流天日記
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2005年06月21日(火) 坂の向こうに

ビリジアンの生い茂るほそい路地を抜けると
カッと照りつける太陽が私を迎えてくれた

南国特有の突き抜けた猛暑である

大通りはゆるやかに傾斜している
右手を見ると、下り坂の向こうに
青白い水平線が見える。
左手を見ると、上り坂の向こうに
発達した町並みが見える。

時計を見ると丁度満ち潮の時刻である
青い水は、車を飲み込み、人をのみこみ
町をゆっくりと侵食してゆく。
この町は海と共にあるのだ
私の今いる足元だって、数分後には水の中になるのだろう。
(完)


2005年06月13日(月) 銀座にて

大学の教授に頼まれて
一時間ほど研究室で電話番をする。
帰ってきた先生は、たいそうありがたがって
「よし、高級うなぎをご馳走してやる」と言い出し
私を白昼のザギンに連れ出したのである。
(完)


2005年06月10日(金) 境界は消えつつある

友人と昼食をとり、大学内を歩いていると
どうも視界がゆらゆらする。
足元もふにゃふにゃして、歩いている実感がない。
友人が話しかけてくるが、言語が理解できない。
あっ、これはもしかして。
私は唐突に悟ったのである。
これは、夢だ。私は今夢の中にいるのだ。

頬に指をやる。感触が無い。
境界は消えつつあるのだ。
(完)


2005年06月04日(土) おふろ

お風呂場に行ったら
排水溝のそばに
トンボが2匹、
アゲハ蝶が2匹、
スズメバチが2匹、
ガマガエルが1匹、
ひっくり返って死んでいた。
(完)


2005年06月03日(金) 日焼け止め

大学の裏口で、先輩の恋人(単体)とすれ違う。
こちらに気がつき、にこやかに話しかけてくる。
見ると、彼女の目の下にべったりと白い粉がついている。
どうやら日焼け止めのようである。
指摘しようか頭の中で一瞬考えてやめる。
(完)


2005年05月28日(土) こどもたち

教育実習のため保育園に行く。
自分の時代と違ってとてもハイテクなビルディングで驚く。
しかし、ちびっこは今も昔もあまり変わりはなく
ぎゃーだのびゃーだの、騒ぎながら
腕によじのぼってきたりひっくり返ったり
難しい顔をして、せわしなく動き回るのである。


2005年05月21日(土) バイセコー

朝起きて、庭に出てみたら
母が私の自転車を解体している。
な、な、なにしてんの!私の自転車に!と叫んだら
「こんなボロボロの自転車はもう捨てたほうがよい」
と言い捨て
勝手に粗大ゴミ処理への手続きを進めるのである。
(完)


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