赤ん坊をあやす。「だいすき〜!」と頬をすりよせ耳を甘噛みする。体の奥からこの口中の柔らかい耳朶を噛み切りたくなる衝動が込み上げて来る。それはいつも突然。首にまわした手に力をこめてみたくなる一瞬。抱き上げたこの両手から力を抜きたくなる一瞬。赤ん坊は可愛い。可愛い、いとおしい、枷。縛られている幸福しかし時折それから解き放たれたいという思いがよぎる。私は母親失格