大学入試センター試験の1日目。 私が受けたのもセンター試験だった。 日頃の成績は悪かったが、本番に強かったので、結構いい点は取れた。 一方、共通一次世代の主人は、大雪を警戒して知り合いの所に止めて貰ったら、周囲の音が気になってよく眠れず、一次の結果は散々だったらしい。 というような話を、寝る前に2人でしていた。 主人は前期日程の受験のために、親が用意してくれたホテルに泊まったが、宿と一緒に手配してくれていたディナーが、何故かフランス料理のフルコース。。 それが人生初の本格ディナー体験だったらしい。 「たかが受験だよ? 一体うちの親父は何を考えていたんだ」 いやあ、いいお父さんでないの。 私は親からお金だけ貰って、宿も電車の手配も、自分で旅行会社に行ってやってたなあ。 「ディナーと言えば私、後期で泊まったホテルで晩御飯食べた時、デザートにグラスに入ったアイスクリームが出たのね。で、それを食べ終わった後に、家の中でやるようにグラスを舐めていたのよ、無意識のうちに。ハッとして周りを見回したら、隅っこだったから幸い誰にも見られていなかったようなんだけれど、あの時思ったね。『普段の行いが出る』ってこういう事か!と。だから日頃から心がけなければと決心したの」 と私が話すと、主人が言った。 「そうか。でも残念ながら、その経験は余り生きていないようだね……」 えっ、そうなの!?
昨年末に、youtubeでラフマニノフの前奏曲を聴き比べていたら、主人が、 「キーシンもアシュケナージも、ピアノの音しかしないけれど、プロコフィエフのピアノには、色彩感がある。」 と評していた。 一方私は、テンポや強弱のつけ方の違いぐらいしか判らず、どれもピアノの演奏なのだから、ピアノの音しかしないのは当たり前なのでは?と不思議に思った。 しかしその後、アニメ版のだめカンタービレを見ていたら、 「なんて色彩感豊かなピアノ!」 という台詞があり、そうそうそれなんだよねー弾く人によって違うんだよ、と得心する主人に対し、やはりわからない私なのであった。 そんな私の弾くピアノは、やはり白黒なんだろうな。
今日は偶々予告で、「スーパーピアノレッスン」で展覧会の絵をやると知ったので、録画して主人と一緒に見た。 先生は、フセイン・セルメットというピアニスト。ど素人の私は、初めて聞いた名前だ。 生徒は金髪で顎の無い若者。名前は忘れた。 なんかのコンクールで優勝したほどの腕前だそうだが、ミスタッチが多くてとても雑に聞こえる。 えっ何故そこでテンポを崩す?と思ったら、やはり先生にも指摘されているし。 それなりに上手いんだろうけれど、先生のピアノを聴いてしまうと、まだまだ若造である。 そして主人が言うには、 「この先生、凄い。これだよ、色彩感のあるピアノ!」 との事。彼にしては珍しく絶賛だ。 番組の中で、先生が、 「この音はこう。猫のように」 と言って、猫が引っかくように素早いタッチで弾いていた。 若造の音と、全然違う。 「打楽器と同じで、マレットを打つ強さだけじゃなくて、速さで音が変わるんだよ」 と主人が解説を入れてくれた。 あ そういう事か! 記憶が甦った。 部活で先輩が叩いていたティンパニ、何であんなにぼよ〜んとした音しか出せないんだろう、そこはもっと硬くて鋭い音が欲しいのに。 猫。 猫のように。 昔ピアノを習っていた時に、言葉は違うが同じ弾き方で見本を見せられた。 そういう事だったのか、と今やっと理解出来た。 先生はそういう事を私に教えたかったのねー! 気付くの遅いよ私。 ヘレン・ケラーが「ウォーター!」と叫んだ時の気持ちって、こんなだったのだろうなと思った。
番組終わりのセルメット先生の演奏は、圧巻だった。 ただ、室内が熱過ぎたようで、先生汗だく。トルコには冷房も無いのか! 汗を吸った先生のシャツの色が、完全に変わってしまっていた。 おまけに汗で眼鏡がずり落ちるので、先生しょっちゅう眼鏡の位置を直しながら弾いている。 もっと集中出来る環境で弾いて欲しかったと、それだけが残念で、先生が気の毒であった。 だって、30分もかかるんだよ、全曲演奏……。
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