体調はほぼ回復。 寒い時期なので肩凝りは残るが、それでも頭痛が消えて食欲が戻ったので、随分元気になった。
「噛んだところが口内炎みたいになって痛いよう」 と、主人がしょんぼりして、唇の裏を見せて来た。 その直前に、主人が食べ零したお菓子のくずを床に発見したばかりで、何度言ったらわかるんだコイツは……!と多少イラついていた私がつい、 「あらあら可哀相に。早く治るように、塩でも擦り込んであげましょうか?」 と言うと、主人は目を剥いた。 「酷い!
鬼ババア……!」
鬼ババア? 今、鬼ババアって言ったね。 「貴方、私の事を『鬼』と言った事は今まで何度もあったけれど、『ババア』まで付けたのは今が初めてよね?」 と主人の目をじーっと見ながら静かに言うと、主人がか弱い声で答えた。 「今ね、凄く、心臓がバクバク言ってる……苦しい」 「そうか。じゃあこれを繰り返せばもしかして」 「うん。こないだシオンが観ていた『シャーロック・ホームズ』の悪者みたいになるかも。『奴の心臓は、恐怖で既に止まっていたのです』って」 BSで放送中の「シャーロック・ホームズの冒険」デジタルリマスター版で先日、そういう話があったのだ。 でもそれは、良心の呵責が原因な訳で、 「つまり、貴方も、私をババア呼ばわりした事で、良心の呵責を覚えたという事?」 と畳み掛けると、 「蛇に食われる蛙に、良心の呵責なんて無いよ。あるのは恐怖だけだ」 と言い切りやがった。 よし、保険金増額しとくか。
「男子厨房に入らず」という言葉がある。 その教えを頑なに守って、飯の支度は妻任せ、どんなに妻が忙しそうでも手伝いを申し出るどころか、飯が出来たと言うから席に着いたのにいつまで待たせる気か!とキレる男も世の中には存在するらしい。 他にも、具合が悪くて寝込んでいる妻に向かって、妻の容態より「俺の飯は?」と自分の飯を心配する夫や、「俺の飯は心配しないで。外で食べて来るから大丈夫だよ!」という頓珍漢もいるのだとか。 それのどこがいけないの?という頓珍漢君に、私が親切に教えてやろう。 子供がいるなら子供の面倒、いないなら具合の悪い妻の飯も心配しようよ。お粥ぐらい温めてやれ。
年代が上の年寄りなら、時代のせいもあるから仕方ないのかなーとある程度は思うが、比較的若いのにもいるらしいね、こういう馬鹿男。 その点、うちの主人は希少種だろう。基本的に自分の事は自分で出来る。但ししょっちゅう具合が悪くなるから、出来ない場合もあるだけで。 奥様方から他所のご亭主に関する愚痴を聞く度に、私は思うのだが、やっぱり男も炊事洗濯など自分の世話ぐらい出来ないといけないのではなかろうか。 ずーっと自宅通学で、結婚するまで実家暮らしで身の回りは母親任せ、結婚したらその役目が奥さんにシフトしただけ、という男は、大抵主婦の苦労をわかっていない。 男子たるもの、高校を出たら、独り暮らしをして自分の世話が出来るようにならなけりゃ駄目だよなーと思う。 まあ、とどのつまり、
うちの亭主はハズレじゃなくて良かったぜ!
という話なんですけどね☆ 寧ろ私がハズレ(えっ
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