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2003年01月23日(木) 理想郷を求めて/行き場のない怒り

いつもと違う場所を散歩していて思っていたこと。

時々しか来ないけど、私はこの場所が結構好きだ。
年令層が自分と違う人が多いせいか、
みんなこっちを見ていないから気軽に歩けるのだ。
欲しい物はほとんど手に入るし、治安も悪くない。
そのうえ、交通の便もいい。
ここなら住んでもいいかもしれないと思える。

でも、たまにくるのと実際に住むのとでは違う。
ここの人になってしまうと見なくてもいいものまで
見なくてはいけない。
今住んでいる場所も普段は静かでいいところなのだが、
地域住民のいやーな争いを何度か耳にしているし、
夜は夜で、バイクの音がうるさい。
時々近所の家から、何かをぶつける音と同時に
子供の悲鳴が聞こえることもある。
憧れは憧れのままにしておいたほうがいいのかもしれない。

だけど、私たちはどこかに住まなくてはならない。
近所のおばさんが世話好きすぎても、
茂みの中で眠らなくてはいけなくても、
寝起きする場所が必要だ。

最初にいたところは、親戚づきあいがうっとうしくて毎朝苦痛だった。
その次にいたところは、よく覚えていない。
その次は、うわべは親切そうだけど
実はそうじゃない人がわりと多かった。
前にいたところはそんなに悪いところではなかったけれど、
事情があって引越さないといけなかった。
今いるところは、悪い場所じゃないけれどどこか居心地が悪い。

夏には涼しいところへ、
冬には暖かいところへ引越すことはできるかもしれない。
海が好きなら海の見える場所へすむこともできる。
でも、そこと相性がいいかまではわからない。

外国に住んでいる知人が、
日本に住んでいる間はずっと自分に自信がなかったけれど、
自分の住んでいる町では自分が多少太っていても
二重じゃなくてもうけいれてくれる、と言っていた。
そこは彼女にとっては相性がいいかもしれないけど、
私とあうかどうかはわからない。
それに、今は彼女にとっていいところかもしれないけど、
人間がかわるように、町もかわるのだから。

値踏みされているような視線がなく、
住んでいる人とある程度の距離を保てる、
暑すぎも寒すぎもしない静かな場所。
そういうところなら、電車が鈍行しか止まらなくてもいいし
本屋さんが6時にしまってもいいなと思う。
だけど、条件だけは自分とあいそうでも、
どこか違うと思えてしまうところばかり。

でも、たとえ「ここだ」と思える場所があっても、
多分私はそこには住まないと思う。
理想とぴったりのものを手に入れるには、
私は臆病過ぎるから。
だけど、私もそろそろ別の場所を探すべきだと
頭のどこかで声がする。


−ここは理想郷じゃない。

 きみにとっては理想郷じゃない。

 ここは理想郷じゃない。

 誰も理想郷なんて知らない。


どこへ行けばいいい?







本当は、今日は別のことを書くつもりでいた。
私の父に対する憎しみをぶつけるつもりでいた。
だけど、もう憎んでも仕方がないと
思えることが起きた。

プライドを破壊された彼は
最近「自分」を失うことが多くなった。
さっきも洗面所で正体をなくし、
母に下着をかえてもらっていた。

思えば私は、彼に他の家庭の父親のような
思いやりがあって頼りがいのある人に
なってほしかったのかもしれない。
それがだめでも、「今まで悪かった。これからは仲良くしよう」と
一言言ってほしかったのだ。

だけどそれが無理なことはわかっていた。
彼が怒鳴り声をあげるたび、「俺にあやまらせるな」と
心で叫んでいるのが聞こえていたから。
行き場のない私の怒りは、それがわかっていても
彼を憎むことしか行き場がなかった。

私が憎んでいた「彼」が消えようとしている今、
私が彼を憎む理由はない。
でも自分を失いかけている彼は、私たちに
新たな苦悩をもたらそうとしている。


自分の憎みつづけたものに、
これからものしかかられつづけるなんて。


私は、


いったい、


何のために生きてるの?


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