早大に入る。そういう流れだ。あと高校生年代について。女子も高体連とユースの力の差が開き始めた。個人能力、特に戦術面はかなりはっきり差がついている。学連選抜や関東A選抜がユース出身が何人もいるが、これが即席チームとしての出来を支えている。十文字や帝京長岡も戦術理解の高いチームだし。
試合は後半関東選抜Aがセットプレーからのシュートを厳しいようだが学連選抜キーパーの石田の反応が甘く後逸。さらにシュートに石田の反応が甘く弾いたところを決めて関東A選抜が2−0で勝利した。
決勝は関西選抜対東海選抜。これは問題がある。まずユース出身というか前登録がクラブなのが関西選抜の一人だけ。正確には関西選抜にはほかに作陽出身が2人おり、一人はソルフィオーレとはっきり書いている。がソルフィオーレは作陽のBチームをクラブ登録しただけで、本質的にユースとは程遠い。よって実質的には関西選抜のセンターフォワード
10 栂菜々笑 3年 01.10.03 178 松江シティFC Ragazza→大阪体育大
一人と言ってよかろう。で、戦術理解度はさっぱりだった。「持ち場」を守り、決まったプレーしかしない選手たち。3決より確実にクオリティが落ちる。栂が確実にキープでき、上でやれる選手だが、基本的に役割を与えられて初めて機能する選手で、つまり自分から仕事を取りに行けない。後半ATに関西選抜が決めたが、ビルドアップがままならない展開が60分間(30分ハーフ)続いた。
女子はトレセン行ったことないし、国体少年女子も今年度初開催だったが、女子がここまで選抜慣れしておらず、戦術眼が低いとは思わなかった。これはかなり問題ですよ。競技人口が少なくて戦術眼のあるタイプが少ない、とか、選抜の機会が少ない、とかいろいろあるが、戦術教育が足りない。よく女子は中学時代のチームが少なくて、だから中学年代が問題と言われるが、逆に言えば中学年代はクラブチームでプレーしていて教えられている。がこれを見てむしろ高校年代が問題だと思いました。たとえば関西。C大阪は間違いなくいい。INACもまずまず。だが高体連の戦術面は?という感じである。日ノ本は田邊さんの時代によくなったが今はどうか?コロナ禍で観ていない。京都精華が技術指導はしっかりしているが、戦術面までは手が回らない印象だ。他はしっかりビルドアップしているとは言えない。なかなか深刻なものを見てしまった印象。
帰りは沼津駅でサーモン丼を買い、鈍行で7時間かけて帰阪した次第である。
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