今日の晩御飯は豚しゃぶ! 野菜を洗って切る。メインは水菜。 豚肉はお湯の中に泳がせて、白くなったら引き揚げる。 肉の作業が終わったので、さて野菜を盛り付けようと笊に目を遣ると、
笊の縁に青虫がもぞもぞ。
いやああああああ 私の叫び声を聞いて、主人が駆け付けた。 「どうした?」 「ざ、笊にむしむしが……うう」 「ああ、これはちょうちょになる青虫だね。外に放してやるよ?」 こくこくと頷く私。勿論涙目である。 先に水菜をボウルに移して、虫付きの笊を持って主人は出て行った。
「外に捨てて来たよ。無駄な殺生をせずに、いい事したねシオン」 「だって、仮令屍骸でも、次のごみの日まで虫と一緒に過ごすなんて嫌なんだもん。私の買った野菜について来るなんて許せん。お外で鳥の餌になっちゃえばいいのに!」 「……折角外に放して来たんだから、無事な成長を祈ってやろうよう」 嗚呼でも、庖丁で真っ二つに切らなくて良かった! もしそうだったら、きっと水菜と一緒に食べちゃっていただろう。 生のまま。 「う……」 あとは盛り付けるだけだった筈の水菜を見た。 一応ちゃんと水洗いしたのに、青虫はそれだけでは取れなかったのだ。 2匹目や、1匹目の糞が着いていないとは言い切れない。 水洗いでは不充分だ。煮沸消毒しかない! 肉を茹でたお湯を沸かし直し、灰汁を掬って水菜を投入した。 火が通り過ぎないうちに引き揚げ、水で冷やして盛り付けると、ぺったりとして当初のボリュームがなくなってしまった。 でもいいの。消毒したから。
結婚前はしゃぶしゃぶと言えば、牛肉だったな。 豚しゃぶがあるなんて、大学に入るまで知らなかったし。 どんだけ贅沢な暮らししてたんだ?と主人には言われるが、暮らしは質素だったぞ。 愚妹に至っては、貧乏で大学に行かせて貰えるか心配していたらしいし。 なんかずれてんのかね、うちの実家って。
父の日、母の日、敬老の日……。 私が子供の頃は幼稚園や小学校で、「お父さんの絵を描きましょう」「お母さんの絵を(以下同文)」というのはあったけれど、「お祖父さん、お祖母さんの(以下同文)」は無かったように思う。 大体、離れて暮らしているから、顔なんてよく覚えていないし。 更に言えば、近所のスーパーマーケットで園児の絵を展示なんていうのも無かった。 何年前からか、父の日母の日敬老の日の1、2週間前から、スーパー・マーケットの壁に、名前入りで園児達の絵を貼り付けて展示するようになった。 今時は、個人情報がどうのと言う割りに、うちの子の素晴らしい絵を見て!上手でしょ?という親が増えてるいるのだろうか。 こんなの貼り付けるなんて、園もスーパーも大変だな。 正直興味無いんだけれど、他所の子供の絵なんて、大体同じようなもんだし。
しかし暇潰しにはなる。 主人と買い物に行って、買い忘れを買って来るのを待っている間、私は絵の前に立つ。 私が見るのは絵ではない、子供達の名前である。 就学前の子供でも自分の名前を見つけられるよう、平仮名で書いてあるのだ。 それを、頭の中で組み替える。 例えば、
はとやまくにお→お国は富山
といった感じで。 「○○しおり」「○○ゆいか」と、双子か姉妹らしい同姓の名前が並んでいたので、名前だけで並び替えてみた。
しおりゆいか→おしりかゆい
……これは酷い。親は知らずに付けたのか。 しかし今までで1番酷かったのは、こんのたまきちゃん。
こんのたまき→キンタマの子
ぶははは、ひでえ〜と1人でこっそりウケていた。 戻って来た主人に報告すると、その発想は無かったという目で見られた。 「シオンはそうやって、クラスメイトを苛めていたんだな」 「しないよ! だって名前は本人のせいじゃないし」 私は寧ろ、いじめられっ子だったけれどな。 他の子供達とは毛色が違うから。
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