我が家には電気ポットが無い。 鉄瓶でお湯を沸かし、魔法瓶に入れている。 魔法瓶は中が硝子で、外側にはあるキャラクターが描いてある。これが気に入って買ったのだ。 とは言え、台所に置いてあるものだから、油や調味料が飛んで汚くなっているけれど。 中のお湯が冷めて来ると魔法瓶はキュウウ〜〜と音を立てる。 これが泣き声のようで、我が家では「タマミちゃん」と呼んでいる。 名付け親は主人だ。 名前の由来は勿論、謀図かずおの「赤んぼ少女」から。 原作漫画は読んでいないが、映画の放映を観て以来、魔法瓶が音を立てると、「タマミちゃんが泣いてるよ」と言うようになったのだ。 本当は、絵柄のキャラクターの名前で呼びたかったのに、すっかり定着してしまったではないか。 時々、隣の子供が泣いているのと混同する事があるけれど。
大地震の時は、電気ポットじゃなくて良かったとつくづく思った。 タマミちゃん、大活躍である。 震災を共に乗り越えたタマミちゃんだったのに、本日、大変な事が。 中をさっと濯いで、流しの端っこに置いたのだが、置き方がまずかった。 不安定なところに置かれたタマミちゃんは、バランスを崩して転落したのだ。
ガッシャーン!!
と嫌な音を立てて、タマミちゃんの頭からは、内部ガラスが飛び散った。 破片がキラキラと美しく煌き、タマミちゃんの成仏を願うかのように、華やかに彩っていた。 タマミちゃん……折角震災を生き延びたのに、私の不注意でごめんよ。 片付けをして、主人にメールを入れた。 「タマミちゃんが……お亡くなりになりました。落としちゃったんです。一緒に冥福を祈ってやって下さい」 返事はすぐに来た。
「殺したのか…… (^∧^)」
ちがーう!! 殺してない! あれは事故だったんだー!!
今日になって、震災以来初めて、やっと、給油する事が出来た。 一寸並んだけれど。 給油制限はもう無かった。 主人には満タンにしとけと言われたのだが、仕事で車を使う人達への遠慮と、ほぼ空→満タンにしたら幾らかかるんだという不安から、途中で止めて貰った。 それでも車にガソリンが入ったら、なんか安心した。 そのまま買い物へゴー。
花粉症の主人のために、ドラッグ・ストアへ行き、眼鏡の曇らないマスクを買った。 店内は寒かった。 天井を見上げると、エアコンがあった筈の場所に、ぽっかりと四角い穴が開いている。地震で壊れたらしい。 そう言えば、いつも行くスーパーでも、エアコンの周囲に罅が入って下方に迫り出していた。あれは弱点なのか。 外套を着ていても寒いのに、店員さんはカーディガン姿で、手を紫色にしてレジを打っていた。 防寒着の着用ぐらい許してあげてよ、店長……。
次は携帯電話会社へ。 今の携帯電話はとても気に入っているのだが、機種変更を決断したのだ。 バッテリーは交換して貰ったのに、機種が旧いからか、すぐに電池が減るので停電時にとても困ったからである。 しかし、今以上に気に入る機種には巡り合えず。 悩んだ挙句、まあこれならいいかな、という次善の策的に妥協出来る物を選んだ。 一寸高いけれどまあいいか……と思ったら、なんと今月は災害特別値引きがあるのだそうで。 人が大勢死んだ災害のお蔭で安くなるなんて、流石の私も素直に喜べない。 貯めたポイントと併せて1.5万円も値引きして貰った。それでも私にとっては高いのだけれど。 新しい玩具を手に入れてほくほくして帰宅したが、今もテーブルの上には、新しい携帯と一緒に旧い奴が置いてある。 やっぱりこの型、旧くても好きだったんだなあと改めて思う。 電池さえ持てばもっと使っていたかったものの、新しいのを手にすると、その画面の大きさ・見易さ・使い易さには目を瞠るものがある。 ううむ、電話機として使うだけなら今までのでも充分だったが、情報アイテムとしてならやはり新しい方が断然いいのか。 私としては、両方持ち歩きたいけれど、それは無駄だよなあ。
折角新しい玩具を手に入れたので、使いこなせるように鋭意勉強中。 今のままでは完全にオーバースペックだもん。
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