同じ福島県民でも、東京電力の原発の恩恵を受けていた自治体と、そうでない所の住民とでは、かなりの温度差があるらしい。
原発直ぐ傍の住民はずっと原発の恩恵を受けていて、今回も危険だからとすぐに避難して援助の手が差し伸べられたのに対して、20km或いは30km圏内の住民達は屋内退避で物資援助も無く、完全にとばっちりを食った訳である。 そのため、後者は前者に対して怒りを露わにしているのだとか。 その中にはやっかみも混じっているかも知れない。 そんなニュースをどこからか仕込んで来た主人が、 「酷い話だよなあ、同じ福島人なのにそんな事言うなんて!」 と、20〜30km圏内の住民を非難していたので、私は驚いた。 「へ? 何で? そんなのあったり前じゃん。周辺地域住民は地元にお金が落ちた訳でもなく、なのに放射能が危ないから家ん中に引っ込んでいろって兵糧攻めにされて、気の毒過ぎるわよ。そら怒る気持ちも解るわ。福島以外の東北人だって、福島に対して同じ気持ちを抱いてるんじゃない? お前等が東京電力の原発なんかを受け入れるから、東北全体が迷惑しているんだって」 と私が立て板に水の勢いで捲くし立てると、主人はぽかーんとしていた。 「シオンはそういう人なんだね……」 結婚してだいぶ経つのに、何言ってんですか今更。
録画していた映画を観た。 原題は「Drag Me to Hell」。 別に特別な呪文は出て来なかったし、邦題は「私を地獄に連れてって」でも良かったと思う。 私が観たくて録画したのだが、こういう逆恨み系の話は好きではないので、途中で止めて消そうとしたら、主人がPCそっちのけで画面に見入っていた。 まあいいけれど……。 主人はそれなりに面白かったらしいが、やはり私は理不尽物は好かん。
「『ロマ』ってなあに?」 と主人に聞かれたので、ジプシーの事だと教えた。 ジプシーは元が差別用語らしく、今はロマと呼ぶらしい。 「最近多いよね、そういうの。差別だ差別だって、いちいち煩いっつーの。まさかジプシー・キングズまでロマ・キングズに改名したりしないだろうな」 と私が案ずると、それはナイナイと主人に言われた。 「わかんないわよう。アホウドリだって、名前が差別的だってんで、呼び方を変えるとか何とか言っていたもの。メクラもだめだし、ツンボも駄目。該当者に面と向かって言う訳じゃないんだから、既に定着している呼び名まで変えちゃうのは行き過ぎよね」 とプンスカする私に、主人がのんびりと言った。 「じゃあメクラトンボも駄目なのか」 「『目の不自由な蜻蛉』とでも改名するのかしら。嗚呼面倒臭い」 「いや、メクラトンボは別名が既にあったような……何だっけな、忘れた」 「『聾桟敷』は何て変えるのかしらね。『耳の不自由な人桟敷』にでもするのかしら!」 「いやそれはおかしいだろ流石に……」 じゃあ『耳の不自由な方のための特別席』か。 うわあ面倒くせえ!
そういやロマって、ディズニー映画「ノートルダムの鐘」にも出て来たな。 あの映画の題名は元々「ノートルダムのせむし男」なんだっけ。 「せむし」が差別用語だから題名を変えたのだった。 「せむしの仔馬」も題名変えちゃうのか。 別名「イワンの馬鹿」とも言うんだっけ。 あっでも馬鹿も差別用語なの……?
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