サッカー観戦日記

2003年11月08日(土) インカレ1回戦 道都大−日大 関西大−鹿体大

この時期色々と観たいゲームが重なる。インカレの萩谷や長居、高校選手権滋賀準決勝。全日本ユース関西予選の岩出FC−京都サンガ、FC川西−神照FCなどなど・・・・・・。迷った末に萩谷へ足を運ぶ。目当てはクラセン優勝メンバーを含む札幌ユースOBが何人も入った道都大、それに中国五輪代表・徐暁飛擁する鹿体大である。

投票に行くため、車で萩谷へ向かう。途中票を入れることにしている肥田さんがいた。萩谷には関空ホテルのバスで鹿体大応援団も来ていた。鹿体大といっても鹿島体育大ではない。鹿児島のチームだが鹿児島体育大でもなく、鹿屋体育大である。不思議とトーナメントに弱いチームで90年代に九州リーグで7連覇したくせに、九州学生選手権では毎年のように福岡大に優勝を許し、全国での実績でも福岡大に劣る。唯一の国立の体育大でもある。なんで唯一なのだろう。それに国立(くにたち)音楽大ではなく、国立の音楽大や芸術大、国立大にも文学部にマンガ学科くらい作ればいいのに。役人に先見性はなくてもいいが、マンガや映像関係、打ち込み系音楽などは今では重要な産業なのは誰の目にも明らかで、韓国は国策で発展に力を注いでいるのに。日本には「後見性」すらないのか。

鹿体大の井上監督といえば、変わったことを試みることでも有名な方である。現場での名コーチというより名GMタイプじゃないだろうか。Bチームを社会人連盟登録した鹿屋体育大クラブ、フットサル系のThe Great Hotch Potch、最近では大隈ユナイテッドを立ち上げ、中学生から社会人までのチーム作りに奔走するなど話題の尽きない方だ。鹿体大には女子相撲部もあることだし、次は神村学園や鳳凰OGを集めて女子サッカー部を立ち上げるんじゃないかという気もしてくる。




インカレ 1回戦 道都大−日本大
11月8日(土)萩谷 11時  ピッチ良 晴 無風


道都大               日大
−−−飯守−−中村−−− −−−唐松−−横山−−−
−−−−−鎌田−−−−− −−宮崎−−−−大谷−−
鈴木−池地−−中村−杉目 −−−石井−−佐藤−−−
−−白川−権東−吉野−− 和田−塩田−−岩瀬−末本
−−−−−相川−−−−− −−−−−寺地−−−−−

道都大は3バックを高めに上げて激しい守備で相手を潰す。GK相川(1年・C札幌Y、地区選抜)は安定感十分。権東(3年・桐光学園、地区選抜)は左足でのロングフィードあり。高さもある。ストッパーは二人とも高い。ボランチ中村拓朗(2年・C札幌Y、地区選抜)は確実な技術と展開力がある。鎌田(4年・浜松湖東、地区選抜)がドリブル主体で切り崩す。攻めは権藤や中村拓からのタテパス主体。杉目(1年・青森山田)が右足FK、権東が左足FK担当。スタメンに1年生が3人いる。

関東8位の日大はラインを上げず、きっちりカバーを意識した守備。SBはよく上がる。和田(4年・浜名、関東A選抜)は力強いクロスあり。FK担当。宮崎(3年・桐光学園)が右足FK担当。タメを作れる選手。右の大谷(4年・日大明誠、関東B選抜)はドリブラーであまりRBを使わない。

道都大は遅攻の際、中盤から前が一気に前線に上がりしばしば4トップ気味となり、後方からロングパスを放り込む。権東や中村の正確なキックを活かした攻撃。日大は多少つなぐ意識もある。FWに当てて戻し、SBを活かしたサイド攻撃を狙う。道都大ストッパーは意外と寄せが甘く一度ポストに当てる攻めは効果的だ。和田の左足クロスからチャンスを作る。序盤は互角でお互いに決定機を決めきれない状況。16分、日大・大谷に警告。30分、日大左CKで宮崎のボールに和田が何故か正面でドフリーになり、ヘッドが決まり先制。スタンドの妹さん?から「タクミ兄ちゃ〜ん♡」と声がかかり、その和田もスタンドに駆け寄る。すかさず日大の部員からも野太い声で「タクミ兄ちゃ〜ん♡」と声が掛かるが和田は無視。この辺りから日大ペースとなる。道都大の単調な放り込みに慣れ、こぼれ球を確実に処理し、2トップが確実に起点となる。44分、ハーフを少し超えたところから末本がスピードに乗った力強いドリブルでゴールライン近くまで突破、道都大は安易な飛び込みで次々かわされる。右クロスをGK相川辛うじてパンチングも正面ファー寄りの宮崎のところへ、落ち着いて決めて2点目。

