アパートの窓の外には、防犯のためか、砂利が敷き詰められている。 それでも草は生えるので、毎年管理会社から草刈り隊が派遣されていた。 しかし今年は一向に彼らが来る気配が無い。 管理費は毎月引き落とされているのにねえ……。
いい加減見苦しくなって来たので、自分でやってみた。 偶々窓から首を出すと、丁度雨が上がり、涼しくて(寧ろ肌寒い)お日様も雲に隠れて出て来なさそうだったので、今がその時だと思った。 もう秋だから、放っておいてもすぐ枯れるような気もしたが。 軍手をして庭に出て、しゃがみこんで、まあこんなもんかなーと思ったら、いつの間にか1時間半が経過していた。 でも、達成感はある。 綺麗になったよ。
しかし夜になってから、ずっと草むしりをしていた利き手の腕が、何だかおかしい。 いきなりの運動で疲れちゃったか。 草むしり自体、とっても久し振りだったからなー。 もしかすると、十数年振り……?
お盆が過ぎたら……と、気温が下がるのを夢見て生きて来た夏だったが、幾ら何でも、
16℃は下がり過ぎだろ。
まだ8月だというのに、長袖を引っ張り出して着ていますよ……。 そして急に寒くなったからか、酷い頭痛が。 ええ、例のやつです。 朝から不調で、痛みが増すと共に吐き気がして、3回吐いて胃の中を空にしたら今度は寒くて、横になっても余りの頭痛で眠れず。 うう……夏の間は汗疹が出来ても頭痛は無かったのに、久々に来たな。 前回の対処法を思い出し、温かい味噌汁を飲んでみた。
ピュー。
追加で2回嘔吐……アホか。 内側から温められないのなら、外側から温めるしかない。 ふらふらになりながら風呂掃除をし、お湯を張った。 はふーと湯船に浸かっていると、主人が帰宅。 「あれ、シオン?」 と浴室に来る気配がしたので、慌てて湯船に寄りかかり、死体のふりをする。 ドアが開いて、 「ただいま。お風呂に入っているの?」 と主人が顔を覗かせた(推定。見ていないから)。 それでもじっと死んだふり。 何回目かに主人が話し掛けて来た時、とうとう堪え切れずに答えてしまった。 「おかえりなさい!」 もしずっと死んだふりをしていて、私の身を案じた主人が風呂場に入って来て服を濡らしたら悪いと思って、生き返ってしまったのだ。 そう告げると、 「いや、最初から生きてるって判っていたから……」 だと。つまらん。 でも、お風呂に入っていた理由を述べると、ちゃんと私の身を案じて、晩御飯を作ってくれたのだった。
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