祖父。 - 2007年01月31日(水) 久しぶりに祖母に逢いに行ってみて、 そういえば自分は彼女の昔を何も知らないなぁと、少し思った。 彼女はあまり自分の過去を孫である私には話さなかったし、 彼女の息子である私の父も、あまり昔の話を口にはしなかった。 それを気にしたことはなかったのだけど、 祖母の部屋で古い写真を発見して、 自分の知らない彼女や父の姿に出逢った。 穏やかに年を重ねて、多少現実と認識にズレが生じている彼女だけれど。 黙ってじっと見つめていたのは、 私が逢ったことがない、亡き祖父の小さな小さな写真だった。 年令や疾患の進行で認知症が進んで、 今では私の名前が二時間以上理解できないこともあるのに、 写真に向かって迷わず呟いた名前に、父が苦笑した。 懐かしい、父さんだね。 そう言って眼を細めた父の横顔は、たぶんとても穏やかだったと思う。 そんな父の言葉に彼女は何も応えなかったけど、 彼女が祖父の名前を呼ぶのを、私はその時初めて聴いた。 私が産まれるずっとずっと前。 父がまだ学生だった頃に亡くなった祖父に、逢ってみたかった。 ...
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