主人は今週いっぱいが夏休みなので、墓参りツアーが終わって現地解散した後、夫婦2人でぐるりと北東北を回ってみた。 噂には聞いていたが、実際凄かった。
至る所に蛾の卵が。
建物の外壁、海岸の手摺り、車止めの裏側にまで、薄黄色い塊がくっ付いている。 うちの愚妹なら発狂するレベルだ。(妹は蛾が大の苦手) うっかり寄り掛かったり出来ないよ。 私は潔癖症と言うほどでもないが、エスカレーターの手摺りにさえ触りたくない人間なのでまだいいが、無意識にあちこち触ったり寄り掛かったりする人はご注意を。 何故その塊が蛾の卵とわかったかと言うと、立ち寄ったコンビニに張り紙がしてあったのだ。 小学生が自由研究の発表で使うような大判の紙(名称忘れた)が貼ってあり、そこに、写真付きで蛾の生態と産卵の様子が書かれていた。 こんなの作るなんてコンビニの人も凄いなあ、と感心しながら、トイレ待ちの間にじっくり読ませて貰った。 潮風に吹かれながら、これ等が来年には孵化して、また蛾が大発生するのだろうか、と嫌な想像をした。 でも、蛾が増えるとそれを餌にする天敵も増えて、結局元の数に落ち着くんだとか。 我々が行った時には、もう蛾の産卵が終わっていて、夜に大量の蛾が飛び交っていてウギャーという事は無かったが、嫌なものは嫌だよねえ。 地元の人は大変だろうけれど、頑張って駆除して下さい……。
気を取り直して、遊覧船に乗ってみた。 最初は興味無かったのだ。 鴎が沢山飛んでいて、ヒッチコックの映画を髣髴とさせて怖いし。 しかも怖い。鴎の顔は結構強暴だ。 それが餌欲しさに寄って来るのだ。 突付かれるんじゃないかと、怖くなる。 さて、エンジンがかかり、しゅっぱーつ。 出航して間も無く、パンの車内(?)販売があった。 鴎の餌である。人間が食べても害は無いようで、美味しいと言って食べている人もいた。 金華山ではかっぱえびせんが鴎の餌だったが、パンの方が塩分少な目で健康的かも知れない。 こんなのにお金を出すなんて……と思って見ていたが、主人が買っていた。 鴎に餌をやる様子を、初めは怖々と見守っていたが、波に揺られて次第にテンションが上がる。 うひょー!とか言いながら、先ほどの怖さはどこへやら、デジカメを取り出して鴎を撮る私。 しかし鴎は常に動く。 シャッターを押してから、撮れるまでにタイムラグがあるので、確認してみると間抜けな写真ばかりだ。 横から主人が覗き込み、 「何でうちの車(海沿いの駐車場に停めてあった)なんて写してるの……」 と呆れたように言った。 そんな主人も、やはり間抜けな写真ばかり撮っていたが。 「シオンもやってみる?」 と主人からパンを渡され、ほい!と餌をやってみた。 私の投げ方が下手なので、餌は海に落ちてしまったが、鴎は目敏くそれを見付け、水面に漂うパンをサッと咥え上げる。 狙いをつけてホイっと投げると、鴎は上手に空中でキャッチしてくれる。 た、楽しい(笑)。 結局、主人のパンを全部取り上げ、ホイっ!ホイっ!と餌をやっていた。 何故か掛け声を付けないと、上手に投げられない私。一種の景気付けか。 傍から見るととってもヘンな人なんだろうな……でもテンション高いので気にしなーい! 船内では観光案内のアナウンスがかかっていたが、鴎に夢中で殆ど聞いていなかった(笑)。 折り返して戻る頃にはパンも尽き、鴎もいなくなってしまった。 ここまでなら餌を貰えると、学習しているのだろう。 行きは良い良い帰りは怖いで、復路は雨が降り、波が高くなって来た。 それでもウヒョーと往きのテンションを維持する私。(呑んでないよ!) 一寸肌寒いけれど、雨がかかるけれど、楽しいねえと言う私の前の席のご婦人が、何やら様子が変だ。 抱っこしていた子供を、前の席のご主人に預け、座席から降りてしゃがみこんでしまった。 そして、持っていた袋にリバース……あらー揺れに弱いのか。 戻すお母さんも、両手に1人ずつ子供を抱えるお父さんも、大変そうだった。 お父さんに抱っこされた2人の子供は、ずっと前から怖い怖いと泣きっ放しだし、一体この家族は何を楽しみにこの船に乗ったのだろう……。
船を降りて、大満足の私に、主人は 「シオンがこんなに喜ぶとは思わなかった。良かった良かった」 と言ってくれた。 また来ようね! 今度はケチらないで、ちゃんと餌を買うよ!
今年のお盆は、主人の実家の墓参り。 お墓と財産に関して色々と揉めた経緯があるらしいので、お参りのし甲斐が無いんじゃないかと私は思うのだが、それでも行くらしい。 主人を育てた人達だからお金に執着が無いと思われるのに、それでも相続で揉めたという事は、普通の人なら血の雨でも降ったかしら。 勿論、端から揉めないように手を打っておくのが1番なのだが。
お墓は遠く、日帰りするには厳しいので、宿泊は必須。 どういう風の吹き回しか、今年は皆で旅館に泊まろうと、主人の父が言い出した。 大部屋だったら断る覚悟だったが、主人の両親・我々夫婦・義妹一家の3部屋に分けてくれた。 毎年主人の実家に泊まる度に鬱々とする私のためか、実家にはちょこっと寄るだけで済んだ。お義父さん有難う。 お宿自体は普通だったが、お食事は美味しかった。紫煙に邪魔されないのもいい。 大人6人中私以外誰も酒を飲まないので、ここは私も遠慮すべきかと思っていたが、飲んだらいいのにと主人が勧めてくれたので、有難く飲ませて貰った。 日本酒のジュース割り……ストレートだと飲めない、邪道な酒飲みである。 アルコールが入った途端に上機嫌になる私(笑)。 翌日になったて、上機嫌過ぎただろうかと心配になり主人に訊いたところ、 「うちは誰も飲まないから、皆、不思議な生き物を見る気分だったと思うよ」 と言われた……それは、やっぱり、まずかったという事なのだろうか。主人はそうではないと言うが、やはり心配だ。
まあまあ楽しかったが、甥っ子の行儀の悪さには、毎度の事ながら辟易する。 一体どういう躾してんだよ……と呆れつつ、私には関係ないから、もう知らんわ。 流石に目に余る時にはビシっと言うけれどね。怖いおばさんなのだ。
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