死に掛けた。
買い物に行く途中、車で信号待ちをしていたら、突然心臓がどくんとなった。 不整脈である。 人間は1日のうちに1回は不整脈を起こすらしいので、それ自体は別に珍しくないのだが、今日のはいつもの不整脈とは違う。 次のトクトクが聞こえない。 あれ、もしかして、心臓が動いていない? 今しがた青に変わったばかりの信号が真ん中にあって、昼間なのに周囲は暗くなっている。 視界がどんどん狭まっているのだ。 これがブラック・アウトってやつかー! 運転中にこれはまずい。 幾ら田舎でも、道の真ん中での停車は迷惑だが、下手に動いて事故ったらもっと迷惑だ。 ここは、ハザードランプをつけてPに入れてサイドブレーキかけた方がいいのか。 前の車が発進する前に何とかしなければ。 動いてくれ心臓、頑張れ心臓! とハザードボタンに手を伸ばしながら心臓にエールを送っていたら、やっと心臓が動いた。 そうしたらぱっと視界が開けたので、そのまま左折して、コンビニの駐車場に入って車を停めた。 暫く休んでみたが、再び不整脈は起こらなかったので、買い物に行ってから帰宅した。
しかし危なかった。 主人の父は、1度心の臓の病で倒れている。 心臓が止まったのが自分でもわかって、血が流れずに寒くなって来るのだといっていた。 私は焦りの方が大きくて寒さは感じなかったが、あんな感じなのだろうか。 不整脈はこれまでにも時々あったが、今日ほど酷いのは初めてだ。 1度病院に行った方がいいのかな。 でもホルター心電図つけるなら、春か秋がいいな……夏は暑くて鬱陶しいし、冬は機械が冷たいんだもん。
大学入試センター試験の1日目。 私が受けたのもセンター試験だった。 日頃の成績は悪かったが、本番に強かったので、結構いい点は取れた。 一方、共通一次世代の主人は、大雪を警戒して知り合いの所に止めて貰ったら、周囲の音が気になってよく眠れず、一次の結果は散々だったらしい。 というような話を、寝る前に2人でしていた。 主人は前期日程の受験のために、親が用意してくれたホテルに泊まったが、宿と一緒に手配してくれていたディナーが、何故かフランス料理のフルコース。。 それが人生初の本格ディナー体験だったらしい。 「たかが受験だよ? 一体うちの親父は何を考えていたんだ」 いやあ、いいお父さんでないの。 私は親からお金だけ貰って、宿も電車の手配も、自分で旅行会社に行ってやってたなあ。 「ディナーと言えば私、後期で泊まったホテルで晩御飯食べた時、デザートにグラスに入ったアイスクリームが出たのね。で、それを食べ終わった後に、家の中でやるようにグラスを舐めていたのよ、無意識のうちに。ハッとして周りを見回したら、隅っこだったから幸い誰にも見られていなかったようなんだけれど、あの時思ったね。『普段の行いが出る』ってこういう事か!と。だから日頃から心がけなければと決心したの」 と私が話すと、主人が言った。 「そうか。でも残念ながら、その経験は余り生きていないようだね……」 えっ、そうなの!?
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