とうとう昨日のいやーな夢を主人に告白したところ、彼はこんな話をしてくれた。 ミシン発明者が実際に見たという夢の話である。 発明者は自動縫製機の仕組みは考えたものの、最後に針をどうするかで行き詰ってしまい、悩みに悩んでいたある日、夢を見た。 槍を持った原住民に捕らえられる夢で、その槍の先には、穴が開いていたという。 これだ!と夢から覚めた彼が作ったのが、針先に穴の開いたミシン針であった。 嘘のような本当の話だそうで、ネットで検索したらちゃんと載っていたため、主人の作り話ではない事が確定した。 「だからシオンの見た夢も、もしかしたら、何かのヒントかも知れないよ」 と主人は慰めてくれたが、一体何のヒントになるのか全く見当が付かない。 どうせなら、もっとわかり易いヒントくれよ!1から37までのうちの7つの数字とか!
一方主人は、帰宅途中に、「小さいおじさん」なるものを見かけたという。 「信号から一寸先に、美容室があるじゃん。昨日か一昨日あそこの駐車場で、黄色い合羽を着た小さいおじさんが、トコトコトコって小走りに、車の下に入って行ったんだ……」 と告白する主人に、何でその日のうちに教えてくれないの!と詰ったら、 「だって、仕事で疲れているのかな、とうとう気がおかしくなったのかなと思って……何か言えなかったんだよう」 と、もしょもしょと答えるのであった。 まあわかるけどね、その気持ち。 「そうね、私も嫌な夢の話を伝えるのに勇気が要ったもの。そんな人でなしと一緒に暮らして行けないと離婚を切り出されたらどうしようと」 「大丈夫だよ、シオンが人でなしなのは今に始まったことじゃないから。 でも僕は、この世のものではないものを見てしまった事がショックで。幽霊とか妖怪なんている訳が無いのに!」 と、霊体験豊富な人が言う矛盾。 「あっシオンの実家には絶対話しちゃ駄目だよ。気狂い扱いされるから」 早速妹に話そうと思っていたのに、釘を刺されてしまった。ちぇ。
夢は、一体どこから来るのだろう。
子供の頃から、変な夢を見る事はあった。 グロテスクで気持ち悪くてあり得ない夢。 印象的な幾つかのものは、今でも鮮明に覚えている。 しかし今朝のは、その中でも群を抜いて最悪だった。 イスラム国の首斬りや焼殺など、まだ生温いのではないかと思えるほどの残虐さ。 目が覚めて、
_、_ .(;^ω^)\ | \ / \√| ( ヽ√| ` ̄ ノ>ノ  ̄ レレ (( さすがの俺でもそれは引くわ
というアスキー・アートが頭に浮かんだ。 幾ら私でも、そんな発想が浮かんだ事など無かったのだが、では何故そんな夢を見たのだろう。 夢の中の残虐な事件は私が起こしたものではなく、アフリカか東南アジアの奥地での出来事の新聞報道を私が読んでいるというものだったが、原因が無ければ結果は出ない筈。 いつ誰が私の頭にそれをインプットしたのだろう。 元から私が生まれ持った素質なのか。 そんな事を考えていたら、夢の陰惨さと自己嫌悪が相俟って、朝から憂鬱になってしまった。
あまりに酷過ぎて、一寸ここでは文字に起こせないような話である。 リアルで人に言うのも憚られるし、主人に言ってドン引きされて離婚を切り出されても困るので、暫くは自分の中に留めて置いて、夢の話を主人にした時にいつも言われる言葉を、自分で自分に言い聞かせるしかない。
「それはただの夢だ」
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