サッカー観戦日記

2003年08月08日(金) 近畿中学総体2日目

昨年は奈良で全中が開催されたが、今年はその会場を使って近畿中学総体が行われた。上位5校が全中に出場する。各府県2校ずつ参加し、計12校が4グループに分かれてリーグ戦を行い、各グループ1位が全中出場権を得る。ここからがややこしいのだが、まず開催県の奈良は自動的に全中出場枠1が与えられる。したがって奈良県勢2校がともにグループリーグで2位以下となった場合は奈良の1位校(今年の場合三笠中)に全中出場権が与えられる。しかし奈良県勢がグループリーグで1位に入った場合、各グループ2位校による5位決定トーナメントが行われて全中出場校を決定する。今年の場合三笠中がグループリーグ1位で全中出場権を得ているので、5位決定トーナメントも行われる。



近畿中学総体 5位決定トーナメント準決勝 城南中−守山南中
8月8日(金)新庄新町運動公園球技場 9時30分 ピッチ並 雨 強風


城南中                守山南中
−−−木原−−久保−−− −−−青山−−寺田−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−山田−−−−−
品田−前田−−塚野−山本 中山−北川−−犬井−辻田
島田−池上−−川崎−嶋− −−増田−武井−高田−−
−−−−−内田−−−−− −−−−−大本−−−−−

城南中インサイドは塚野君がやや攻撃的。双方雨に手こずりボールコントロールに苦労していた。ともに中盤のチェックが厳しいチームでもあり、中盤の組み立ては困難な状況となった。また風の影響でロングボールも不正確になる。こうなるとDFの負担はかなりのものとなるが、必ず一人余る守備の鉄則を守り破綻はなし。城南中は4バックが互いにカバー、守山南中は好スイーパー武井君がカバーを担当しつつロングボールで攻撃の起点にもなった。結局前半は0−0で終了。ハーフタイムに100m離れた健民グラウンドに移動しトーナメントのもう1試合を観ることにする。


近畿中学総体 5位決定トーナメント準決勝 嵯峨中−瀬田北中
8月8日(金)新庄新町運動公園健民G 9時30分 ピッチ並 雨 強風


嵯峨中               瀬田北中
−−−早川−−大島−−− −−−−−梅田−−−−−
−−−−−−−−−−−− −加藤−−大西−−松下−
小西−久保−−大崎−高野 −−−松川−−石崎−−−
石田−鈴木−−大藪−野村 篠原−−連−−山崎−天野
−−−−−岸本−−−−− −−−−−早坂−−−−−

こちらは嵯峨中が早々に2点リードしたものの瀬田北中が追いつき、2−2での折り返し。嵯峨中は久保君が上がり目で攻撃を組み立てる。瀬田北中は4−2−3−1で全員の攻撃意識が高い。前線の守備意識が低くボランチに掛かる負担が大きいが、選手の能力の高さでカバー、特に松川君は攻守に大車輪の活躍ぶりである。CF梅田君は身体能力が高く、抜群のスピードで裏をとる動き、正確なポストで相手に脅威を与え続ける。トップ下大西君は強引なドリブルで相手をかわし、梅田君への決定的なパスを出し、自らもシュートをどんどん狙う。この二人にマークが集中するとサイドの加藤君・松下君が活きてくる。松川君を軸にピッチを広く使った攻めを見せる瀬田北中ペースでゲームが進み、後半14分、梅田君がポストから反転して一人かわし豪快な25mシュートを右スミに叩き込み2−3と逆転。しかし嵯峨中も18分、高野君の速い右クロスを大島君が決め同点に追いつく。これに対し瀬田北中はキーマンの一人ボランチ石崎君を下げて攻撃的な遠藤君を入れる4−1−4−1でさらに攻撃的に変更、CKのこぼれを松川君が決め3−4で競り勝った。

瀬田北中のスタイルはやや攻撃的に過ぎて、勝負という点では不利かもしれない。組織力も高いわけではない。しかし選手の個性が前面に出た、観ていて楽しいチームだ。選手もクセを変に矯正されてないし、今後の成長が楽しみだ。嵯峨中もやはり攻撃的なチームで、今大会では最も娯楽性に富んだゲームとなった。

なお、球技場のゲームは守山南中が城南中に1−0で競り勝ち、この結果全国出場をかけた5位決定戦は滋賀勢同士の決戦となった。滋賀県大会では守山南中が延長戦の末競り勝っている。



