主人が今週末まで出張なので、それに合わせて私も里帰りする事にした。 実は、直前まで迷っていた。何故なら、現住所よりも実家の方が南に位置しているからである。 暑い夏が苦手なので、この時期には、なるべく南下したくないのだ。 しかし昨夜の天気予報で、6日の予想最高気温が34度と言うではないか。 32度でもしんどかったのに、34度て。死ぬ。 同じ気温なら、飯の心配をせずに済む実家の方が過ごし易い。 はじめは主人と一緒に、朝に家を出るつもりだったが、4日も家を空けるとなると、やっておかねばならない事が色々ある。 主人を駅まで送り、家に戻って支度を済ませ、今度は自分がお昼頃タクシーで駅まで行ったが、それで良かったのかも知れない。 主人を送っていく時に、忘れ物をした時の胸騒ぎがしたので、確認してみたのだ。 「忘れ物は無い? ハンカチ、鼻紙、時計、携帯電話」 「あっ、携帯忘れた!」 ……言ってみて良かったよ。 携帯嫌いの主人だが、今回の出張は携帯電話が無いとどうにも困るというので、すぐに家に取って返し、何とか電車に間に合った。 これが一緒に出かけたタクシーの中で気付いたのだったら、引き返した分料金もかかるし、夫婦喧嘩に発展した場合は非常にみっともない。 それに、朝洗って干したシーツとタオルケットも、お昼までには完全に乾いていたのも嬉しい。 掃除も済ませたし、これで、汚い部屋に帰って来て萎える事も無い。
実家は、思ったよりもずっと涼しかった。 庭に木があるからだと母は言うが、それは嘘だ。 2、3年前の夏は、こんなものではなかった。夜中中暑かった。 今年は涼しいのだろうか。夜になると風が冷たくなり、朝方は寒いぐらいだ。 今回の滞在中は何故か、夜明け頃に目が覚めるので、近所を少し散歩してみたのだが、寒くて長袖を着ていた。 朝早い分、夜はすぐに眠くなり、主人の電話を待っていられずに、おやすみメールを送るだけの日もあった。 飯は美味いし、早寝早起きで、健康的な生活を送る事が出来た。 しかし、この家に鼻炎はつきもの。 完全な健康体という訳には行かないのが、残念だ。
「汝、この女子を娶り、神の定めに従いて夫婦とならんとす。 汝、その健やかなる時も、病める時も これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、 その命の限り、固く節操を守らんことを誓うか」
松本サリン事件の被害者、河野澄子さんが死亡した。 事件の後遺症で寝たきりになって14年、享年60歳。 2つ年下のご主人河野義行さんは、言わずと知れた同事件の第一通報者にして、犯人ではないかと疑われていた人である。 当初から、押収された薬品からはサリンは作れないと言われていたのに、オウムの仕業と判るまで、マスコミは彼を犯人扱いしていた。 それが今では、「警察は河野さんを犯人扱いしていた」などと、完全に自分の事は棚に上げているのは、如何なものか。
河野氏が奥さんの看病をしている様子は、何度もTVで放送されていた。 それは、普段の介護は施設の人に任せていたとしても、奥さんの事を愛しく思い、大事にしているのだろうなあと思わせる様子であった。 世の中には、妻を蔑ろにしている夫も多いと聞く。 妻が重い障害を負った時、これほど妻を思ってその世話を出来る夫が、一体どれだけいるだろうか。 一緒にTVを見ていた主人が、こう言った。 「シオンがこうなったら、僕がおしめを替えて面倒を看てあげるつもりだけれど、僕がこうなっても、シオンは面倒看てくれなさそうだよね」 それ、前にも言われたけれど、やっぱり私は自信無いなあ。 献身的に介護してあげたいとは思うんだけれど、実際にやるのは大変だもの。 貴方を愛していない訳では、決してないのだけれど。
インタビューに応じる時も決して激昂せず、穏やかに話す河野氏を見て、同じ被害者家族でも地下鉄職員の夫人とはえらい違いだなあと、こちらには好感が持てたものである。 14年、河野氏も夫人もご家族も大変だったろう。 本当に、お疲れ様でした。
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