凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
もくじ|前の日|次の日
着信メロディを聞いて慌ててベビーベッドにほおりだしたままの携帯を掴む。 このメロディは彼女だ。 わくわくしつつ画面を見る。 「生まれました。男の子です。母子共元気。落ち着いたら遊びに来てね」 飛び上がりたい気分を押さえつつ返信。 「おめでとう!おつかれさま!」
余韻に浸っていると違う着信メロディ。 友達からだ。 画面を見ると「訃報です」 以前の職場の
入院したのは聞いていた。 胃を全摘したと。 それで治ったのだと思っていた。
夜の闇の中、一人ぼんやりしながら赤ん坊に授乳させる んく んく うくん 赤ん坊が喉を鳴らして乳を飲む 窓の外で一匹だけ蝉の声が聞こえる こんな夜中に鳴く蝉もいるのか それとも今夜であの蝉の命は尽きるのかしらん
んく んく うくん 満足したのか眠った赤ん坊の首がかくんとそれる
この命はどこから来たんだろう あの命はどこへ行ったんだろう
闇を見つめる 赤ん坊の微かな寝息 蝉の声
暁
|