*Simple Lovers*


2010年05月31日(月) 人は独りではないと誰かが言った

自分を顧みずに無茶する所が

悪い癖だっていうのは分かってる。

こんな時ばっかり自分を卑下して

「自分一人くらい居なくなったって構わないじゃん」とか

「心配してない癖に心配だとか言わないで」とか。

あたしは今まで他人の愛情を知らなかったから

本気で心配してくれる想いに

戸惑ってしまう。



















あのデートの次の日から体調を崩した。


気温が少し低かったのに

どうしても彼の為に選んで買った薄手の服を着たくて無理して

恐らく其れが体調不良の要因で。


でも、其れが原因なんて

なんとなく上司である彼にも悪いと思って

微熱があるのに無理して働いた。

彼に見つかったら絶対に早退させられるのが目に見えたから

一日ばれない様に気を張って

終礼直後に倒れそうになるくらい無茶をして。



















翌日もお互い仕事で

でも体調は戻らなくて。

また無理して出勤したら

今度こそ彼に見つかって、強制送還を言い渡されて。

だけど自業自得な理由だから

どうしても帰りたくなくて

早退しないと言い張ってたら

彼に初めて怒鳴られた。

「心配して言ってるのにいい加減にしろ」と。

あんなに感情的な彼を、初めて見た。



















怒鳴られたのが怖かったとか

そういうんじゃない。

ただ、彼に其処までさせた自分が不甲斐無いって思って。

皆の前で平気な顔してる彼が

どれだけ心配してくれてたかを知って。

悔しさとか

戸惑いとか

嬉しさとか

よく分からない感情が混ざって

分からないまま泣きじゃくって。



















人生何年も生きてきたのに

他人からの愛を感じたことなんて

あたしはこれっぽっちだってなかった。

自分の居場所を作るためだけの偽りの関係性が嫌いで。

心配もしてないのに建前で気遣われるのが嫌いで。

親は自分の感情を勝手に押し付けてくるだけ。

周りはただ優しいか興味がないかで。

恋人だって

そんな愛に飢えた自分が依存するためだけに

居心地の良い人を選んで縛っていただけ。



















だから

ずっとずっと、貴方が心配して

ずっとずっと、あたしにくれた言葉を

ずっとずっと、信じられなくて

粗末にしてきた。

あんな風に言われるまで

気付けなかった。

受け入れられなかった。



















暫く同じ場所で泣き続けてたら

たまたま貴方が通りかかって

さっきまでの雰囲気がまるで嘘みたいに優しい声で

「明日、ちゃんと病院行ってきな?」って言うから

また涙が止まらなくなった。

泣き腫らした眼を隠すために

貴方から借りた帽子は

貴方の匂いがして落ち着いた。



















甘えること、我侭を言うこと。

隙を見せること、自分に優しくすること。

ずっと駄目な事なんだって思ってた。

けど、いいのかな。

もっと、自分を大切にしていいのかな。

大切にすることを、貴方は望んでくれているのかな。

自分を愛することが

貴方を愛することへも繋がるのかな。



















今はただ、貴方の言葉を信じている。


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