昨年までクラブユース関西予選はトーナメント方式で、準々決勝でJクラブと非Jクラブが対決する仕組みになっていて、毎年楽しませてもらっていた。さらに上位２クラブを除く敗者復活トーナメントでも同様の対戦が行われた。ところが今年からクラブユースの関西予選方式が変わり、Jユース４クラブのリーグ戦で上位２チームが突破、下位２チームが非Jクラブの上位２チームと代表決定戦となり、Jクラブと非Jクラブの対戦が激減してしまった。おかげで今期は一試合も観ていない。クラブサッカーの今後の隆盛は非Jクラブの発展に掛かっており、関西クラブユース王者のフジタがいい勝負できないようでは将来が不安になる。

フジタを観るのは今期３試合目。伝統的に固い守備からの鋭いカウンターがいいチームだ。今期は爆発的な得点力を披露しているがJクラブとの対戦はなく久しぶりに守勢のゲームが予想され、守備面で不安を感じなくもない。対するＣ大阪はトップ昇格の山城とエースストライカーの坂本がフジタOB、宇佐美・中山ら１年生は昨年U−１５でフジタに完敗しており、Jクラブ中最もフジタをよく知り、且つ油断しそうもない。


Jユースカップ　１回戦　セレッソ大阪−フジタ
１２月１４日（日）南津守人工芝　１５時　　晴　弱風

Ｃ大阪　　　　　　　　　　　　　　　フジタ
日比−−−中山−−−山城　−−−米原−−森川−−−
−−−−−中浜−−−−−　−−−−−−−−−−−−
−−−田所−−前川−−−　東膳−稲積−−村橋−宮脇
日下−楠本−武田−宇佐美　光野−寺田−−岡崎−野村
−−−−−稲田−−−−−　−−−−−田辺−−−−−

Ｃ大阪は坂本がベンチスタート、小野原はベンチにもいない。CF武田をCB起用。GK稲田は身体能力が高く競り合いに強い。宇佐美・日下は攻撃得意のSB。田所は当たりに強くDFラインの前でのつぶし役。前川がFK担当。中浜・日比・山城が積極的にドリブルで仕掛ける。中山はスピードを活かし裏を狙う。

フジタはフラットな最終ライン、中盤のサイドは積極的に高いポジションを取る。岡崎（大阪選抜候補）が良く声の出る守備のリーダー。SBは粘り強い守備と思い切った攻撃参加があり、光野は左クロスも武器。村橋はFK担当。右の宮脇は快速、左の東膳は中村俊輔タイプのファンタジスタ。森川はマークを外す動き、決定力、スピードを兼ね備えたストライカー。長身選手皆無でセットプレーは攻守とも弱い。

引いて守るゲーム運びが予想されたフジタだが真っ向からの殴り合いを選択し序盤はペースを握る。７分東膳のスルーパスを左で受けた米原が二人のDFの間を通し森川へ、シュートも狙えたがさらに右に流しフリーの宮脇が左スミに決めて、Ｃ大阪ディフェンスを完全に翻弄した形でフジタが先制する。しかしＣ大阪も盛り返し、１８分前川の右CKにニアで中山と岡崎が競り合ってファーに流れたところを中浜が決めてあっさり追いつく。フジタは攻守の切り替えの際にミスでボールを失うことが多く、カウンターにならない。またこの日の村橋や稲積はミスキックが多く練習不足なのかもしれない。森川がマーカーを外してもほとんどパスが出ない。東膳のテクニック、宮脇のスピードはＣ大阪を苦しめるが徐々に高い位置でボールをもらえなくなる。しかしＣ大阪も単発のドリブル主体の攻めを止められてフジタを崩せず、ペースを握りながらも決定機は奪えない。３４分には前川の左FKで再びニアに中山が飛び込み、結局誰も触れないボールがファーのネットに転がりＣ大阪逆転。

Ｃ大阪は後半から田所に代えて坂本（１８２ｃｍ）を投入する。フジタはGK田辺（１７０ｃｍ）、CB岡崎（１７３ｃｍ）寺田（１６６ｃｍ）と空中戦に難がある。３−５−２に変更し、楠本が余り右に武田、左に宇佐美の３バック、山城・日下がWBで前川・中浜の前に日比で坂本と中山の２トップ。

後半３分、Ｃ大阪はカウンターで中山が右に出して山城がグラウンダーのクロス、何でもないボールだったが倒れこんで胸キャッチにいったGK田辺がファンブルし、これを日比が蹴りこみＣ大阪３点目。しかしフジタもキックオフ後すぐ攻め込み、稲積から米原を囮に裏へ走る東膳へスルーパスが通り、左４５度から右スミに流し込んで３−２と迫る。稲積のパスセンスが光る好パス。一旦五分の流れになった後半１３分、カウンターからＣ大阪が前線に放り込んだボールに対しGK田辺が前に出るのを躊躇している間に中山が追いついて決め４−２とした。田辺が前に出る判断を誤ったのは２回目で、他にもこのゲームでミスが多く、消極的な精神状態に陥ってしまったのかもしれない。さらに双方数回ずつ決定機を作り、ロスタイムには前川の鮮やかなFKで加点したＣ大阪の勝利。

交代
Ｃ大阪、田所→坂本（HT）、山城→柿谷（後半２７分）
フジタ宮脇→浜田（後半２７分）、米原→荒川（後半３６分）

フジタはGKのイージーミスを別にしてももう少しできたはずだが、練習不足かミスが多かった。FKで高さが足りないのはともかく村橋がミスキックを連発したのも意外。家族の方からは「良くやった」との声も出ていたが、確かに３年生主体のチームがこの時期としては力を発揮したほうかもしれない。このゲームでも突破力やパスセンスをみせた東膳や岡崎・森川たちの今後の活躍も楽しみ。この日出場していない下級生にもいい選手がおり、来年のプリンスリーグが待ち遠しい。

Ｃ大阪は秋が深まるにつれてチーム状態が悪化してきた印象があり、チームとしてフジタの守備を崩せず。厳しい２回戦になりそうだ。