夕食が早過ぎたのか、夜になって、急に空腹感に襲われた。 主人が 「こないだ買ったチーズでも食べる?」 と言うので、一口分けて貰った。
ホントに美味しい……!
リッツに付けて食べてみた。やはり美味い。 今度は酒が欲しくなる。チーズには赤ワインだと主人が言うので、貰い物の赤ワインを開けた。
うえ〜〜〜
やはりワインは苦手だ。一口飲む度に、酷い顔になる。 そんなに不味そうに顔して飲まなくても……と主人は言うが、開封しちゃったんだし、飲まなきゃ消費し切れないだろうが。 責任を持って主人に全部空けて欲しいところだが、彼はほんのふた口、お猪口1杯分でもう真っ赤っ赤で、これ以上飲んだら死んでしまう。 仕方が無いので、私が飲むしかない。 1人で半分ほど空けた。流石に1本全部は無理。 アルコール容量的にではない。味の問題だ。 美味しかったら余裕で空けるんだけれどな。 チーズとリッツも結構食べた。 これは、心配だ。 折角頑張って、食べる量を減らしていたのに、これでは元の木阿弥ではないか……!
それでも結構いい気分になって、お片付けに台所に立った主人に絡んでみた。 そしたら主人がひょいと避けたので、バランスを崩した私は、そのまま横にひっくり返った。 体を支えようと手を付いたのだが、それが間に合わずに変な方向に捻ってしまった。 「シオン、大丈夫か」 「ううん、大丈夫じゃない……肩が、肩が痛いよう〜」 嗚呼これはまずいと思いつつ、自分でもどうにもならなかったのだ。 咄嗟に体が動かないというのは、恐ろしいと思った。 老人体験装置というのがあって、視界の狭い色付き眼鏡をかけたり、腕や脚に錘を付けたりするが、そんな物無しでも老人の気分を体験する事が出来た。 体の自由が利かないのは恐ろしい。 どうせなら、元気な年寄りになりたい。
でも、出来れば歳は取りたくないな!(無理)
急に、ショパンの幻想曲を聴きたくなった。
出だしの部分が「雪の降る町を」に似ているこの曲を、youtubeや手持ちのCDを再生して聴いてみたが、やっぱりいいなあと思った。 そのうち、聴いているだけでは飽き足らなくなった。 弾けもしないのに何故か持っている楽譜を引っ張り出して、数年振りに電子ピアノの蓋を開けたが、譜読みだけで疲れてしまい、なかなか先に進まない。 1日やそこらで弾ける曲ではないのだが、イラチな私にはそれではつまらない。 なので、昔やった曲を弾いてみる事にした。 案外指は位置を覚えているもので、吃驚した。 勿論すんなり弾ける訳ではないが、最初はゆっくり、そして徐々にテンポを上げて行った。 当初の目的とは違う方向に行ってしまったが、指の運動のために、ハノンやツェルニーも加えて、毎日練習してみた。 そして3日後。
腕がだるいよう……。
日常の家事にまで支障を来たしそうになったので、ピアノの蓋はまた閉まったままになった。 昔はこれぐらいで腕がだるいとか痛いなんて事は全く無かったのに。 歳を取るってこういう事なのか。
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