仕事で高校の同窓会を欠席した主人が、同級生のブログでアップされた写真を見ながら言った。 「へー、この先生も来てたんだ……皆でこの先生のロッカー投げたんだよね」 ? 意味がわからなかったので、訊き直した。 「ロッカー投げたって、何?」 「だから、ロッカーだよ。職員室前の廊下に、先生方のロッカーがずらっと並んでいて、その先生のロッカーを雪の中に投げたの」 やっぱり、よくわからない。 「なんでそんな事をしたの?」 「理不尽な酷い先生だったんだよ。だから友達数人で、『あいつムカつくよなー』『仕返ししてやろうぜ』って事になって、よいしょよいしょとロッカーを運んで、廊下の窓から外に投げたの。そしたら、翌日になって先生が『私のロッカーが無いんだが、誰か知らないかね』って。夜のうちにドカ雪が降って、ロッカーは埋もれちゃってたんだ」 「それで、名乗り出たの?」 「まさか! 皆で『♪〜(´ε` )』って知らん振りだよ」 「ロッカーは? ロッカーはその後どうなったの?」 「さあ? 誰かが発掘したんじゃない」 ぽかーんとしていると、主人が慌てて、 「そういう時代だったんだよ! 煙草とかシンナーとか吸ってるような悪い友達もいたし。勿論僕はやってなかったけど。因みに、今はもう皆いいオッサンで、普通の社会人になってるよ」 この話だけだと、どんな底辺校かと思うが、当時も一応中堅の進学校だったらしい。 しかし、だからと言って、そういう事をやってしまうってどうなの……と思っていると、 「本当にあの頃は、そういう時代だったんだよ。先生方だって、相当な悪戯好きだったし。でも今は、一寸した事でもキーキー騒ぎ立てるような保護者がいるせいで、そんな事する教員はいなくなっちゃったね。世の中、余裕の無い奴が多いんだよ」
なんか、昭和って凄いなと思った。
覚えておきたい記憶が、薄れてしまう。 両手から零れ落ちる砂のように。
うちの主人はかなり面白い。 今日も面白い事を言ってくれたので、 「それ、絶対うちの妹に言うわ! そしたら自動的にうちの両親の知るところにもなるから」 と笑い転げていたのに、2時間後には何の話だったのか、すっかり忘れてしまっていた。 何だっけ……床に崩れ落ちて、呼吸困難を起こすほど笑ったのは覚えているのに、肝心の中身が思い出せない。 言った本人なら覚えているかもと思って訊いてみたが、やっぱり覚えていなかった。主人は、食べ物以外の事は、すぐに忘れてしまうのだ。 その部分だけ、記憶に靄がかかっているようで、かなり悔しい。
やっぱり、主人の面白発言はきっちり記録しておかないと!
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