天上天下唯我独尊

2008年06月26日(木) 落書きの掟

また日本人旅行者による、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の落書きが発覚した。
岐阜市立女子短大の次は、京都産業大学だそうで。
少し前にも、国内の重要文化財だか国宝だかに、修学旅行の中学生が残した落書きが見付かって騒がれた事件があった。
またゆとりか……と言いたくなるが、世界中の観光地で日本語の落書きを見られるという話は以前からあるし、折角薄れていた珊瑚の落書きをわざわざ書き直したカメラマンもいた事を思えば、落書きをするのは子供に限らないのである。
これは、年代ではなく、道徳の問題なのだ。
困った事に、いい歳こいた大人でも、「旅の恥はかき捨て」とばかりに、「記念」の落書きを残す馬鹿はいる。

落書きといえば、とある少女漫画で、高校生達が生徒会室の壁に、卒業記念の寄せ書きを残していた場面があった。
その漫画は面白かったし、私も好きだったのに、そのラストでぶち壊しになった気分がした。
取り壊し間近の古い校舎ならまだ解るが、新設校のピッカピカの校舎に落書きするなんて、信じられない。
作者の程度が知れて、大層がっかりした覚えがある。

そりゃあ私だって子供の頃は、落書きぐらいはした。
しかしルールは守った。落とせない落書きはしてはいけない。
他所の家の埃の積もった窓ガラスや、うっすらと雪の積もった車のフロントガラスに指でかく程度である。
しかし、何とかアートなどと言って、公共の塀や他人様のシャッターに、スプレーで落書きする連中は許せない。
あれは芸術ではない。犯罪だ。
小さい頃なら兎も角、私は自分の教科書にすら落書きをしなかったので(教科書に書き込んではいけないと、親に厳しく言われていた)、他所の物に、ましてや油性ペンで落書きをするという、その神経がわからない。
京産大の学長は
「神聖な聖堂、かつ、世界遺産で落書きをしていたことは誠に遺憾」
と述べたが、それは一寸違うと思う。
世界遺産だろうが国宝だろうが、他人の所有物に落書きをしてはいけないのだ。
同じく京産大サイトのお詫び頁には、
「当該学生に対しては、厳正な処分、そして教育を実施していくべく現在対応を検討しています」
とあるが、本当に厳正な処分をするなら退学だし、教育を実施するなら大学に残して指導する事になるし、何だか矛盾を感じた。

大聖堂のほんの一角のつもりが、全世界にその落書きを発信された、まな・ちい・ゆい・あやな・りか・みきと、信太郎・誠・慶久は、よくよく反省するように。



2008年06月25日(水) ミス・マープル祭り2

BS2では、ミス・マープル祭り開催中だ。
私は以前から、ミス・マープルを演じるジェラルディン・マクイーワンというお婆さんは伊東美咲に似ていると思っていたが、今日は他にも、石原真理子と胸の豊かな仲間由紀絵が登場した。

アガサ・クリスティは好きだけれど、どうも最近のシリーズは、マープルにしてもポワロにしても、原作を弄り過ぎではないだろうか。
今日放送だった「動く指」は未読だが、去年のポワロ祭りでも、犯人を別の人に変えちゃっていたし。
そもそも、アガサ・クリスティは、血の犯罪を描く事が多く、それはミス・マープルの「ああやっぱりという人が犯人であるものよ」という台詞に表れている。
私はクリスティ作品を全部読んだ訳ではないし、研究者でもないので、自分が抱いた印象でしかないのだが、彼女の作品には、「犯罪者の娘はやっぱり犯罪者」という図式が多く出て来る気がする。
でも最近のシリーズでは、それを引っ繰り返してしまっているのだ。
人権団体が煩いのだろうか?
勿論、人間は環境が決定する部分も多いだろうが、遺伝子レベルで組み込まれている因縁があると、私などは思ってしまうのだが。
それに、ミス・マープル。
女優さんは可愛くていいのだが、ジェーン・マープルと言えば、古き良きビクトリア時代の遺物。
決して、今時の若者に理解のあるナウい婆ちゃんでは無い筈なのに、今回のミス・マープルは、ホモだのレズだの不倫だのに矢鱈と寛容である。
そして、劇中に矢鱈とホモだのレズだの不倫だのが当たり前のように出て来るのにも苛々する。
それにあの時代、リゾートでもないのに女性があんなに胸の肌蹴た衣裳を着ていたものなのだろうか。
あんなに胸の開いた服を着ていたら、売春婦扱いされなかっただろうか……と、細かい所で気になってしまった。
日本の時代劇と同じで、時代考証はちゃんとしてくれないと困るわあ。

纏めて言えば、原作をぶち壊すのは勘弁して欲しい、という事である。


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