サッカー観戦日記

2017年01月29日(日) 兵庫県高校新人戦準々決勝 神国大附−神戸弘陵 滝二−明商

兵庫高校新人戦準々決勝、今年は半分が土のピッチである。神国大附は伊勢渉(現駒大)の代に数年前強いチームを作ったが、全国にはあと一歩のところで行けなかった。対する神戸弘陵は天下のプレミアリーグで前年度残留に成功した。高体連としては驚異の結果だし、夏冬と全国に行けなかったことも当事者としては残念だっただろうが、純サッカー的には上々の成果である。過去2年間のドリームチームぶりを新チームも受け継いでいるか?



兵庫県高校新人戦準々決勝
神戸国際大学附属−神戸弘陵
13時 県立西宮高校 クレー 曇時々雨

神国大附         神戸弘陵
−−−−−十三−−−−− −−−五番−−二十−−−
−十七−−十番−−二四− 八番−−−−−−−−十一
−−−二三−−七番−−− −−−二四−−六番−−−
二番−四番−−三番−六番 十五−二番−−二三−四番
−−−−−一番−−−−− −−−−−一番−−−−−

神国大附はCB陣が押し上げて前に踏み込んで激しく潰し、裏は左利きでキック力があるGK1番がカバーするが、この時期、どうしても連携は不安定になる。7番は仕掛けられて突破も出来る中心選手。10番は力強くタメを作る。CF13番は強さはイマイチわからないが、前線を浮遊し、マークにつきにくい動きを見せる。23番の正確な右足セットプレーも武器だ。対する神戸弘陵は流石に個々の能力で上回るが圧倒までは出来ていない。CB23番は素晴らしく強く、24番は左足の長短のパスで組み立て、セットプレーはほぼ一人で蹴る。11番は突破力があり、8番はゴール前に飛び出せて、5番はパワフル。6番もよく上がる。組織力で下回る、というより組織を固めていないこともあってほぼ互角でゲームは進む。5分、神戸弘陵、右80度22mFK、24番の左足は外れる。8分、神戸弘陵、11番の右クロスを20番ハーフボレー上に外れる。13分、神戸弘陵が裏にだし、神国大附GK1番が出るも触れず、神戸弘陵に渡るが撃てず。20分、神国大附10番に警告。故意。25分、神戸弘陵、右クロスに8番がニアに飛び込みボレーも外れる。決定機。徐々に神戸弘陵が裏へのボールとドリブルを交え押し気味になるが前半は0−0で終了。

ハーフタイムで神戸弘陵20番→9番。この9番は起点になれて自らも突破できる選手。そして38分(後半3分)神戸弘陵、右FKを24番いいボールを左足で入れて、GKがパンチしたボールがファーの8番のところへ、右足ボレーで叩き込み神戸弘陵先制!後半は突破できる選手が11番と9番の2枚になり、24番の配球もよく、裏やサイドを使えてペースを握る。とは言え神国大附もこの時期としては4−2−3−1が良く機能し、CF13番に納まるので一方的には押し込まれず、なかなか強力なチームと言うことが分かる。7番や10番の組み立ても見事だ。結局スコアは動かず、0−1で神戸弘陵が勝利した。

率直な感想を。神戸弘陵はまずい。県で優勝し全国に出ることが目標なら問題ない。しかしプレミアで戦い残留を目指すとなると個々の能力が一昨年や昨年ほどの力がないので、相当頑張る必要がある。組織力を高め、どのゲームもベストの状態で戦えるようにして、それでも残留できるかどうか。かなり危機感を感じました。

神国大附はかつての力を取り戻し、全国狙える力は十分ある。高い守備力のCB陣と支配力の高い中盤、そして起点になれるCF。神戸弘陵を追う第2集団には確実に入るだろうし、個々の能力も問題ない。全体的にレベルアップできれば、県大会で優勝争いには絡めるだろう。あとは少しの運に恵まれれば全国に行ける。





