サッカー観戦日記

2003年11月15日(土) 高校選手権滋賀決勝 比叡山−守山北

皇子山は関西随一の駅前スタジアムである。何しろ京阪別所駅の改札から徒走10秒、出たところの踏み切りを渡れば公園内。2位以下に大差をつけてぶっちぎりのトップ!!選手権
滋賀大会決勝はこの交通至便の地で行われる。ただ大阪からだとすんなりは着けない。山科か膳所で乗り換えで、膳所のほうがより早く着く。この日は膳所OBの知人宅に寄ってから一緒に京阪で向かう。

今年の滋賀は近畿大会ベスト4の野洲と草津東にプリンスリーグブロック5位の水口と全国でも十分通用する強豪が揃った。いずれも決定的な仕事をやってのけるエースもいる。しかし決勝に進んだのは草津東・水口を完封した比叡山と野洲に競り勝った守山北。

守山北を昨年まで率いたのは、ジュニアユース代表監督としてアジアユース優勝という輝かしい実績を誇る松田先生である。今年からびわこ成蹊スポーツ大監督に就任し、代わりに前北大津監督の田中先生が指揮を取る。昨年までの北大津の特徴は4バックを高く押し上げた前線からの激しいプレッシングだった。人材的には一枚上の守山北でどれだけのサッカーが実現されるのだろうか。U−17代表では10番をつけたこともあるエース村瀬はどれだけ成長しているのだろうか?

対する比叡山は延暦寺の門徒のための教育機関として創立し、戦後になって一般からも学生を募集するようになった伝統校である。その教育理念は千年以上昔から受け継がれたものらしい。男子生徒は別に坊主頭ではないし、女子生徒も尼さん頭でもベリーショートヘアでもない。しっかりスカート丈はベリーショートであった。中心選手は主将の元U−17NTC早崎。

キックオフ前、両チームと審判が整列してスタンドに挨拶したまま3分ほど動かない。記念撮影かと思ったらゲーム前に流すはずの両校の校歌が手違いで流れないだけだった。予選での校歌斉唱は各県毎に異なるが滋賀でも採用されたらしい。比叡山は意外と普通だった。高校サッカーの校歌斉唱は国際試合ではなく高校野球をモデルとして日本テレビがヤラセているので元々ゲーム終了後勝者のものだけを流すというナンセンスな代物だった。中立であるべきオフィシャルがわざわざ儀式を取り仕切るという。しかし最近はもっと常識的なものに改められている。結果という形で報われた勝者に儀式は必要ない。


高校選手権滋賀 決勝  比叡山−守山北
11月15日(土)皇子山 12時  ピッチ並 晴 無風


比叡山               守山北
−−−清本−−中村−−− −−−村瀬−−藤沢−−−
−−−−−辻−−−−−− −−−−−井上−−−−−
−内山−−松田−−西村− 太田−三谷−小池亮−増田
羽野−安田−−駒井−早崎 −小池晋−西谷−伊庭−−
−−−−−樋口−−−−− −−−−−中井−−−−−

比叡山は中盤がダイアモンド型の4−4−2で、典型的な引いて守ってのカウンター狙いである。パスをつなぐチームではなく、タテへ長いボールを出し受けた選手がドリブルを狙う。

守山北は意外にも比叡山2トップに対しどこまでもマーカーが張り付き西谷がスイーパーとして余る守備。こちらも基本的に引いて守るチームで、北大津とは似ても似つかない。ボランチ三谷も辻をタイトマーク。

序盤は両者低調だった。サイドのスペースに転がったボールを守山北GK中井がペナから出て足で処理、ノープレッシャーなので味方へロングパスを狙うがミスキックで10m先の相手FWに当ててしまう。そのままタッチに出たからよかったが足元に落ちようものなら即失点だ。6分、守山北の右FK、比叡山は集中力を欠き、がら空きのペナ少し外に出してシュートもバー直撃。さらに左CKからフリーでヘッド、惜しくも上へ。比叡山はMF内山・辻、FW清本・中村のドリブルが攻撃の大半で中盤でのパス回しも前線でのワンツーもなく、したがって後方からの飛び出しやポジションチェンジが極端に少ないチームだ。ということは守山北のタイトなマンマークが最大限の効果を発揮する。スピードと鋭い切り返しで数人を抜く力のある清本頼みの攻撃とならざるを得ない。守備でもいい守備の後でほっとしてしまう癖もあり、やや危うい。主将の早崎もワンプレー後の甘いプレーが気になるもののとてもクレバーなRBで守備面では獅子奮迅の働き。守山北はサイドを2,3人の連携で狙うが崩せず、トップ下井上も持つと囲まれドリブル突破も上手くいかない。中盤ではパワー・高さとも圧倒的に優位に立ち競り合いにはほとんど勝つ。2トップはスペースを消されスピードを活かせず。前半村瀬は一度もトップスピードに乗ることはなかった。こういう場合村瀬がポストに入り藤沢が走るスペースを作りたいところだが、村瀬は以前から味方にスペースを作る動きがあまり得意な選手ではなかった。守山北が押し気味ながら決定機は奪えずに進む。双方ともロングパスやセットプレーのキック精度にも泣いた。結局スコアレスで前半終了。

ハーフタイムには年間優秀選手30人の表彰が行われた。野洲・軽墓、草津東・森村、水口・浅居といった有名選手は軒並み受賞。比叡山の樋口、早崎、清本や守山北の小池晋太郎、村瀬も受賞している。

後半に入ると守山北の攻めに積極性が出てくる。まず三谷が狭いところを切り裂くスルーパスを村瀬へ通す。シュートはブロック。6分には右を起点に正面で藤沢が受け、左に逃げる村瀬がフリー、決定的シュートは上へ外れる。守山北は空中戦では優位で村瀬・小池晋太郎という切り札もいるがどうしても正確なボールが入らない。9分ペナ正面1m外のFKで村瀬と小池晋が構え、小池晋が上から狙うがカベの胸にゆるいボールが当たり跳ね返る。比叡山もカウンターから清本のドリブルなどでチャンスをうかがうがシュートに至らない。守山北の攻勢が続く22分、増田のミスキック気味の右クロスがアウトに掛かってバーを叩き、こぼれに物凄いスピードで村瀬が走りこんで頭で押し込み、ついに先制。攻め手のない比叡山は打開策のないまま時間が過ぎる。さらにボールを奪っても後方の選手がスペースに走ることも無く常に守山北に合わせたポジショニングを続けるため、ドリブル主体の薄い攻撃で終わる。終盤の清本のFKもクロスかシュートか良く分からないキックに終わり、ついに決定機らしい決定機もないままタイムアップ。守山北が全国行きを決めた。

両校とも3強ほどの力はなさそう。とくに攻撃力不足は気になる。守山北は全国では徹底して守りカウンター狙いになると思う。


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T.K. [MAIL]