キスもしてもらえないのに、

「愛してる」なんて言うなんて、

僕は頭がおかしいのかもしれない。


最初からわかっていたのに。

きみが僕の気持ちに

応えられないことくらい。


僕以外の誰かときみが一緒にいるのを見ると、

耐えられないくらい嫉妬した。


今まではそれを隠して

きみが友達の話をするたびに

楽しそうに笑ってみたけど、

やっぱり本音は僕と一緒にいて欲しかったよ。


賭けに出たんだ。

もしきみが僕の気持ちに

ほんの少しでも応えてくれたなら、

それでいいと思って「愛してる」って言った。


だけどきみは目を伏せるだけで。


僕は「今までありがとう」って

言うしかなかった。


ほんの少し笑顔を見せてくれるだけでよかった。

でも、それもかなわないなんて。

「配偶者」って存在感すげえなって思ったよ。


きみのふとした仕草やそぶりに、

「ちょっとは愛されてるかも」って思ってたんだ。

それでいいと思ってた。


そばにいることさえふたりには大変だったから。


僕はずっときみに正直でいたよ。

だからきみにも一瞬でいいから

ほんとの気持ち、教えてほしかった。


それだけでこの先、

何も言ってくれなくても

生きていけると思ったよ。


人を愛して泣いたのは何年ぶりだろう？

しばらく恋愛沙汰はこりごりだ。


BGM : One More Kiss - Paul McCartney