| 2014年07月01日(火) |
言わなくて良い真実もある |
同じ階に、転勤族の奥さんがいる。 御主人は挨拶しても無視するような酷いオッサン(引越しの時の挨拶にはちゃんと来たのに、何なのだろう)だが、奥さんは良い人だ。 何故なら、食べ物をくれるから! (料理上手な人は凄い人で、食べ物をくれる人は良い人というのが、私の認識だ。あっ、だから主人と結婚したのか)
定番家事を済ませた頃、玄関のチャイムが鳴った。 しかし折悪しく私はトイレにいたので、息を潜めてスルーする事にした。 ネットで買った河野製紙の箱ティッシュがそろそろ届く筈。時間帯が一寸早いけれど、きっと宅配便だろうと思ったのだ。 訪問者が去ったようなのでトイレから出て、身支度をして、出かける際に郵便受けを覗いてみたが、中は空っぽだった。 宅配便なら不在届けを残して行く筈。では誰だ? 最近は訪問販売も無いし、大家さんなら事前に連絡をくれる筈。 もしかして、同じ階のあの奥さんが、焼き立てのパンを持って来てくれたのではなかろうか。 あの部屋の前を通り過ぎる時に、換気孔からパンの焼ける美味しそうな匂いがしていたし、先日は少し前に頂いた手作りパンのお礼に、実家の親が送ってくれた果物をお裾分けしたばかり。 きっとそうに違いない。
その後、夜まで待ったが、チャイムが再び鳴る事は無かった……。 主人に事の顛末を話すと、 「そうだね、きっとパンの人だね。残念だったね」 と言われた。 「だよね!? でも今更、パン下さいって言いに行く訳にもいかないし、私は一体どうすれば」 と臍を噛む私に、主人がアドバイスをくれた。 「どうしようも無いでしょ。今回は諦めなよ。まあ、今度からトイレに入る時には、玄関に『うんこ中』って札でも掛けておくんだね」 「絶対嫌だ! でもさ、もし明日あたり訪ねて来られて、昨日の朝ピンポン鳴らしたけれど出なかったって言われたら、一体どうすれば」 「その時は、『アラごめんなさいね』でいいんじゃないの」 と主人。 「『ごめんなさいね、手が離せなかったの』でいいの? それとも『お風呂場にいて聞こえなかったの』って嘘を?」 「そこまで言わなくていいよ。ただ『ごめんなさい』だけでいいじゃん。 嘘を吐く必要は無いし、本当の事を言う必要も無い」 なるほど……! この人の、こういうところが凄いなと思った。 白黒付けなきゃ気の済まない私には、出来ない発想である。
主人の親から、仕事の序でに我が家に寄ると連絡があったのは2日前。 本当は主人に商談に付き添って欲しかったようだが、普通に考えればわかるように、平日で主人は仕事があるので当然無理。 じゃあシオンさんにお願い出来ないかな……と言っていたようだが、シオンを巻き込むな!と即座に主人が突っぱねてくれていた。 どう見ても私は商談向けキャラではないので、そこは主人のナイス判断である。 破談なら任せて!なんだけどな。
商談は午後からと聞いていたので、早くても11時頃には到着するのかなー、体調もまだ不安定だしもう一眠りしたいけれど掃除ぐらいしておくかね、嗚呼めんどくせえから玄関先で荷物だけ置いて帰ってくれないかな……と思って腰を上げたところで、電話が鳴った。 「もしもしシオンさん? 今、下の駐車場に着いた所なんだけど」
(゚Д゚)ハァ?
早過ぎね? まだ9時半ですよ? 携帯電話持ってるんだから、なんで出かける時か、せめて高速降りたあたりで電話入れないの? 何の前触れも無しにいきなり到着コール入れるとか、馬鹿なの? ……頭痛がぶり返した。 それでも来ちゃったものは仕方ないので、玄関ドアの場所を教えて電話を切ると、すぐに顔を洗って着替えた。 掃除はもういいや。部屋の中も思いっ切り散らかっているけどいいや。時間も教えずにいきなり来るのが悪いんだよ。 玄関チャイムが鳴ったので、ドアを開けると、 「あー疲れた、ただいま〜」 と主人の両親が荷物を抱えて、当然のように雪崩れ込んで来た。ただいまじゃねえよ。 こうなったら、私も開き直ってやる。 時間の指定無しに突然来られても迷惑である事、文明の利器である携帯電話を持っているのだから、せめて道中で大凡の時間を連絡して来るのがマナーである事を説いてやった。 しかし相手は老人しかも土人。どこまで伝わったか、そして理解したかどうかは甚だ疑問である。 プリプリ怒っていても仕方ないので、お湯を沸かしてコーヒーを出して、TVのスイッチを入れた。後はご随意にどうぞ。 2人を放置しておいて、私は掃除以外の最低限の定番家事をやり、その合間に主人に連絡を取った。 お昼はどこに連れて行けば良いかを訊いたのだが、主人が「うちの親が迷惑かけてごめんね(´・ω・`)」としょぼくれるので、「まあな。この分は後できっちり清算して貰うからな!」と返すと、ますますしょぼくれていた。
お昼は近場のレストランでご馳走して貰った。午後からの商談には義父だけが出かけるという。 じゃあ義母はどうするのかと訊いたら、取引先の駐車場でエンジンかけて車内で待っていると言うので、環境に悪いし近所迷惑だから家で待とうよと、義母だけ再び家に引き取って来た。 というか、レストランから家まで車で義父に送り届けて貰ったのだが、忘れ物をした義父を追いかけようとした義母が、スリッパのまま土間に降りたので、また私がぶち切れる事になった。 何故家の中は土足禁止でスリッパを履くようにしていると思っているんですか、そのスリッパで家に上がらないで下さいよ!とさっきまで義父が履いていたスリッパに替えさせ、お義母さんが綺麗にして下さるんならまだしも、裏が汚れたこっちのスリッパは私が拭かなきゃらないんです、ご自分のお家なら何しても勝手ですが他人の家ではやめて下さいね、と指導した。 ううむ、こうして文字にしてみると、如何にも鬼嫁である。 まあ否定はしない。
とは言え、主人の親と険悪な訳ではない。 主人の両親はマナーのなっていない田舎の老人だが、穏やかで大らかなので、歯に衣着せぬ鬼嫁の事も大目に見てくれる。現に家の中がとっ散らかっていても、何も言わないでいてくれた。 書いていて気が付いた。私、今まで一度も嫌味らしき事を言われた事が無いのだ。(もしかして、私が鈍いだけ?) だから私も、一通り怒った後はハイお終い、に出来るのだ。後の事は主人がやればいいし。 一寸困ったところはあるけれど、基本的に良い人達なので、私は恵まれているのだなあと思う。 逆に主人やその親兄弟にとっては、良い嫁に恵まれたとは言い難いだろうけれど(笑)。
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