取り敢えず生活出来るぐらいには家の中が片付いたので、東を目指して、主人とドライブに出掛けた。 とは言え、野と山の他には何も無いのだけれど。 でも私は行ってみたかったのだ。もしかしたら主人が飛ばされていたかも知れない土地に。 1時間ほどで行き着いたそこは、現住所より更に田舎であった。 地上デジタル放送や、フレッツ光も来てなさそう。 これは……、もしここに転勤になっていたら、物件探しが更に大変だったろうなと思った。 半端な田舎の現住所でさえ探すの大変だったのに、昭和の匂いの残るこの土地だったら……と考えると、やはり今の転勤先で良かったのだろう。 主人は子供の頃、ここに住んでいた事があるらしい。 「どう、覚えている?」 と訊いてみると、 「なんとなく。所々だけれどね」 と彼は言った。 特に、懐かしいという感情も無いらしい。
帰りは別ルートで、道の駅に寄ってみた。 主人が好きなのだ、道の駅……私はどちらかと言うと、何処にも寄らずにとっとと目的地に着きたいタイプ。 でも特に急ぎでもない時は、主人と一緒に、あれこれ見て回るのも悪くない。 地元の工芸品コーナーを見ていたら、手芸品に混じって、見た顔が……。 白い兎の編みぐるみ、黒いお目目に、ばってんのお口。 えーと、これって、みっひーでは……。 「知的所有権的にどうなのー?」 と主人の袖を引っ張ったら、 「まあ、いいんじゃないの、田舎なんだし」 えー? 良くないと思う……。 これじゃあ、中国の事を笑えないよ。
引っ越したものの、他の物件が気になる私。 更に田舎で完全に徒歩圏外になるが、追い焚き・エアコン・畳付き、2DKで4.6万円/月のアパートがあったのだ。 収納もあり、間取りも良い。 そしてすぐ傍にスーパーが! これなら、主人の通勤に車を取られても、買い物で困る事は無い。 いいなあいいなあ……。 見るだけ見てみたいという事で、休日、主人の運転で出かけてみた。 やはり遠い。車でも余裕で10分以上掛かる。 地図を頼りに、ここでバイパスを降りて、次の角で曲がって……と顔を上げると、真っ白な看板が目に入った。 嫌な予感がした。 どう見ても何かの跡地である。 手許の地図と比較する。 近くで看板を見ると、白く塗り潰された下に、店名が書いてあった。
ビンゴー
はい、スーパー潰れていました(笑)。 「駄目だね、こりゃ……」 「うん。スーパーが無いとなると、ここに住むメリットはゼロだね」 そう言えば、以前住んでいたアパートも、入居暫くして隣りのスーパーが無くなっちゃったんだよなあ。 お蔭で、往復30分近くも歩いて、別のスーパーに買い物に行かなきゃならなくなったのだ。 あの時ほど、もう1台、車が欲しいと思った事は無い。 しかし車は、色々とお金がかかる。 幾ら家賃が安くとも、車を2台持つとなったら、余計に出費が嵩みそうだ。 そんな事を考えながらアパートの裏手に回ると、そこは畑で、この物件もヤスデ地獄の可能性ありだった訳だ。 今の住処は周囲がコンクリートなので、多分ヤスデに悩む事は無い。その点だけでも良かったと思おう。 これですっぱり、諦めが付いた。 畳部屋は無いけれど、今のマンションで良かったんだわ、きっと。
となると、 次はベッドが欲しいな……物欲は止まる事を知らず。
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