サッカー観戦日記

2014年04月29日(火) 奈良県U−18リーグ 一条ー奈良育英 D高田−奈良

プリンス関西2部が廃止になったので、関西の有力校をくまなく観づらくなった。特に奈良と和歌山はプリンス加盟校が一つもない。そこで総体予選の決勝の日程を調べるわけだが、多くの府県で重なっている。そして今年は近畿大会が2か所に分かれての開催なので、全国高校総体出場校を全部観られるという保証もない。そんな時、奈良県U−18リーグがちょうど一条対奈良育英という強豪対決があることを知る。当初は香芝高校グラウンドが会場で2試合だったのが、会場が奈良県フットボールセンターに変わり、丸一日5試合観戦だと分かった。そこで体力の限り観ることを決意する。高校総体の奈良県代表は99パーセント1部に所属する高校9校の中から出るだろうし、唯一のクラブチーム、ディアブロッサ高田もクラセン関西予選突破の有力チームだ。

とはいえ、前日の天気予報によれば、降水確率100パーセント、120mmの雨で雷雨の可能性もあるという。となれば客席に座れないし傘を差したままノートをとりつつ立ち見観戦は非常に厳しい。無理をせず切り上げることにする。何が何でも観たかったのは第1試合の2強対決、一条対奈良育英だが、当日朝バタバタがあり、1時間の遅刻が確定する。京都駅から最寄りの石見駅まで48kmなのに1時間10分もかかるから。急行と普通の乗り継ぎで。近鉄遅いよ。




4月29日
奈良県U−18リーグ
一条高校−奈良育英高校
奈良県フットボールセンター 4月29日 9時 ピッチ人工芝 雨

一条           奈良育英
九番−−−十一−−−八番 −−−十番−−九番−−−
−−−−−十四−−−−− −−−−−−−−−−−−
−−−七番−−十番−−− 十四−五番−−十七−七番
五番−三番−−二番−十五 六番−四番−−八番−十三
−−−−−一番−−−−− −−−−−二一−−−−−

後半開始とともに到着。前半は0−0とのこと。

一条は10番が大柄で技術もあり下がり目の位置から組み立てる。シンプルにサイドを使ったり、タテに素早く攻めたり。11番は裏を狙うのがうまい。8番はドリブル突破があり、奈良育英の攻撃的サイドバック6番の裏を再三とる。9番はタメが作れて、味方を上手く使う。14番は飛び出しに優れている。対する奈良育英は4番がカバーが早く、一条11番を執拗に追いかけて潰す。5番はハート十分な主将。6番は攻撃意識が高い典型的な奈良育英SB。7番は快速でタテ突破の威力がすごい。9番は長身で空中戦に圧勝。キープ力もあり、味方の上りを促せる。10番は変化をつけるタイプ。

さて両者タテに速いサッカーを仕掛ける。さて20分頃、奈良育英9番が裏を取りシュート、こぼれを10番ループで先制。25分、一条14番左シュートはGKナイスセーブ。28分、奈良育英、7番が右クロス、10番がフリーでシュートも右に外れる。超決定機。29分、一条、カウンターから一気に早い攻め、11番が決めて1−1。両者少しずつ選手交代を交え、攻撃意欲を保つ。40分、奈良育英放り込みのこぼれを13番シュート、決まって1−2。結局奈良育英が逃げ切った。

雑感としては両者互角だということ。プリンス関西の野洲や比叡山より1枚上かな。このレベルなら全国でも戦えるでしょう。一条では大柄でボール奪えて攻めにも絡める10番、奈良育英では大柄なCF9番がキーマンだと思いました。あと奈良育英は4番などDFがどこまでも追いかけて潰しに行く傾向が強かったけど、一条の3列目の飛び出しには対応できていなかった。これから戦術面を詰めて行くのかな?

奈良県U−18リーグ
ディアブロッサ高田−奈良高校
奈良県フットボールセンター 4月29日 11時 ピッチ人工芝 雨  強風

高田           奈良
−−−−−二六−−−−− −−−十番−−十三−−−
十六−−−四八−−−十九 −−−−−−−−−−−−
−−−二五−−十四−−− 二二−五番−−六番−八番
六番−二七−−四二−二四 十一−二番−−三番−九番
−−−−−一番−−−−− −−−−−十六−−−−−

観戦コンディションはどんどん悪化する。靴はびしょ濡れ、強風で傘をさすのも大変。メモもほとんど取れない。

立ち上がり、高田は極端なまでにショートパスをつなぐ。奈良は前から来ているのに構わず自陣ペナ内でパスをつなぎ、ドリブルで相手をかわそうとすらする。ポジションチェンジも激しい。19番はなかなかのドリブラー。両足を駆使したドリブルは圧巻。42番はCBとは思えないほどドリブルで上がる。48番はキープ力がある。26番はキック力があり、精度も高い。FKやCK担当。圧倒的な高田の支配でゲームが進むが先制は奈良。25分、右パスから13番が決めて0−1。しかし高田も19番が右からカットイン、25番が右に開いて受けて前に飛び出す26番が突破し完全に右を崩しゴールライン際から右クロスをファーで16番が詰めて難なく決める。1−1。前半は1−1で終了。

前半を観たら高田のほうが明らかに一枚上だと思った。後半は傘を両手で支えなければならないほど風が強くなり、ノートとっていない。4分、怒涛の右突破から14番押し込み2−1。更に8分、16番のミドルが決まり高田3−1奈良。直後に奈良も1点返すが、激しい風で傘に視線を遮られ見ていない。3−2。15分、スルーパスがペナ内左角付近の26番に通り、」右隅に流し込む。4−2。このあたりから両手で傘をさしても普通の黒い雨傘だから視線が遮られ試合がほとんど見られなくなる。これは楽しいサッカー観戦じゃなくて、単なる我慢大会だと思ったので、後半25分に会場を後にする。とりあえず高田の注目選手は主将の27番と42番、ドリブラー19番、意外に体の大きい48番、そしてワントップでドリブルからシュートの形を持っている26番でしょうか?奈良は「気合だ、気合」という声を何度か耳にしたが、よく頑張るチーム。


学校部活のカウンターカルチャーとして発達したクラブはサッカー好きなはぐれモノが集まり、茶髪が多いなど高体連にとっては反感を持つ存在だった一方で、クラブは技術や基本を重視し個人を育成し、高体連は勝利至上主義との批判を受けていた。それが近年は両者の長所を吸収し合い、平均化されてきた。野洲高校のように、部活でありながら、はぐれモノ集団のようなちょい悪チームも出てきた一方で、Jユースの中にはいい子ちゃん集団も見られるようになった。しかし高体連らしさ、クラブらしさが消えたわけではない。それは一面的な見方に過ぎない。確かに大枠でくくるよりも指導者のカラーによる部分は大きいが、この日の高田は典型的なクラブ文化の中にあった。


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T.K. [MAIL]