主人がお風呂に行った後、他に見たい番組が無かったので、NHK-BSで「フローズン・プラネット」を見るともなく見ていたのだが、案外面白いじゃないの、この番組。 子供の頃から大自然や動物ものには殆ど興味が無かった私だが、これはなかなか良い。 私と違って両親と妹はこういうの好きだろうと思ったので、週末3人で過ごしているであろう実家に、電話を入れてみた。 予想通り妹が出たので訊いてみると、違う番組を見ていたらしい。 お父さんってば何も言わなかった!毎日TV欄をチェックしている筈なのに!と電話の向こうで妹がプリプリしながらチャンネルを替えると、丁度、ウミガラスの巣立ちの場面であった。 150mの断崖絶壁にある巣から、海に向かって滑空する鳥。 ところが海まで届かず、手前の岩場で着地に失敗する鳥。 いきなり登場して、慣性の法則によってゴロンゴロンと岩場をバウンドする鳥を咥える狐……。 「待ちぼうけ」かよ! 電話を挟んで、妹と2人で大笑いしてしまった。
大自然って厳しい。弱肉強食の世界だ。 現在の人間社会だけが「弱者」に対して過保護だよなあ。 とても不自然でおかしいと思う。
「世間は狭い」とよく言うが、田舎の狭さは都会の比ではない。 習い事で、同じ教室の人から声をかけられた。 「春さんて、もしかして……」 ああまたか、と思った。 どこに行っても、珍しい苗字のせいで、主人の仕事関係の人には、すぐにばれてしまうのだ。 ええ、ええ、そうですよ。 春の家内でございます……。
誰某さんが習い事で同じ教室でしたよ、と主人に報告すると、あーあの人ね、と理解していた。 「ね、離婚しようか」 と私が切り出すと、主人は驚いていた。 「どうして?」 「だって、どこに行っても、すぐに私があなたの妻だとばれてしまうでしょ。春さんの奥さんて、あんな人なんだ……って貴方は言われるのよ、嫌じゃない?」 と私が正直に言ったのに、主人には良くわからないらしい。 「別に良いけど?」 そうですか……。 故意に貴方の顔に泥を塗るつもりは更々無いけれど、他人の目を気にして生活するって、とても難儀だと思うの。 私は誰に対しても愛想の無い影の薄い人間として生きていたいのに、それは無理な話なのかしらね。
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