近畿中学総体 準決勝 三笠中−龍野東中
8月8日(金)新庄新町運動公園球技場 11時 ピッチ並 雨 強風


三笠中               龍野東中
−−−中山−−田中照−− −−−山本−−深田−−−
−−−−−今旨−−−−− −−−−−−−−−−−−
高木−入口−−池田−大村 内海−玉田−田中脩−三宅
−−石瀬−窪田−鶴来−− 松本−大樫−田中勇−山本
−−−−−岡野−−−−− −−−−−出口−−−−−

二年連続全中出場を決めた三笠中は攻守の素早い切り替えからタテに早いサッカーが持ち味。入口君がやや守備的、池田君が攻撃時は前に出る。抜群のセンスに恵まれた10番今旨君が相手を切り崩してFWにパスを出す。余裕を持って相手をかわしてのスルーパスが得意だ。右WB大村君はファーまでよく見えており正確なクロスが魅力的。左利きのSW窪田君、大会屈指の好GK岡野君と個々の能力の高い選手が揃った。雨のグラウンドとの相性もよさそう。

一方龍野東中はボールテクニックに練習の多くを割いていると思われるチーム。足元のボールを細かく動かし相手を上手く誘って逆を取ってかわす。全員のフェイントのクセが似ており、おそらく中学時に身につけたプレーがかなりの部分を占めているのだろう。ショートパスもワンツーもイマイチで、フットサルは不得手だと思う。龍野はサッカーが盛んな地域ではないはずだが、それにしてもストリート的なプレーがほとんどない、珍しいタイプの技術系チーム。LH内海君はトリッキーなプレーを多用しつつ、それを流れの中で上手く活かしていて「サッカーが上手い」選手でもある。アウトやソールなどありとあらゆる部分で正確なワンタッチコントロールをこなす。一度内海君に預けてから右に展開することが多い。田中脩志君はミドルパスがあり、FKも蹴る。GK出口君は高い技術に加え、身体能力も高く大会ナンバー1GKか。ロングパスもある。

序盤は龍野東中が積極的にドリブルで突っかけペースを握るが、パスが通らずカバーのしっかりした三笠中がギリギリのところでカットし、前線にロングボールを送る展開となる。やがて龍野東中のプレーに慣れた三笠中はボールホルダーに安易に飛び込まず、カバーを徹底し、決定機を与えない。三笠中のタテパス主体の攻めに慣れた龍野東中も相手キーマン今旨君をしっかり見るようになり、20分過ぎから膠着状態になる。前半はスコアレスで終了。ハーフタイムに健民Gに移動する。


近畿中学総体 準決勝 御原中−高槻九中
8月8日(金)新庄新町運動公園健民G 11時 ピッチ並 雨 強風


御原中               高槻九中
−−−記虎−−櫻井−−− −−−今牧−−白藤−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
丸浜−近森−−岡崎−仲田 吉田−北東−−川上−松本
曽根−田原−−枽島−倉本 越山−柏原−深尾広−井上
−−−−−居口−−−−− −−−−−深尾央−−−−

選手名のうち「深尾広」は深尾将広君、「深尾央」は深尾将央君です。

既に前半高槻九中が1点先制している。御原中は10番近森君が攻撃時は上がり目、岡崎君が下がり目となる。近森君、LH8番丸浜君はスピードがある。記虎君はガッチリしていてキープ力やミドルパス・ミドルシュートがある。全体に守備的なチームで奪ってからタテに速い攻めが持ち味。守備では激しい、ファウルぎりぎりのチャージを再三見せる。

高槻九中は全員が実戦的な高い技術を持ち、相手を巧みにいなしショートパスを繋ぐ。また守備技術・センスも高く、各個人が巧みに寄せてスライディングタックルで奪う。守備陣は高さ・スピードといった身体能力はそれほどでもないが、1対1の守備技術は高い。RH松本君は大会随一の突破力を誇り、次々にサイドを突破してはクロスを入れる。白藤君は小ワザの得意な10番で、松本君と連動してアウトでのノールックパスや引き球からの相手の上をチョコンと越えるパス・ドリブルや両足を使っての突破からシュートなど、バイタルエリアでの選択肢の多い選手。エースストライカー9番今牧君は「ゴールしか見えない」強引なストライカーで目の前に3人いてもかわしてシュートを狙う。

1点リードの高槻九中が後半も攻め続け、御原中を自陣に押し込む。苦戦の御原中はプレーがやや荒れ始め、強引なチャージなどのファウルが増え、高槻九中に負傷者が何人か出る。主力のRH松本君がケガで下がってからは、全体に引いてカウンター狙いとなった。それでもボールを大きく動かしてキープ時間を増やしてゲームをコントロールし、守備でも決定機を与えず終始ゲームをコントロールした高槻九中は追加点こそ奪えなかったものの完勝し、決勝へと駒を進めた。


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