家の中でのヤスデ発見数が10を数えたその日、害虫駆除業者が来てくれた。 管理会社の迅速な対応には感謝するが、「家の中に侵入した害虫に関しては、各自で対応を」ってどういう事よ。 そりゃ部屋の中の害虫までいちいち駆け付けて何とかしろとは言わないが、侵入経路を塞ぐとかの対応はしてくれないのか? そこが1番肝心なんだけれどなー、私としては。
昨日も言った通り、ヤスデにしろゲジゲジにしろ、家の外で存在する分には構わないのだ。 だってそれは、普通に自然界に存在して、食物連鎖の中で役割を果たしている生物なのだから。 困るのは、私のスペースに無断で這入って来る事。 それが無ければ、別にいいのだ。 しかし幾ら這入って来ないでねと言っても、彼等には言葉が通じない。まるで北朝鮮のようだ。 意思の疎通が無理なら、実力行使に打って出るしかない。 だから駆除も已む無し。
業者の到着が窓から見えたので、外に出て質問してみた。 おじさん曰く、雨が降るとヤスデが出て来るのは、溺れ死ぬかもと勘違いしての事だそうで。 それで外壁を這い上がって、どこからか家の中にまで侵入する訳だな。そのまま溺れ死ねばいいのに。 家庭で出来る駆除方法としては、市販の薬を買って撒く事。まあ普通だ。 でもああいうのは、なるべく買いたくない。身近に置いておきたくないのだ。 取り扱いが怖いし、スプレータイプだと捨てるのも面倒だし、何かあった時に松本サリン事件の河野さんみたいに疑いを掛けられかねない。 これでもう出ない事を祈ろう。 頼むから、家の周りではこれで絶滅して下さい。お願いします。
主人の体調は日を追う毎に良くなっているが、反比例するように悪くなっているのが私の精神状態だ。 以前、春が1番嫌いと書いたような気がするが、ここで訂正する。 ここに住んでいる限り、梅雨時が1番嫌いだー! 何故ならば、アレが入って来るのだ。
私の大嫌いなヤスデが。
もう、字を見ただけで泣きそう。 元々自然の生き物なのだから、存在するのは仕方ない。 外で、自然の中で生きているのは許す。そこは彼等のテリトリーなのだから。 しかし、家の中に這入って来るのは、絶対に許さん! ここは私のテリトリーだ!! 毎年2〜3匹は家の中で見掛けるが、今年は特に多い。 1番多く見掛けるのは洗面所だ。 だから先日、瀕死の主人が洗面所に横たわっているのを見て、「ヤメテー!」と叫びたくなったのだ。懐かしの横弁ばりに。 次に和室。窓は締め切っているのに、隙間でもあるのか。 何れの部屋も、一昨年毛虫が大発生したために撤去された躑躅の植え込み跡がある側である。 どうやらここが、奴等の塒らしい。 雨が降っている最中に偵察に行くと、外壁一面に這いずって ああああああああ、思い出しただけで発狂しそうだ。 洗面所などは、窓も無いのに這入って来る。なのに遭遇率1位とはこれ如何に。 ほんの10分程洗濯物を床に置いて、その山を洗濯機に放り込もうと持ち上げると下に鎮座していてギャー! お前は引田天功かと。何のマジックかと。 しかもアパートの床は焦げ茶色。あいつ等の保護色なので、気が休まる時が無い。 和室に入る時も、洗面所に入る時も、まず床を凝視して、次に壁、天井と、指差し確認を怠れない。 何故、自分の家なのに寛げないのだ……。 主人の在宅時なら、いやああああと叫べば飛んで来てくれるが、1人の時は自力で何とかしなければならない。 今日も洗面所で1匹見付け、要らない紙の上に載せて、玄関からポイした。 ホッとしたのも束の間、洗面所に戻ると、今ポイした奴がいた場所のほんの10cm先にまたいるし。 同じ奴がテレポートして戻って来たのかと一瞬思ってしまった。 こんなリプレイ嫌……。 このままでは、気が触れてしまう。いやもう充分におかしい。 自分で精神科に行こうかとも思ったが、それでは根本的解決にはならない。 原因は明らかだ。 私は受話器を取り、アパートの管理会社に電話して訴えた。
演技ではない、切実なる私の訴えが伝わったのか、明日にも害虫駆除業者を派遣してくれる事になった。 随分素早い対応だ。週末になるかと思っていたのに、これは有難い事である。 どうか私に安らかな眠りを!
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