道都大はDFの間合いが変だ。激しいDFをする割にはFWに簡単にクサビが入るし、中途半端に飛び込んでは簡単にかわされるシーンも目立つ。こんなに守備の甘いチームではなかったはずだが・・・・・・。

後半2分、日大素早いカウンター横山→唐松→横山とつなぎフリーで抜け出しかけたが切り返して右足に持ち替えてのシュートは外れる。4分、道都大・鎌田の右からのシュートはGK寺地が好セーブ、しかし跳ね返りを中村がハイボレーで叩き込み1−2と迫る。5分日大・横山がGK相川へのアフタータックルで警告。6分、日大・横山のポストから大谷シュート。後半の日大は徹底して2トップに当てる。道都大は攻めが単発となり、鎌田のドリブルや中村のDF裏へのパスくらいしか形にならない。12分、道都大の右クロスのこぼれを池地シュートもGK寺地好セーブで右CKへ。吉野がヘッドもDFしっかり寄せてゴールを逸れる。15分、左から飯守がドリブルでペナに入るところを佐藤がファウルで止めFK。杉目(右足)と鎌田(右利きだが左足)が立ち、杉目のキックはカベに当たりわずかに左に外れる。直後のCKはミス。17分道都大・鈴木→小林。20分日大右クロスから唐松ボレーもDFブロック。25分横山の右クロスはミスキックだが左ポストに当たり、流れたボールを中で受けた唐松が左スミに決めて1−3とする。直後に日大・宮崎→飯田。28分には道都大も池地→今前田をストッパーに入れて白川をSW、権東をボランチに上げるスクランブル。終盤には双方選手交代を行うが大勢には影響がなく、日大は確実な攻守でゲームをコントロール、40分には右クロスが左に流れ、再び中に入れ飯田がオーバーヘッド、中で横山が押し込んで止めの4点目を決めて完勝した。

道都大の出来があまりに悪く驚いた。もともと4バックを押し上げ中盤から激しい守備で奪い前線に早めに出す、どちらかといえば武闘派の印象が強いチームである。室蘭大谷出身の選手が多く、南米的な札大とは好対照で、技術・戦術的にはやや落ちる選手が多く、そういう選手を鍛えてJにも人材を送り込んできた。が最近は技術的にも戦術的にもレベルの高い札幌ユース出身者が多く、より高いレベルのサッカーを狙えるはずなのだが、この日の道都大は全てが噛み合わなかった。シンプルにつなぐサイド攻撃もなく、放り込みと突撃ドリブルばかり・・・・・・。今は変革期なのかもしれない。ただ札幌ユースが選手の進路のひとつとして道都大とのパイプを重視するのであれば、ミスマッチだと思う。





インカレ 1回戦 関西大−鹿屋体育大
11月8日(土)萩谷 13時15分 ピッチ良 晴 無風


関西大               鹿体大
−−−櫻田−−森本−−− −−−柴崎−−二宮−−−
−−木本−−−−前田−− −−綱田−−−−徐−−−
−−−安藤−−緒方−−− −−−田中−−安藤−−−
八柄−山戸−−西−亀ケ渕 中村−東雲−−堀川−湊−
−−−−−池戸−−−−− −−−−−赤沼−−−−−

関大はゾーンで守る4バックでラインコントロールには消極的。SBはよく上がる。亀ケ渕(2年・国見)にはロングスローあり。西(4年・国見)は身体能力が高い。前田(3年・野洲、ユニバー代表)は右45度の形が得意で森本とのコンビは関西随一である。エース森本(4年・関大一)はスピードとゴールへの積極性が武器。

鹿体大は九州4位で、あまり得点力はなさそうである。鹿体大はあまりつながずタテに速い攻めを狙う。CBは小柄で身体能力もごく普通で高さはイマイチ。LB中村(4年・滝二、ユニバー代表)は185cmの高さとスピード、技術を兼ね備えた選手。徐(3年・日本文理大附)は本来FWのはずだがRHに入る。二宮(4年・大分豊府)は小柄なチームの中では数少ない長身(182cm)だが左足のFK担当。動き出しがいい。柴崎(3年・海南)も動き出しがよく、2トップをスペースに走らせる。