第2試合の注目は何といっても明商がどれだけ健闘できるかだ。現在兵庫の高校サッカーと言ったら阪神地区・神戸地区の天下となっている。中体連では山陰の浜坂中など強豪は各地に別れているが、高体連では特定の地域に人材が集中し、特に播磨地区では不振が続く。そんな中近年結果を出している明石商は初見だが、ベスト8に見事進出し、どれほどの力を見せてくれるか。新チームは17年県リーグ2部に上がってくる。滝二は今さら言うまでもなく、前のチームは高校選手権全国ベスト8。兵庫県高校サッカーを引っ張り、県リーグ1部でも優勝候補であろう強豪だ。


兵庫県高校新人戦準々決勝
滝川第二高校‐明石商業高校
14時30分 県立西宮高校 クレー 小雨

滝二           明石商
−−−九一−−二四−−− −−−二三−−九番−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
十五−三七−−三五−二六 十番−十九−−二十−十一
二二−八七−−三三−二三 六番−三番−−四番−二番
−−−−−三八−−−−− −−−−−一番−−−−−

試合開始すぐ目についたのは明石商が局面で激しく戦う姿勢を見せていることだ。攻守にハードワークを惜しまず、特に守備で激しく行き、滝二のテクニックを封じる。守備組織も堅いが、何といっても個人の責任で相手の自由を奪っている。これは監督の先生がかなり指導力のある方だと思った。しかもベンチは怒鳴っていない。つまり選手たちが自主的にデュエルする姿勢が身についている。これに対し滝二はCF91番がポストターンを得意とし、加速力もあり、足元にも納められる上に味方の囮になる動きまで出来る。パワーはこれからだが、なかなか楽しみな逸材だと思った。37番は正確なキックでゲームを組み立てようとするが、明石商はここにも激しく行き思うようにプレーさせてもらえない。15番はレフティー。明石商CB陣はGKの指示もあってカバーも早く完成された連携の高さも見せる。前半0−0。明石商はスタミナはともかく現時点では普通に県大会優勝して全国を狙えるレベルだと思った。

ハーフタイムで滝二は51番をボランチに入れ、80番を左ハーフ、15番を左サイドバックに下げ、てこ入れを図る。後半滝二はドリブルが出てくる。つまり明石商がイマイチ激しくいけなくなった。更に91番を下げ9番を入れてドリブルを強化。しかし20分過ぎまで(35分ハーフ)決定機を奪えない。キャッチフレーズの「驕らず、怯まず」は出来ているが「溌溂と」は明石商にさせてもらえていない。しかし80番に渡るとカットインを多用するようになり、徐々に明石商のインサイドが怪しくなってくる。明石商の左ハーフ10番は前半はダイレクトパスでリズムを作っていたが、後半は守備一辺倒になる。しかしここで目立ったのが明石商GK1番で、スーパーセーブを2回ほど見せ、終盤勝負に持ち込む。このままだとPK戦、滝二もプレッシャーに押しつぶされそうな空気があって、GKの当たり方から言っても明石商有利かと思ったら、後半33分、滝二が左からカットイン、本部のテントに隠れて見えなかったが、ニアで誰かが決めた。80番?9番?とにかくこれが決勝点となり、滝二が1−0で明石商を破り準決勝進出を決めた。

明石商は後半激しさが落ちドリブルを許してしまった。まずは70分間激しく戦える身体作りを。兵庫県リーグ2部で鍛えられれば楽しみだ。前半の戦い方が終始できれば県大会優勝も狙えるだろう。滝二は激しいプレッシャーには慣れているはずだが、スキルを発揮できなかった。とは言え攻撃陣は9番や80番、26番と打開できる選手が多い。24番の右足キックも見事だった。まずは県リーグ1部で首位に立ち、県大会優勝・打倒神戸弘陵を目指してほしい。


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T.K. [MAIL]