サッカー観戦日記

2003年07月27日(日) サテライトリーグ Cグループ G大阪−大分

「ドラえもん」でのび太の考えた祝日としてダラダラ過ごさなければならない日、というものがあった。私は休日であっても何もせずダラダラするのが嫌いだが、高度成長期のサラリーマンならなおのこと、“怠惰は罪”という価値観にえてして自分を押し込めてしまいがちだ。藤子不二男は意外と皮肉を込めたマンガも多いらしい。ドラえもんも案外奥が深い。さて、この日はもし暑いようなら意識して一日中ダラダラして過ごすつもりだった。が思ったほどでもない。そこで近場に足を運んだ。


サテライトリーグ Cグループ ガンバ大阪−大分トリニータ
7月27日(日)萩谷 14時 ピッチ並 晴 微風


G大阪               大分
−−−松波−−嵜本−−− −−−浦本−−内村−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−金本−−−−−
岡本−ガレ−−松下−森岡 −小森田−浮氣−武藤−−
児玉−青木−−實好−小暮 片野坂柴小屋−金守−若松
−−−−−吉田−−−−− −−−−−江角−−−−−

G大阪は最終ライン・中盤ともフラットでSBは守備的、というよりSHが好き勝手にプレーするので上がれない。前日トップのアウェイゲームに出た児玉もスタメン出場。サブは3人しかいない。松波がポスト役。嵜本は右サイドが多い。

大分の中盤はダイアモンド型だが浮氣もスキがあればどんどん前線に上がる。金本も守備ではきっちり浮氣のラインまで下がる。内村がやや上がり目で空中戦担当。ただしまるで勝てない。

G大阪はインサイドのガレアーノと松下が組み立てる。森岡は好き勝手のドリブル。小暮と連携した攻撃はなく、前しか見ていない。嵜本とのコンビも悪い。そもそも小暮・實好の右のDFは技術が低く組み立てが出来ないので、左で組み立てて右の森岡に大きく振るパターンが多いのだ。児玉・青木の高槻市出身コンビの左は右よりも技術はある。一方大分は浮氣を中心にゆっくりパスを回し組み立てる。というよりFWの動きが悪く、裏やスペースを狙えないし空中戦もポストも駄目なので回すしかない、と言う状況だ。左の小森田も小暮の裏や中を狙わず相手の前で受けるだけ、右の武藤も引き付けてパス、まったく局面を打開する意思を見せない。これでは大分がチャンスを作れるはずもないのだった。6分、森岡ドリブルで右から切れ込み、外フリーで待ち受ける松波へ、決定的チャンス。しかし外す。19分浮氣自陣でのキープ、二人に詰められ奪われる。あってはならないミス。ガレアーノのミドル決まらず。22分、空中戦で金守が松波にこのゲーム何度目かの完敗、落としたボールをシュート、外れる。31分、内村“とりあえず撃っとけ”ミドル。34分、柴小屋またもプレゼントパス嵜本へ、しかし甘いドリブルをタックルで奪い返す。中身の薄い前半は0−0で終了。

ともに組み立ての流れのない、しかもミドルすら少ない低調な内容。もちろん組織的な守備が機能していたわけでもない。DFは、特に大分はミス連発でG大阪は決定機だけは多少あったが、シュートミス・ラストパスミスばかり。スタンドには飲み屋の酔っ払いのごとく、ひたすらクダを巻いている女性ファンもおり、周囲の冷ややかな視線を集めていた。感情の表現方法はともかく、気持ちは分かる。

後半大分は浦本→松橋、武藤→瀬戸。金本が右に回り瀬戸が中へ。また若松がCB、金守がRBに移動。まったく理にかなった交代。1分、岡本のクロスをガレアーノがヘッド。しかし以後は大分ペース。松橋が常にスペースを狙い前線が活性化し、中盤からパスを引き出せるようになる。前半G大阪のマークに苦しんだ金本も右で前を向いてボールをもらえるようになり、決定的なプレーを狙えるようになる。CBに回った若松も松波と対等な勝負でやすやすとポストプレーをさせない。13分、大分が中に入れたボールのクリアを松橋が拾い、後ろに落とす。内村が持ち込んで決め先制。15分、松波→羽畑、児玉→内林。羽畑はテストだろう。児玉はまったく機能していなかった。3バックに変更し、内林がLWBへ。16分、CKから内村→金本→内村とつなぎクロス、柴小屋のヘッドが決まり2点目。18分、浮氣→吉田がLHに入り、小森田が中へ。その小森田からのロングボール、なぜか吉田が出ようともせず、松橋が抜け出し、あっさり決める。中学生のGKでも前に出る判断が出せたはず。吉田の集中力不足で、このゲームに対するやる気を疑う。23分、松下が羽畑に当て、森岡へのラストパスはブレる。G大阪は岡本とガレアーノのバランスが悪く、カウンターを浴びやすい。内林は攻守に消極的で周りに要求も指示もせず、ひたすら浮いている。34分、右に流れた嵜本からのボールを羽畑決めて1−3。大分は落ち着いて時間を稼ぎながらプレーし、残り時間はスコア動かず、そのまま逃げ切った。ともにトップは降格争いを演じる両クラブだが、G大阪はサテも低迷、大分はまずまずか。

寸評
吉田:おとなしくて存在感がなかった。論外のミスも。
小暮:ミス連発。 
青木:無難。安定していた。
實好:相手FWを良く潰していた。レベルが違った。
児玉:移動の疲れか?冴えない。攻撃の起点にはなっていた。
森岡:チームの中で自分を活かす発想がなかった。トップでは使えまい。
岡本:持ち前の技術を活かし、周囲を使う意識もあったが連携はイマイチ。トップも狙える。
松下:まずまず。
松波:確実なポストで起点となった。
嵜本:ドリブルはすぐ奪われる。
内林:酷い出来。それを修正する意思も感じられなかった。
羽畑:松波ほど機能せず。
 
ガレアーノは当たり・空中戦に強く、読み・守備時のポジショニングはいいのだが攻撃センスは冴えないし、少し相手が近づけばミドルパスがブレる。ディフェンス・スクリーンに最適なタイプなのだが攻撃にあまりにも絡みたがる。パルメイラスでは汚れ仕事ばかりでウンザリして、少しレベルの落ちる日本で好き勝手プレーしたいのかもしれないが、これじゃ駄目だ。日本での成功は本人の意識の問題だろう。


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T.K. [MAIL]