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2017年05月21日(日) かわいそうなクモ

とある少女の家に、

ある日を境に大きなクモが

出てくるようになりました。


少女の姉は、そのクモを見かけるたびに

早く死んでしまえばいいのに、と

ヒステリックにつぶやいていました。

姉は醜いものが嫌いなのです。


少女は、天井に現れるクモを見て、

外に出たいのではないか、と思いました。


少女はある夜夢を見ました。

あのクモが現れ、

「どうかどうか、お外に出してください。

 どんな形でもかまわないですから。。。」

と言いました。


少女は、今度クモが現れたら

外に出してあげようと思いました。


そして数日後、クモは再び現れました。

今度はまな板の裏に隠れていたのです。

これなら出してあげられるかもしれないと

少女は思いました。


しかし少女はちょっとしたいたずらを考え付きました。

まな板をもうすぐ使うであろう姉を

脅かしてやろうと思ったのです。

少女は何も言わずに台所を離れました。


「キャーーーーッ!!」

予想通り、姉はクモに驚きました。

少女は何食わぬ顔で台所に戻り、

「どうしたの?」と聞きました。


「クモが…クモが!!」

そういうと姉は流し台を指さしました。

姉は耐えきれずにクモを流し台に

水で流そうとしていました。

水にぬれたクモは小さくなっていました。


少女はそうっとクモを紙に包み、

庭に出してあげました。

--これで外に出られたね。よかったね。

少女はいいことをした、と思いました。


翌朝庭に置いた紙の中を観ると、

あのクモが中で動かなくなっていました。

少女は自分のしたことがとんでもないことだったと

気づいたのです。


「ごめんなさいクモさん。ちょっとお姉ちゃんを

 困らせたかっただけなの。まさか、あなたが

 死んじゃうなんて思わなかったの。。。」


少女はクモを土の中に埋めてあげました。

かわいそうなクモさん。ごめんね、とつぶやきながら。


BGM : Compassion - Todd Rundgren


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