2分、スローインをペナ内で受けた櫻田が強靭な体でDFをブロックし反転シュート、赤沼セーブも森本が押し込み、関大があっさり先制。鹿体大も3分、綱田が左から中へドリブル、スルーパスに田中が抜け出すが、ペナ内で西の微妙なタックルはノーファウルの判定。6分、関大左CKでファーの八柄が落とし西シュート、右に外れる。7分、右アーリークロスに森本が空中戦で競り勝ち櫻田シュートも外れる。鹿体大CBは高さ・パワーに難があり、櫻田に勝てず、森本にもしばしば負けてしまう。どちらかといえば頭脳派だが、駆け引きでも劣勢で厳しい勝負になってしまった。LB中村は好フィードがある。巨漢だがスピードもある。しかし対面の前田を止めきれない。徐は積極性・闘争心は素晴しいもののスピード・技術は平均よりやや上くらいで、RHとしてはずば抜けた選手ではないと思う。2トップは動き出しがよく、動き方も上手いためロングフィード主体の攻めが活きる。ボールをつなぐ関大とロングボール主体の鹿体大という状況で内容的には互角か?12分、2度中へのドリブルを見せた綱田が今度はタテに突破、クロスはファーの二宮の前で八柄カット。13分、柴崎がDFを背に受けて反転シュート、GK正面でキャッチ。すぐにRB亀ケ渕に出すが綱田が完全に読みダッシュ、コントロールミスをカットし、すぐ柴崎へ、DFが寄せたところ右でフリーの二宮に出し、落ち着いて決め1−1の同点に追いついた。16分関大右CK、前田渕→亀ケヘッドは惜しくも左。鹿体大GK赤沼(4年・帝京)は序盤からキックミスが目立ち、ゴールキックも不安定で関大の部員もはやし立てる。18分左クロスを森本ヘッド、上に外れる。22分徐がパスミス、ファウルで相手を止めて警告。24分関大左クロスにファーでフリーの前田ヘッド、GK好セーブ。25分、鹿体大の攻めを関大が跳ね返す。これを拾った田中が左に展開しようとするが、前田が完全に読んでおりパスカット、そのままスピードに乗ったドリブルで一気にゴール前へ、櫻田に当ててリターンをもらい前田が決めて2−1。厳しいようだが完全に田中の責任だと思う。28分、鹿体大・中村のフィードに田中が長い距離を走って関大DFのウラをとりGKより先にボールに触りループシュート、高く浮きすぎてDFが間に合いなんとかクリア。田中と池戸はぶつかるが、イーブンボールに互いに突っ込んだ結果でありノーファウル。33分、田中またも横パスをミス、カットした前田が50mループ、外れる。38分、鹿体大右CK二宮のボールはクリアされるがこれを拾った綱田からペナ内に移動した二宮へ、オーバーヘッドは惜しくも外れる。このときの二宮の動き方はコーナーからいったん中に引いてニアを狙うと見せて、ファーからウェーブの動きで中に入る見事なものだった。40分過ぎ、赤沼がミスキックを連発し、関大のスタンドから「落ち着け、キーパー」とか「スパイクのせいにするな」といった冷やかしの声が飛ぶ。43分、左タッチ際30m地点で受けた木本が左足クロスとみせてアウトにかけたシュート。赤沼はクロスと決め付けてゴールを空けてしまい、ゴールイン、3点目となった。3−1で前半終了。

ハーフタイムでGKの交代もあるかと思っていたらなんと鹿体大は東雲→下野をトップ下にいれて安藤をSW、徐を右ストッパーに下げ堀川と3バックを組む。湊と綱田がボランチで田中と中村がWB。良く分からない采配である。しかも機能しない。後半は開始から関西大が押し込み、鹿体大は受け渡しが曖昧な3バックのあちこちにスペースが生まれて守備がズタズタとなり、押し込まれたためにロングフィードも活きず攻め手がない。8分、関大右からのパスを受けた櫻田が左からコントロールシュート、バー直撃。9分、右CK安藤から八柄ヘッド、外れる。12分、鹿体大・中村→小川を入れ綱田がひとりでボランチ。3バックの負担が激しく、徐は消耗し木本にスピードで振り切られるシーンも出てくる。17分自陣で堀川がミスし、森本がカット、ドリブルから櫻田とのワンツーでペナに入るところを倒されFK。緒方のキックはカベに当たる。20分、パスをカットした徐が前方のスペースへ素早いパス、柴崎が走りこみ切り返しで一人かわして左足シュート、上に外れる。決定機。関大は守備の集中力を欠いていた。25分、激しい当たりで関大の選手(多分木本)と徐がともに警告。徐は2枚目なので退場となった。28分鹿体大・エース二宮→松井。これも良く分からない交代だ。しかし松井はすぐドリブルで崩しチャンスを作る。鹿体大は4−4−1に組み替えカウンターを狙う。関大はやや守備の集中が甘いもののボールを回し続ける。35分右へのロングパスに松井が抜け出し、GKと1対1、10秒以上手間取ったもののなんとか決めて3−2と詰める。しかし関大は残り時間を巧みに時間を使って逃げ切った。

鹿体大の選手起用が最後まで理解できなかった。前半3失点したものの内容的には悪くなかったのだが。3バック変更で一気にバランスが崩れてしまった。徐のストッパーもいかにも不慣れな動きだった。もっと強いチームだと思うのだが。関西大は最終ラインが度々大きなスペースを作ってしまい、ピンチの基となった。これでは日大戦は厳しい。



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