サッカー観戦日記

2018年03月21日(水) 奈良県1部リーグ 奈良育英−大和広陵

奈良県1部リーグ
奈良育英高校−大和広陵高校
3月21日 一条高校グラウンド ぬかるんだ土 ピッチ悪 曇


奈良育英         大和広陵
−−−九番−−二四−−− −−−十番−−二十−−−
−−−−−−−−−−−− −八番−−七番−−十九−
十三−六番−−八番−十一 五番−四番−−十七−九番
二番−五番−−三番−四番 −−−−−十一−−−−−
−−−−−二三−−−−− −−−−−一番−−−−−

大和広陵はかつて全国高校選手権に1回、全国高校総体には3年連続で出場したこともある伝統を誇る広陵高校が高田東高校と合併してできた高校であり、おそらく伝統は引き継がれない扱いだと思うが、G大阪や奈良クラブなどで活躍した身体能力の高い橋垣戸光一などJリーガーも輩出している。さて試合は大和広陵が11番を明確に後方にスイーパーとして配置して、2ストッパーが奈良育英FW陣をマンマーク。11番はロングボールもあり、チーム1の能力があるからこのポジションを任されたことが良く分かる。そして攻撃はタテ一本のカウンターのみ。奈良育英サイドのピッチが比較的乾いていて状態がいいこともあり、FWを奈良育英の押し上げたバックライン裏を徹底的に狙う。スターターでは20番が競り気味で10番がやや引き気味から裏へ走る。しかし奈良育英は5番を中心にした統率の取れたバックラインで次々にオフサイドを取る。大和広陵としては20番を囮に、10番はオンサイドで裏に抜けたいのだろうが、10番もまとめてオフサイドポジションに押しやられている。一つには大和広陵のFW陣がまっすぐ走り、予備動作もないため、常にオフサイドを狙う奈良育英にとって、難なくオフサイドを取れる動き方をしているためでもある。奈良育英は24番の高さがあり、ロングボールに競り勝てて、中盤は6番と8番を中心にボールを動かし、サイドはどんどん仕掛ける。しかし左の13番にエリアはピッチ状況が極端に厳しくドリブルが止まってしまう。それでも13分、タテに仕掛け24番落とし9番がペナに侵入しようというところを大和広陵11番が必死のカバーで倒し、警告。これは仕方ない。11番のファウルはいい判断だった。ペナ手前右寄りFK、ここで大和広陵は何故か壁2枚。これでは守れないだろう、と思っていたら8番が見事ニアを破り1−0。これは壁の作り方のミスだ。このセットプレーの甘さと言い、FWの単純な入り方と言い、全体に強豪校らしからぬディテールの甘さを感じる。それでも24分、大和広陵、右から攻め込み20番がシュート、こぼれを10番シュート、決まって1−1。大和広陵は引き気味のFWが9番に変わり、19番が下がり、7番が右、10番が中盤に。意図は明確で10番を走り潰させず、9番に走らせて、負担を分散させようというものだ。つまり単純に潰れるまで走るのではなく、チームとして90分FWを走らせるサッカーをするための戦略がある。更に前半終盤では19番が引き気味のFWに。ただ一向にオフサイドにかかり続ける。裏へのロングボールは出るタイミングを読みやすいし、大和広陵の引き気味のFWは全員入り方が一直線なので。前半は1−1で終了。

ハーフタイムで奈良育英24番→7番が右ハーフに、11番がFWに。更に9番→10番。奈良育英の前半の2トップは高さに強いタイプだったが、後半はスピードに強いタイプ。一つには後半の大和広陵サイドのピッチ状態が比較的良くて、前半大和広陵がFWを走らせる攻撃をしたように、奈良育英もFWを走らせることが可能になることというのがある。大和広陵ストッパー陣は前半の高さにも後半のスピードにも苦戦。そしてスイーパーの11番はすでに警告を1枚もらっている。なかなか苦しい状況が続く。奈良育英はハーフタイムにGKも12番に代わり「走るサッカー」を徹底する。大和広陵は6番が右サイドバックに入り、9番が引き気味のFWに。奈良育英は前半ピッチに苦しんでいた13番の突破力が活きだす。そして10分過ぎ、13番の左クロスに11番正面フリーを決めて2−1。直後には奈良育英7番が右から入れて逸らし3−1。大和広陵は19番→14番。右サイドバック。9番→8番。これはゲームを諦めて選手を試す采配というわけではなく、「走るサッカー」という戦略を維持するための策。8番がボランチに入り、10番が引き気味のFWに戻る。後半23分には17番が左サイドバックにして6番が左ハーフに。24分、奈良育英6番→21番。6番は中盤の守備で大活躍。これは21番を試すための交代かも知れない。大和広陵は20番→2番がFWに。この選手も走る選手。奈良育英13番→17番。13番の突破はなかなかだった。芝の上でのプレーを観たいものだ。大和広陵は巧みにFWを変えながら走る攻撃を維持するが、終盤に奈良育英17番の左シュート、4−1。更に右裏に出しGKを外した11番が決めて5−1となり、大和広陵は流石に力尽きた。結局5−1で終了した。

何というか、奈良育英はきっちり教えられているというか。前任のS級ライセンス保持者の上間先生が体罰を行い辞任したわけだが、後任の先生もきっちり指導力があるようだ。荒れたピッチではスイーパーを置いた大和広陵の古典的な策が上手くはまった。普遍的だからこそ古典なのだ。しかし後半まださほど荒れていないサイドに奈良育英が攻め始めると、走力の負担がかかりすぎて持たなかった。大和広陵はとにかく中盤を作らないことにはオフサイドの山を築くことになる。10番を中盤に置けば中盤も作れるが、前線が弱くなるし、とにかく10番の使い方がカギになりそう。


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T.K. [MAIL]