我が家は基本米食だが、時々パンも食べたくなる。 食パンは余り買わない。余るからだ。 最初から味の付いた惣菜パンがいい。 甘くないのが望ましい。
そう言えば、近所にパン屋ってあるのか? 儲かっているかは兎も角、歯医者も写真屋も沢山あるのに、パン屋だけは見掛けない。 徒歩圏内じゃなくてもいいから、遠くない所にあるといいのだが。 そう話していたら、主人が職場で情報を仕入れて来てくれた。 どうやら、駅の向こうに人気のパン屋があるらしい。 歩いて行ける場所なので、散歩がてら行ってみようという事になった。
駅の反対側は、うちの周辺よりも閑散としていた。 目的のパン屋は開いていた。 夕方だったので、商品は殆ど売り切れていたが、残っていた惣菜パンを幾つか買った。 気になったのは、売られていたキャラクター・パン。 「著作権的に、あれは大丈夫なんだろうか」 帰り道、主人にそう訊いてみた。 「大丈夫だから売ってるんじゃないの?」 「いやいや、こないだ道の駅で見掛けたあみぐるミッフィーもそうだったけれど、田舎の年寄りって、知的所有権の概念が無いのよ。これじゃ中国人の事、馬鹿に出来ないわ」 と私が嘆くと、主人は馬鹿にしたように言った。 「へえ〜、シオンが知的なものに興味を示すとはねえ」 「む。これでも一応、学校で習ったんだけれど、私」 「そうか、そう言えばシオンは名門の出だったんだよね。名門中の名門、難関と言われる……」 「ヤメテ。聞いていて恥ずかしくなるから止めて」 と私が頼んでも、尚続ける。 「いやいやご謙遜を。私など身分が違い過ぎて、直に御手を取る事も出来ずに、紐を使わないと脈も取れませんから」 身分違いと言えば、イエス様の靴紐の話かと思ったら、そうではなかった。 何の事かと訊いてみたら、昔は医者と言えど帝の体に手を触れる事は叶わず、帝の腕に巻き付けた紐を通して脈を取ったのだと言う。 「へえ〜知らなかった。触っちゃ駄目なんて、インドのカーストみたいだね。直に触れなくてもわかるものなの? 脈って」 「さあどうだろ。無理なんじゃないのー?」 なるほど道理で昔の帝は早死にだった訳だ、という事で話が落ち着いた。
因みに、私の母校は別に名門でも何でもない。 昔、偶然見た番組で、とある私立高校の合格垂れ幕に「何の誰某、難関○○大学××学部合格」とでかでかと書いてあり、何故難関?と主人と大笑いしたのだった。 それ以来、主人がネタとして「名門」と言っているだけである……。
アマゾンから荷物が届いた。 またCD買ったのか……。 今回の引越しでかなり処分したのに、再びコレクションを増やす気かと思ったら、音楽CDではないらしい。 じゃあ何?と訊いたら、主人は箱を抱えて 「えへへへ」 と笑っていた。
中身はゲームのソフト……またやるんですか。 ドラゴンクエストだか、ファイナルファンタジーだかのロール・プレイングものなんて、パズルやシューティングが好きな私には、さっぱりわからない。 TVゲームが始まると、TVを見られなくなるから嫌なのよねー。 セーブしなきゃいけないとかで、止めて欲しい時に止めてくれないのも、本当に迷惑。 どんなに人気のゲームでも、私を苛付かせる時点でクソゲーだ。 そんな私を尻目に、いそいそとゲーム機の電源を入れる主人。 「キャラの名前、何にしようかな。シオンがつけてもいいよ」 と言うので、主人からコントローラーを取り上げた。 「よーし、じゃあね。これでどうだ」
う ん ち
「何故うんち……これは酷い」 「だってこないだ、私のおでこに『うんち』って書いたでしょ。お返しだ!」 「それは寧ろ仕返し……まあ決定ボタン押してないからいいけど」 「うんちが駄目なら、これはどうだ」 と再びコントローラーを手にする私。
ジ ー サ ン
ふふん。 「……まあいいか、『じいさま』と書かれるよりは。じゃあシオンはお供ね。『バーサン』って名前にしてあげる」 「嫌だ。断る」 私がバーサンだったら、あんたはヒージーサンだ!
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